歯科医院の経営数値の見方|押さえるべきKPIと改善のポイント

歯科医院を経営する上で、数値を把握することは非常に重要です。しかし、「売上は見ているが、それ以外はよくわからない」「数字が苦手で、経理は税理士に任せきり」という院長も多いのではないでしょうか。

経営数値を理解し、適切なKPI(重要業績評価指標)を設定することで、医院の現状を正確に把握し、改善すべきポイントが明確になります。本記事では、歯科医院経営で押さえるべき主要なKPIと、その改善方法を解説します。

 

 ━目 次━
 1. なぜ経営数値を把握すべきなのか
 2. 押さえるべき主要KPI
 3. KPIの測定方法
 4. KPI改善のポイント
 5. 数値を活用したミーティング
 6. まとめ

 

1. なぜ経営数値を把握すべきなのか

経営数値を把握することには、いくつかの重要な意義があります。まず、現状の正確な把握です。「なんとなく忙しい」「なんとなく儲かっている」という感覚ではなく、客観的なデータで現状を理解できます。

次に、問題の早期発見です。売上が下がった時、その原因が患者数の減少なのか、単価の低下なのかによって対策は異なります。数値を見ていれば、問題を早期に発見し、適切な対策を打てます。

そして、目標設定と進捗管理です。「売上を上げたい」という漠然とした目標ではなく、「新患数を月50人にする」「リコール率を80%にする」といった具体的な目標を設定し、進捗を管理できます。

 

2. 押さえるべき主要KPI

売上関連のKPI

月間売上高は最も基本的な指標です。保険診療と自費診療に分けて把握しましょう。前年同月比、前月比で推移を確認します。レセプト枚数は、実際に診療した患者数を示します。レセプト1枚あたりの単価と掛け合わせて売上が決まるため、両方を把握することが重要です。

自費率は、売上全体に占める自費診療の割合です。自費率が高いほど、患者単価が高く、利益率も向上します。業界平均は15〜20%程度ですが、30%以上を目指す医院も増えています。

患者関連のKPI

新患数は、その月に初めて来院した患者の数です。新患が増えなければ、患者数は減少の一途をたどります。月間30〜50人程度の新患獲得を目標にしている医院が多いです。

リコール率は、定期検診の案内を送った患者のうち、実際に来院した患者の割合です。リコール率が高いほど、患者が定着していることを示します。70〜80%を目標にしましょう。

キャンセル率は、予約に対するキャンセルの割合です。10%以下を目標にしたいところです。無断キャンセル率も別途把握し、対策を講じましょう。

生産性関連のKPI

ユニット稼働率は、診療ユニットがどれだけ稼働しているかを示す指標です。空きユニットが多いと、設備が有効活用されていないことになります。80〜90%の稼働率を目指しましょう。

スタッフ1人あたり売上は、売上をスタッフ数で割った値です。この数値が低いと、人件費が重くなり、利益を圧迫します。歯科医師1人あたり月間400〜500万円、歯科衛生士1人あたり月間80〜100万円程度が目安です。

費用関連のKPI

人件費率は、売上に占める人件費の割合です。歯科医院では25〜30%程度が目安とされています。これを大幅に超えると、利益を確保しにくくなります。

材料費率は、売上に占める材料費の割合です。10〜15%程度が目安です。自費診療が増えると、材料費は上がりますが、それ以上に売上も上がるため、適正な範囲であれば問題ありません。

 

3. KPIの測定方法

KPIを測定するには、データを収集・集計する仕組みが必要です。レセプトコンピュータから、売上、レセプト枚数、保険・自費の内訳などを出力できます。予約システムから、予約数、キャンセル数、新患数などを把握できます。

月に一度、これらのデータを集計し、一覧表にまとめましょう。Excelやスプレッドシートで管理すると、推移を確認しやすくなります。最初は手間がかかりますが、一度仕組みを作れば、継続的に測定できます。

 

4. KPI改善のポイント

各KPIの改善ポイントを紹介します。新患数を増やすには、ホームページのSEO対策、MEO対策、Web広告、紹介促進などが有効です。リコール率を上げるには、リマインド連絡の徹底、定期検診の重要性の説明、予約の取りやすさ改善などに取り組みましょう。

自費率を上げるには、カウンセリングの強化、説明ツールの充実、スタッフ教育が効果的です。キャンセル率を下げるには、リマインドの送信、予約の重要性の伝達、キャンセル連絡しやすい環境づくりを行いましょう。

人件費率を適正化するには、業務効率化、適正な人員配置、生産性の向上を検討します。ただし、安易な人員削減は、サービス低下やスタッフの負担増につながるため注意が必要です。

 

5. 数値を活用したミーティング

KPIは測定するだけでなく、スタッフと共有し、改善に活かすことが重要です。月に一度、数値を振り返るミーティングを開催しましょう。

ミーティングでは、先月のKPI実績の共有、目標との差異分析、改善策の検討、今月の目標設定などを行います。スタッフも数値を意識することで、自分の仕事が医院の業績にどう貢献しているかを実感でき、モチベーション向上にもつながります。

 

6. まとめ

歯科医院経営では、売上、新患数、リコール率、キャンセル率、自費率、人件費率などのKPIを把握することが重要です。数値を見ることで、現状を正確に把握し、問題を早期発見し、具体的な目標を設定できます。

まずは、自院にとって重要なKPIを絞り込み、毎月測定する仕組みを作りましょう。数値を見る習慣がつけば、経営判断の精度が上がり、医院の成長につながります。

 

 

【ご相談・お問い合わせ】

  • 株式会社リバティーフェローシップ
    東京歯科経営ラボ
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  • メール:n-ozawa@tdmlabo.com
  • Web:https://tdmlabo.com/

 

 

投稿者プロフィール

NAOKI OZAWA
歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。

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