予防歯科を軸にした歯科医院経営|定期管理型への移行戦略

従来の歯科医院経営は、「痛くなったら来る」患者を中心とした治療型モデルでした。しかし、患者数の減少、競争の激化、保険点数の頭打ちなどにより、治療型モデルだけでは安定した経営が難しくなっています。

そこで注目されているのが、予防歯科を軸にした定期管理型の経営モデルです。患者に定期的に来院してもらい、むし歯や歯周病を予防する。この仕組みができれば、患者にとっても医院にとってもメリットがあります。本記事では、予防歯科を軸にした経営への移行戦略を解説します。

 

 ━目 次━
 1. 治療型から定期管理型へ
 2. 定期管理型のメリット
 3. 定期管理型への移行ステップ
 4. 成功のポイント
 5. まとめ

 

1. 治療型から定期管理型へ

治療型モデルでは、患者は症状があるときだけ来院します。治療が終われば来なくなり、また症状が出たら来院する。この繰り返しでは、患者の口腔健康は維持できず、医院の収益も不安定になります。

定期管理型モデルでは、患者は症状がなくても定期的に来院します。歯科衛生士によるメインテナンスを受け、むし歯や歯周病を予防する。問題があれば早期に発見・治療できるため、患者の負担は軽減されます。医院にとっても、安定した来院が見込め、予約管理がしやすくなります。

 

2. 定期管理型のメリット

患者にとってのメリット

患者にとっての最大のメリットは、歯を長く健康に保てることです。定期的なメインテナンスにより、むし歯や歯周病の発症・進行を防げます。早期発見・早期治療により、削る量が少なくて済み、治療費も抑えられます。痛い思いをする回数も減ります。

医院にとってのメリット

医院にとっては、収益の安定化が大きなメリットです。定期来院する患者が増えれば、予約の見通しが立ち、経営計画を立てやすくなります。新患獲得に依存しない経営が可能になります。

また、歯科衛生士の活躍の場が広がります。メインテナンス業務は歯科衛生士が担うため、歯科医師は治療に集中でき、医院全体の生産性が向上します。歯科衛生士にとっても、やりがいのある仕事となります。

 

3. 定期管理型への移行ステップ

ステップ1:院内の意識改革

まず、院長をはじめスタッフ全員が、予防歯科の重要性を理解し、定期管理型への移行に共感することが必要です。「治療をしないと売上が立たない」という発想から、「予防で患者を守ることが医院の使命」という発想への転換が求められます。

ステップ2:メインテナンスの体制整備

定期管理を行うための体制を整えます。歯科衛生士の確保・育成が重要です。メインテナンス専用のユニットを設ける医院もあります。使用する器材、所要時間、料金設定なども決めておきましょう。

メインテナンスの内容としては、口腔内検査、歯周ポケット測定、PMTC、スケーリング、フッ素塗布、ブラッシング指導などが一般的です。

ステップ3:患者への啓発

患者に予防の重要性を理解してもらう啓発活動が必要です。治療が終わった患者に対して、「治療が終わってからがスタートです」「定期的なメインテナンスで再発を防ぎましょう」と伝えます。

なぜ予防が大切なのか、定期検診に来るとどんなメリットがあるのかを、わかりやすく説明しましょう。口腔内写真やイラストを使った説明ツールがあると効果的です。

ステップ4:リコールシステムの構築

定期検診の時期になったら患者に連絡する、リコールシステムを構築しましょう。ハガキ、メール、LINE、電話など、複数の手段を組み合わせると効果的です。リコール率を測定し、改善を続けることが重要です。

リコール間隔は、患者の口腔状態に応じて設定します。一般的には3〜6ヶ月ごとですが、リスクの高い患者は1〜2ヶ月ごとに来院してもらうこともあります。

ステップ5:継続的な改善

定期管理型への移行は、一朝一夕にはできません。リコール率、メインテナンス患者数、患者満足度などを測定し、継続的に改善していきましょう。患者からのフィードバックを受けて、メインテナンスの内容や接遇を改善することも大切です。

 

4. 成功のポイント

定期管理型への移行を成功させるポイントをいくつか挙げます。まず、歯科衛生士の教育です。メインテナンスの技術だけでなく、患者とのコミュニケーション能力、予防の重要性を伝えるスキルが求められます。

次に、予約の取りやすさです。「次は3ヶ月後に」と言っても、予約が取りにくければ患者は来院しません。メインテナンス専用の予約枠を確保するなどの工夫が必要です。
そして、患者との信頼関係です。「この歯科衛生士さんに診てもらいたい」という担当制を導入すると、患者の定着率が上がります。

 

5. まとめ

予防歯科を軸にした定期管理型経営は、患者の口腔健康を守りながら、医院の収益も安定させる理想的なモデルです。治療型から移行するには、院内の意識改革、体制整備、患者への啓発、リコールシステムの構築が必要です。

一朝一夕には実現できませんが、継続的に取り組むことで、徐々に定期来院患者が増え、経営の安定につながります。予防歯科を軸にした医院づくりに、ぜひ取り組んでみてください。

 

 

【ご相談・お問い合わせ】

  • 株式会社リバティーフェローシップ
    東京歯科経営ラボ
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  • メール:n-ozawa@tdmlabo.com
  • Web:https://tdmlabo.com/

 

 

投稿者プロフィール

NAOKI OZAWA
歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。

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