訪問歯科の集患—ケアマネージャーとの関係構築法

訪問歯科は高齢化社会において需要が拡大している分野です。通院が困難な高齢者や要介護者の口腔ケアは、誤嚥性肺炎の予防や栄養状態の維持に直結する重要な医療サービスです。

しかし、訪問歯科の集患は外来とは全く異なります。患者本人が医院を探すことは少なく、ケアマネージャーからの紹介が集患の中心となります。本記事では、訪問歯科の集患の仕組みと、ケアマネージャーとの関係構築法を詳しく解説します。

 

 ━目 次━
 1. 訪問歯科の集患ルート
 2. ケアマネージャーの役割を理解する
 3. ケアマネージャーが歯科を選ぶ基準
 4. ケアマネージャーとの関係構築ステップ
 5. 訪問歯科の報告の仕方
 6. 介護施設との連携
 7. 訪問歯科の体制整備
 8. まとめ

 

1. 訪問歯科の集患ルート

訪問歯科の患者獲得ルートは、外来とは大きく異なります。主な集患ルートとその割合の目安は以下の通りです。

集患ルート

割合の目安

特徴

ケアマネージャーからの紹介

60〜70%

最も多い。信頼関係構築が重要

介護施設からの依頼

15〜20%

まとまった患者数が見込める

既存患者の家族から

10〜15%

外来患者が通えなくなった場合

地域包括支援センター

5〜10%

要支援者への対応

 

この数字からわかるように、訪問歯科の成功はケアマネージャーとの関係構築にかかっていると言っても過言ではありません。ケアマネージャーに選ばれる医院になることが、訪問歯科の集患の鍵です。

 

2. ケアマネージャーの役割を理解する

ケアマネージャー(介護支援専門員)は、要介護者のケアプラン作成と介護サービスの調整を行う専門職です。訪問歯科との関係では以下の役割を担います。

役割

内容

ニーズの把握

利用者の口腔状態や歯科ニーズを把握

サービスの提案

訪問歯科の利用を利用者・家族に提案

事業者の選定

信頼できる訪問歯科を紹介

サービス調整

訪問日時の調整、他サービスとの連携

モニタリング

サービス提供後の状況確認

 

ケアマネージャーは多くの介護サービス事業者と付き合いがあり、その中から利用者に適した事業者を選んで紹介します。訪問歯科も同様で、ケアマネージャーが「この歯科なら安心して紹介できる」と思える医院が選ばれます。

 

3. ケアマネージャーが歯科を選ぶ基準

ケアマネージャーが訪問歯科を紹介する際に重視するポイントを理解することが、選ばれる医院になる第一歩です。

選定基準

具体的な内容

医院がすべきこと

対応の迅速さ

依頼から訪問までのスピード

初回訪問は1週間以内を目指す

報告・連絡の丁寧さ

訪問後の報告、変化時の連絡

毎回の訪問報告を徹底する

利用者への丁寧な対応

高齢者・認知症患者への配慮

研修を行い対応力を高める

緊急時の対応力

急な痛みや入れ歯の破損への対応

緊急連絡先を明示、迅速に対応

他職種との連携姿勢

担当者会議への参加、情報共有

積極的に連携を図る

 

特に重要なのが「報告」です。訪問後の状況報告、治療計画の共有、変化があった際の連絡など、ケアマネージャーが求める情報を適切に提供できる医院は信頼されます。

 

4. ケアマネージャーとの関係構築ステップ

ステップ1:認知してもらう

まず、訪問歯科を行っていることをケアマネージャーに知ってもらう必要があります。

方法

内容

ポイント

あいさつ回り

地域の居宅介護支援事業所を訪問

短時間で済ませる、パンフレット持参

FAXでの案内

訪問歯科開始のお知らせを送付

対応エリア、連絡先を明記

地域の会への参加

ケアマネ連絡会、多職種連携会議

顔を覚えてもらう機会に

勉強会の開催

口腔ケアに関する勉強会を開催

ケアマネ向けの内容で企画

 

ステップ2:信頼を得る

紹介を受けたら、その対応で信頼を勝ち取ります。最初の1件の対応が、その後の継続的な紹介につながるかどうかを左右します。
信頼を得るためのポイントとして、依頼を受けたら迅速に対応する(初回訪問は1週間以内)、訪問後は必ず報告を入れる、利用者・家族に丁寧に対応する、ケアマネージャーの要望や意見に耳を傾ける、問題があれば正直に報告し相談するといった点があります。

ステップ3:関係を深める

継続的に紹介をいただくために、関係を深めていきます。

取り組み

内容

効果

定期的な訪問・連絡

月1回程度の顔出しや情報提供

関係性の維持、存在感のアピール

担当者会議への参加

利用者のケアカンファレンスに出席

チームの一員としての認識

情報提供

口腔ケアに関する資料の提供

専門家としての価値提供

困りごとへの対応

ケアマネが困っている案件への協力

「頼りになる」という評価

 

5. 訪問歯科の報告の仕方

ケアマネージャーが最も重視するのは報告です。適切な報告ができる医院は信頼され、継続的に紹介を受けられます。

報告書に含めるべき内容

項目

記載内容

訪問日時

年月日、開始・終了時刻

実施内容

診察、治療、口腔ケア指導など

口腔状態

むし歯、歯周病、義歯の状態など

治療計画

今後の治療方針、予定回数

次回訪問予定

次回の訪問日時

特記事項

気になる点、家族への伝達事項

 

報告のタイミング

報告は訪問当日〜翌日中に行うのが理想です。FAX、メール、専用システムなど、ケアマネージャーが希望する方法で送付します。

特に初回訪問後の報告は丁寧に行います。利用者の口腔状態、治療の必要性、今後の計画を詳しく説明し、ケアマネージャーが利用者・家族に説明できるレベルの情報を提供します。

 

6. 介護施設との連携

介護施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホームなど)との連携も、訪問歯科の重要な集患ルートです。

施設タイプ

特徴

アプローチ方法

特別養護老人ホーム

要介護度が高い入居者が多い

施設長や看護師へのアプローチ

介護老人保健施設

在宅復帰を目指す施設

リハビリとの連携を提案

有料老人ホーム

施設により入居者層が異なる

施設のニーズをヒアリング

グループホーム

認知症高齢者のための施設

認知症対応の経験をアピール

 

施設との連携では、まとまった患者数が見込めるメリットがありますが、施設側の要望や制約も多いため、柔軟な対応が求められます。

 

7. 訪問歯科の体制整備

ケアマネージャーから選ばれる医院になるためには、訪問歯科の体制を整えることも重要です。

整備項目

内容

対応エリアの明確化

訪問可能な地域を明確にする

対応可能な曜日・時間

訪問歯科に対応できる時間帯を確保

緊急対応体制

急な依頼に対応できる体制

ポータブル機器の整備

訪問用のユニット、レントゲンなど

スタッフの教育

高齢者対応、認知症対応の研修

 

8. まとめ

訪問歯科の集患はケアマネージャーとの関係構築が中心です。まず認知してもらい、紹介を受けたら迅速で丁寧な対応で信頼を得て、継続的な関係を築いていきます。

特に重要なのは報告です。訪問後の報告を迅速かつ丁寧に行うことで、ケアマネージャーからの信頼を獲得できます。「この歯科に任せれば安心」と思ってもらえる医院を目指しましょう。

訪問歯科は今後ますます需要が高まる分野です。地域の高齢者の口腔健康を守るという使命感を持ち、ケアマネージャーや介護施設との連携を深めていくことが、訪問歯科の成功につながります。

 

 

【ご相談・お問い合わせ】

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    東京歯科経営ラボ
  • TEL:03-4405-6234
  • メール:n-ozawa@tdmlabo.com
  • Web:https://tdmlabo.com/

 

 

投稿者プロフィール

NAOKI OZAWA
歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。

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