ホームページがない歯科医院が失っている患者数の話
「うちは長年地域でやっているから、ホームページなんてなくても患者さんは来てくれる」
そう考えている院長先生は、決して少なくありません。実際、紹介や口コミだけで経営が成り立っている歯科医院も存在します。しかし、その裏側で「ホームページがないこと」によって、静かに失われている患者さんがいることに、多くの院長は気づいていません。この記事では、ホームページを持たない、あるいは情報が古いまま放置されている歯科医院が、実際にどれだけの機会を逃しているのかを具体的に整理していきます。
患者さんは「探す」前に「調べる」時代になった

今、初めて歯科医院を受診しようとする患者さんの多くは、まずスマートフォンで検索します。地域名と「歯科」で検索し、表示された医院の中から、ホームページがある医院とない医院を無意識に比較しています。
一昔前であれば、電柱の看板やタウンページ、家族や近所の口コミが医院選びの主な情報源でした。しかし今は、通りすがりに看板を見た人ですら、その場でスマートフォンを取り出して医院名を検索し、ホームページや口コミを確認してから来院を決めるのが当たり前になっています。つまり、看板を見てもらえた瞬間にすでに「ネット上での第一印象」の勝負が始まっているのです。
ここで重要なのは、患者さんは「ホームページがあるかないか」を意識して選んでいるわけではないということです。ただ単に、情報が出てこない医院は選択肢に入る前に検索結果から静かに消えてしまう。これが、ホームページがないことの最大の損失です。患者さんに「選ばれなかった」のではなく、「選択肢にすら上がらなかった」という点が、多くの院長が見落としている部分です。
「知られていない」のではなく「見つけてもらえていない」
地方でよくあるのが、「うちは地域で有名だから大丈夫」という考え方です。しかし、これは既存の患者さんやその周辺の方には当てはまっても、その地域に引っ越してきたばかりの方や、たまたま近くに来て歯が痛くなった方には通用しません。
特に近年は転勤や進学、住み替えなどで居住地を移す人も多く、「その土地に長く住んでいる人」だけを対象にした集患では、新規患者さんの絶対数がじわじわと減っていきます。Googleマップやネット検索で情報が出てこない歯科医院は、こうした「新規の患者さんの母集団」からまるごと除外されてしまいます。存在を知らない人に選ばれることは、当然ながらありません。
また、既存患者さんであっても、引っ越しや転職で通院が難しくなった際に「新しい歯医者を探す」行動を取ります。この時、これまで通っていた医院を紹介しようとしても、ホームページがなければ紹介先の家族や友人に情報を伝えることすら難しくなります。口コミによる紹介すら、ネット上に受け皿がなければ十分に機能しないのです。
具体的に何が起きているのか

ホームページがない、あるいは情報が古いままの歯科医院で起きていることを整理すると、次のようになります。
- 診療時間や休診日が正確に伝わらず、来院前に離脱される
- 自由診療や専門的な治療の情報がなく、比較検討の対象にすら入らない
- 口コミサイトやポータルサイトの情報だけが独り歩きし、医院側の伝えたいことが伝わらない
- 「この医院は今もやっているのか」という不安から、電話問い合わせすらされない
- ドクターの人柄や治療方針が伝わらず、不安を感じた患者さんが他院に流れる
- 求人応募者にも情報が伝わらず、採用面でも機会を逃す
一つひとつは小さなことに見えますが、積み重なると年間で相当数の新規患者さんを取りこぼしている可能性があります。仮に月に5人でも取りこぼしていたとすれば、年間で60人。それが数年続けば、300人以上の新規患者さんとの出会いを逃している計算になります。
「来なくても困らない」は本当か
ホームページがなくても今のところ経営が回っている医院は多くあります。ただし、それは既存患者さんの通院と紹介によって支えられているケースがほとんどです。人口動態が変化し、周辺に新しい医院が増え、患者さんの受診行動がオンライン中心にシフトしていく中で、この構造がこの先何年も続く保証はありません。
近隣に新規開業した歯科医院が、しっかりとしたホームページとGoogleビジネスプロフィールを整備していた場合、これまで紹介や口コミに頼っていた既存の医院は、じわじわと新規患者さんの流入を奪われていくことになります。競合が増えれば増えるほど、この差は顕著に表れてきます。
新規患者さんの流入が細っていることに気づいた時には、すでに数年分の機会を逃してしまっている、というのはよくある話です。売上や来院数の数字がはっきりと落ち込んでから対策を始めても、失った時間を取り戻すのは簡単ではありません。
今すぐできる小さな一歩

大掛かりなホームページ制作にすぐ着手するのが難しくても、まずは次のような点から現状を確認してみることをおすすめします。
- 自院の医院名で検索した際に、何が表示されるかを確認する
- Googleビジネスプロフィールの情報が最新かどうかを確認する
- 競合となりそうな近隣の歯科医院のホームページを見て、情報量を比較する
こうした簡単なチェックだけでも、自院がどれだけの患者さんに見つけてもらえていない状態にあるのか、おおよその見当をつけることができます。
まとめ
ホームページがないことは、「損をしていない」のではなく、「損失に気づいていない」状態です。今すぐ大規模なリニューアルをする必要はなくても、まずは自院がどれだけの患者さんに見つけてもらえていないのか、現状を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。
投稿者プロフィール
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歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。
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