開業前後のWeb集患計画の立て方、ゼロから始める手順

歯科医院の開業準備において、内装・設備・採用・届出といった項目は具体的なタスクとしてイメージしやすく、院長も早い段階から動き始めます。しかしWeb集患の計画は「なんとなく開業前にホームページを作ればいい」という認識にとどまっているケースが多く、具体的な計画を立てないまま開業を迎えてしまう医院が少なくありません。

Web集患の計画なしに開業を迎えると、開業後半年〜1年間は検索からの新患がほぼゼロという状態が続くリスクがあります。開業初年度は開業資金の返済も始まり、収益の安定が最も重要な時期です。この時期にWeb集患が機能していない状態は、経営的に大きなダメージになります。

この記事では、開業前後のWeb集患計画をゼロから立てるための具体的な手順を解説します。これから開業を予定している先生、または開業準備中の先生はぜひ参考にしてください。

 

Web集患計画を立てる前に理解しておくべきこと

Web集患計画を立てる前に、Webを通じた集患がどのような仕組みで機能するかを正確に理解しておくことが重要です。

患者がWebを通じて歯科医院を選ぶプロセスは、大きく3つのステップに分かれます。まずGoogleやYahoo!などの検索エンジンで「地域名+歯医者」などのキーワードで検索し、医院の存在を知ります。次に気になる医院のホームページを複数比較し、診療内容・費用・院長プロフィール・院内写真などを確認して「この医院なら安心できる」という判断をします。最後に問合せフォーム・電話・Web予約などから問合せや予約をして来院します。

このプロセスを踏まえると、Web集患を機能させるためには3つの要素を揃える必要があります。

  • 検索結果に表示されること(SEO)
  • 表示された後に患者に選ばれること(コンテンツ・デザイン)
  • 選ばれた後に問合せにつながること(導線設計)

この3つのうち一つでも欠けていると、Web集患は機能しません。

またWeb集患は即効性のある施策ではありません。ホームページを公開してから検索上位に表示されるまでには3〜6ヶ月かかります。開業後すぐに効果が出るものではないため、開業前から計画的に動き始めることが不可欠です。

 

ステップ①:開業12ヶ月前〜「開業エリアの市場調査」

Web集患計画の最初のステップは、開業エリアの市場調査です。競合医院の状況・ターゲット患者層・地域の特性を把握することで、自院がどんなポジションを取るべきかが明確になります。

競合医院のホームページ調査

開業エリアの競合医院のホームページを実際に閲覧し、以下の点を確認してください。どのキーワードで検索上位に表示されているか、ホームページのコンテンツの充実度はどの程度か、自費診療のページはどの程度充実しているか、デザインのクオリティはどの程度か、Web予約・LINE予約に対応しているか、といった点を確認することで、自院が差別化すべきポイントが見えてきます。

競合医院のホームページが充実している場合、同じ土俵で戦うより特定の診療(インプラント・矯正・小児歯科など)に特化したコンテンツで差別化する戦略が有効です。一方競合医院のホームページが弱い場合は、標準的なホームページでも十分な集患が期待できます。

ターゲット患者層の設定

開業エリアの人口構成・年齢層・家族構成などを把握した上で、自院がメインにターゲットとする患者層を設定してください。ファミリー層が多い住宅地では小児歯科・予防歯科・家族で通える歯科医院という訴求が有効です。高齢者が多いエリアでは入れ歯・インプラント・訪問診療のニーズが高い傾向があります。若いビジネスパーソンが多いエリアでは審美治療・矯正・土日診療という訴求が響きます。ターゲット患者層を明確にすることで、ホームページのコンテンツ・デザイン・キーワード設計の方向性が決まります。

 

ステップ②:開業12〜6ヶ月前〜「Web集患の基盤整備」

市場調査が完了したら、Web集患の基盤を整備します。この段階では主にドメインの取得・制作会社の選定・キーワード設計を行います。

ドメインの取得

開業エリアと医院名を組み合わせたドメインを早めに取得してください。ドメインの運用歴はGoogleの評価に影響するため、開業の1年前には取得しておくことが理想です。費用は年間1,000〜2,000円程度と安価なので、開業準備の早い段階で取得しておくことをおすすめします。

ドメイン名は医院名をそのまま使うか、「地域名+歯科」を組み合わせた形にすることが多いです。長すぎるドメイン名は患者に覚えてもらいにくいため、シンプルで覚えやすいドメイン名を選んでください。

制作会社の選定

Web集患計画において制作会社の選定は非常に重要なステップです。歯科専門の制作会社を選ぶことを強くおすすめします。歯科医院の集患に精通した制作会社であれば、キーワード設計・コンテンツ制作・SEO対策・公開後のサポートまで一貫して対応してもらえます。

制作会社の選定にあたっては、歯科医院の制作実績・ライターの専門性・SEO対策の具体的な内容・公開後のサポート体制・費用と納期を確認してください。複数の会社から見積もりを取り、内容を比較した上で選定することをおすすめします。

キーワード設計

制作会社と相談しながら、自院のホームページで狙うキーワードを設計してください。「地域名+歯医者」というメインキーワードに加え、「地域名+インプラント」「地域名+矯正」「地域名+小児歯科」など、診療内容ごとのキーワードも設計します。

キーワード設計はホームページの各ページの構成を決める上での土台になります。どのページでどのキーワードを狙うかを明確にした上で制作を進めることで、SEO効果の高いホームページが完成します。

 

ステップ③:開業6〜3ヶ月前〜「ホームページの制作・公開」

キーワード設計が完了したら、ホームページの制作を開始します。このステップでは制作と並行してGoogleビジネスプロフィールの登録も行います。

ホームページの制作

キーワード設計をもとにページ構成を決め、各ページのコンテンツを制作します。トップページ・診療内容ページ・料金ページ・院長プロフィールページ・アクセスページ・問合せページが最低限必要なページです。自費診療に力を入れる場合は、インプラント・矯正・審美治療などの専用ページも制作します。

文章は歯科医療の知識を持つライターに任せることをおすすめします。専門性の高い文章は患者の信頼を獲得するだけでなく、SEO評価にも好影響を与えます。写真は内装工事が完了した段階でプロカメラマンに撮影を依頼し、開業前の最も綺麗な状態を記録しておいてください。

開業3ヶ月前には公開する

制作が完了したら、開業3ヶ月前には公開してください。公開後すぐにGoogleビジネスプロフィールを登録し、医院名・住所・電話番号・診療時間・ウェブサイトURLを正確に入力してください。公開からGoogleが評価するまでの期間を確保することが、開業時点での検索順位に直結します。

公開後はブログを開始する

ホームページ公開後、すぐにブログの配信を開始してください。開業前のブログテーマとしては、院長の診療への思い・開業エリアへの思い・医院のコンセプト・治療への取り組みなどが適しています。開業前の期間を活用してブログ記事を蓄積しておくことで、開業時点でコンテンツが充実した状態でスタートできます。

 

ステップ④:開業月〜「開業直後の集患施策」

開業月には以下の施策を実施することで、開業直後からWeb経由の新患獲得を最大化できます。

予約受付の開始

開業前からWeb予約を受け付けることで、開業初日から予約が入っている状態を作ることができます。Web予約システムをホームページに導入し、開業1〜2ヶ月前から予約受付を開始してください。「○月○日開業予定・現在予約受付中」という告知をホームページに掲載することで、開業前から新患の予約獲得が可能になります。

LINE公式アカウントの開設

LINE公式アカウントを開設し、ホームページからの問合せをLINEでも受け付けられる状態にしておくことをおすすめします。特に20〜40代の患者はLINEでの問合せを好む傾向があり、電話よりも問合せのハードルが低くなります。開業告知・予約受付・お知らせの発信など、LINE公式アカウントは集患の幅を広げる有効なツールです。

Googleビジネスプロフィールの積極的な活用

開業後はGoogleビジネスプロフィールへの写真追加・投稿の更新を定期的に行ってください。開業直後はGoogleクチコミがゼロの状態ですが、来院した患者にクチコミをお願いすることでクチコミが蓄積されていきます。クチコミ数と評価はGoogleマップの表示順位に直結するため、開業後早い段階からクチコミを集める取り組みを始めることが重要です。

 

ステップ⑤:開業後3ヶ月〜半年〜「効果測定と改善」

開業後3ヶ月が経過したら、ホームページのアクセスデータを確認し、改善に取り組みます。

アクセス解析の確認

Google AnalyticsとSearch Consoleを活用して、以下のデータを確認してください。月間のアクセス数・どのキーワードで流入しているか・どのページが最も読まれているか・どのページで離脱が多いか・問合せページへの遷移率はどの程度かといったデータを把握することで、改善の優先順位が明確になります。

アクセス数が少ない場合はSEO対策の見直しが必要です。アクセスはあるのに問合せが少ない場合はコンテンツと導線の改善が必要です。どちらの問題があるかを正確に把握した上で改善に取り組むことが重要です。

コンテンツの追加・充実

開業後3〜6ヶ月のアクセスデータをもとに、追加すべきコンテンツを特定してください。アクセスが集まっているページのテーマをさらに深掘りした記事を書くことで、そのテーマでの検索流入をさらに増やすことができます。また開業時点では十分に作れなかった自費診療の専用ページを、開業後に充実させることも重要です。

 

開業前後のWeb集患計画タイムライン

時期

やるべきこと

開業12ヶ月前

競合調査・ターゲット設定・ドメイン取得

開業9ヶ月前

制作会社の選定・キーワード設計

開業6ヶ月前

ホームページ制作開始

開業3ヶ月前

ホームページ公開・Googleビジネスプロフィール登録・ブログ開始

開業1ヶ月前

プロカメラマン撮影・予約受付開始・LINE公式アカウント開設

開業月

開業告知コンテンツ追加・クチコミ収集開始

開業3ヶ月後

アクセス解析確認・改善施策の実施

開業6ヶ月後

コンテンツ追加・自費診療ページの充実

開業1年後

全体効果測定・リニューアル検討

 

まとめ

開業前後のWeb集患計画は、開業12ヶ月前からの市場調査・ドメイン取得・制作会社選定に始まり、開業3ヶ月前のホームページ公開・開業月の各種施策・開業後の継続的な改善という流れで進めることが重要です。Web集患は即効性のある施策ではなく、計画的に積み上げることで開業初年度から安定した新患獲得が実現します。「開業してから考える」ではなく、開業準備の早い段階からWeb集患の計画を立てて動き始めることが、開業を成功させるための重要な一手です。開業前後のWeb集患計画についてのご相談は、無料相談フォームよりお気軽にどうぞ。

投稿者プロフィール

NAOKI OZAWA
歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。

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