自費治療は誰のため?~多くの先生の思い違い~

こんにちは、歯科医院経営コンサルタントの小澤です。

今回は、歯科医院における自費治療についてお話します。

「自費売上アップ」「自費率アップ」という内容のセミナーは数多くあるので、興味があり参加される先生もたくさんいらっしゃいます。

しかし、実際に行動に移そうとすると、ある不安が頭をよぎり何も出来ずに時間だけが過ぎてしまった。

そんな経験のある先生も多いのではないでしょうか。

私は、前職で10年間コンサルタントとして経営セミナーに参加していましたが、そのような先生から毎年たくさんの相談をいただいてきました。

院長が自費治療に関して抱える「不安」とは

それは『売り込み感』です。

自費治療をすすめたことが原因で「あの医院は金儲けをしようとしている」と患者さんが感じ、離れていってしまう・・・。と多くの先生は考えます。

 

結論から言います。

自費治療をすすめられたことが直接的な原因となって離れていく患者さんはいません。原因は他にあります。

これからその根拠についてご説明します。

保険内治療が患者さんのためになるとは限らない

日本の保険制度は誰でも平等な治療が受けられるすばらしい制度です。しかしながら、治療行為、治療に使用できる材料等が細かく決められていて、すべての治療を保険内で行うことが、患者さんにとってベストな治療であるとは限りません。

日本の歯科医療は健康保険が適用され、虫歯の除去、抜歯、抜髄、歯石除去等はすべて保険内で治療できます。今後さらに多くの治療が保険範囲内ででき、患者さんの負担が少なくなればいうことはありません。しかし、やむなく抜歯となってしまった場合、保険内治療であるブリッジを選択することがすべての患者さんのためになるのでしょうか。数年後にブリッジを入れた箇所に二次カリエスが発生する可能性があることや、隣在する健全歯を削るということのデメリットを、患者さんは理解しているでしょうか。

患者さんが持つ自費治療のイメージ

自費治療は一般的に高額なイメージを持つ方が多いようです

そもそも日本は、残念ながら世界の中でも口腔内に充てる治療費の水準がとても低いと言われています。

健康保険であれば多くの人は三割負担で歯科治療を受けることができるので、保険内での治療であれば患者さんが実際に支払う治療費はとても少なく済みます。

そのため、適正な自費治療費でも割高と感じてしまうのです。

患者さんは、保険治療は安く済ませることができるというメリットは理解できても、自費治療に関する様々なメリットは歯科医師からの説明が無いかぎり理解できません

患者さんのニーズを引き出す

大半の方は歯の痛みを取りたいと思い、歯医者にきます。

この場合、患者さんのニーズは「歯の痛みを取り除くこと」です。

たとえ痛みが取れても治療は続きますが、もはや患者さんにとってのニーズは無くなっています。

治療の途中で中断してしまう患者さんがいるように、ほとんどの患者さんは先生が考えているよりもずっと、自分の口腔内に関して興味がありません。

「歯の痛みを取り除くこと」以外のニーズを引き出すためには、口腔内におけるたくさんの知識を患者さんに伝える必要があります。

また来院の理由や、疑問点、要望などをしっかりヒアリングして治療計画を立て、主訴以外の提案を行うことも重要です。

このヒアリングは、衛生士さんや助手さんのほうが得意なケースもあります。

患者さんと接する時間が長い分、信頼関係も出来ており「院長先生には言いづらいけど・・・」と悩みを打ち明けてくれるケースも少なくありません。

毎回の治療の際に信頼関係を築くことで、口腔内に関するあらゆる提案や説明を受け入れてもらえ、結果として新しいニーズを引き出すことができるのです。

まとめ

自費治療の提案をすることは、確かに医院の売上に直結する経営上メリットの大きなことでもありますが、それ以前に患者さんの健康にとっても多くのメリットがあります。

患者さんに満足してもらい、そのメリットを十分に理解してもらうためにはコミュニケーションを多くとる事が重要です。

そしてまずは「売上アップのために自費の説明をしていると思われたくない」という院長の考え方を変えましょう。

「医院の売上のために」ではなく「患者さんのお口の健康のために」説明をしているという認識を持つことで、患者さんとのコミュニケーションも変わってきます。

コミュニケーションが変われば「売り込み感」を心配することはなくなるでしょう。

たくさんの患者さんを機械的に治療することよりも、一人の患者さんにたっぷり時間をかけて治療内容の説明や、最適な治療方法が選択できるよう多くのコミュニケーションをとる事で、患者さんとの関係性は大きく変わってきます。

そして自然と「自費売上」がアップし医院にとっての『メリット』となるのです。

 

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