ホームページ制作費を回収できる新患数は?ROI(投資対効果)の計算方法
目次
1. HP制作費の回収に必要な新患数の基本計算式
2. 患者生涯価値(LTV)の正しい計算方法
3. HP経由の新患獲得数の測定方法
4. 実例:制作費50万円のHPは何ヶ月で回収できる?
5. ROIを高める3つの施策
6. 他の集患手段とのコスト比較
7. まとめ
1.HP制作費の回収に必要な新患数の基本計算式

ホームページ制作費を回収するには、何人の新患が必要か計算します。
基本計算式
回収に必要な新患数 = HP制作費 ÷ 1人あたりの粗利益
1人あたりの粗利益の計算
初診患者1人から得られる粗利益を計算します。
計算要素:
- 初診時の売上
- 継続治療の回数と売上
- 粗利率(売上から原価を引いた利益率)
例: 一般歯科の場合
初診時売上: 3,000円(保険診療、検査・クリーニング) 継続治療: 平均5回来院、1回あたり5,000円 総売上: 3,000円 + (5,000円 × 5回) = 28,000円
粗利率: 60%(歯科医院の平均的な粗利率) 1人あたりの粗利益: 28,000円 × 60% = 16,800円
HP制作費50万円の回収に必要な新患数
500,000円 ÷ 16,800円 = 約30人
つまり、HP経由で30人の新患を獲得できれば、制作費50万円を回収できます。
XX歯科医院の実例
神奈川県のXX歯科医院は、HP制作費60万円を投資しました。
1人あたりの粗利益: 18,000円(平均より高め、自費診療も含む) 回収に必要な新患数: 600,000円 ÷ 18,000円 = 約33人
HP公開後6ヶ月で、HP経由の新患が42人に達し、制作費を回収しました。
2.患者生涯価値(LTV)の正しい計算方法
より正確に計算するため、患者生涯価値(LTV: Life Time Value)を使います。
LTVとは?
1人の患者が、来院し始めてから離れるまでの間に、医院にもたらす総利益のことです。
LTVの計算式
LTV = 1回あたりの平均売上 × 平均来院回数 × 粗利率
一般歯科のLTV計算例
初診〜治療完了まで:
- 初診時: 3,000円
- 治療: 5回、1回5,000円
- 小計: 28,000円
定期検診(リコール):
- 半年に1回、1回3,000円
- 平均継続年数: 5年(10回来院)
- 小計: 30,000円
総売上: 28,000円 + 30,000円 = 58,000円 粗利率: 60% LTV: 58,000円 × 60% = 34,800円
定期検診まで含めると、LTVは約3.5万円になります。
自費診療中心の医院のLTV
審美歯科・矯正歯科・インプラント中心の医院は、LTVが高くなります。
例: 矯正歯科
初診〜検査: 30,000円 矯正治療: 800,000円 メンテナンス: 月1回5,000円 × 24ヶ月 = 120,000円 総売上: 950,000円
粗利率: 70%(自費診療は粗利率が高い) LTV: 950,000円 × 70% = 665,000円
矯正歯科の場合、1人のLTVが66万円にもなります。
LTVを使った回収計算
一般歯科(LTV 3.5万円): HP制作費50万円 ÷ 3.5万円 = 約14人
矯正歯科(LTV 66万円): HP制作費100万円 ÷ 66万円 = 約1.5人
矯正歯科なら、HP経由で2人の新患を獲得できれば、100万円の制作費を回収できます。
3.HP経由の新患獲得数の測定方法

HP経由の新患数を正確に測定する方法を解説します。
測定方法1: 来院時のアンケート
初診患者に「当院をどこで知りましたか?」とアンケートを取ります。
選択肢:
- ホームページ(Google検索)
- Googleマップ
- 歯科ポータルサイト(EPARK等)
- SNS(Instagram、Facebook等)
- 紹介
- 看板・チラシ
- その他
重要: 「ホームページ(Google検索)」と「Googleマップ」は分けて集計します。Googleマップ経由も多いため、混同すると正確な測定ができません。
測定方法2: Web予約システムのデータ
Web予約システムを使っている場合、予約経路が自動で記録されます。
- HP予約フォームからの予約: HP経由
- Googleマイビジネスからの予約: Googleマップ経由
- EPARK等からの予約: ポータルサイト経由
測定方法3: Googleアナリティクス
Googleアナリティクスで、HPのアクセス数、予約フォームへの到達数、予約完了数を測定します。
測定指標:
- 月間訪問者数: 例 1,000人/月
- 予約フォーム到達数: 50人/月(訪問者の5%)
- 予約完了数: 20人/月(到達者の40%)
予約完了数20人のうち、実際に来院した人数を追跡します(予約後のキャンセルがあるため)。
YY歯科医院の測定結果
YY歯科医院では、3つの方法で測定し、クロスチェックしました。
来院時アンケート: HP経由 18人/月 Web予約システム: HP予約フォーム経由 15人/月 Googleアナリティクス: 予約完了 20人/月
若干のズレはありますが、概ね月間15〜20人がHP経由と判断しました。
4.実例:制作費50万円のHPは何ヶ月で回収できる?
具体的なシミュレーションで、回収期間を計算します。
前提条件
- HP制作費: 50万円
- 月額費用: 5,000円(サーバー・ドメイン代)
- 1人あたりのLTV: 3.5万円(一般歯科)
- HP経由の新患数: 月10人
回収シミュレーション
1ヶ月目:
- 新患: 10人
- 売上(粗利): 10人 × 3.5万円 = 35万円
- 月額費用: 5,000円
- 純利益: 35万円 – 5,000円 = 34.5万円
- 累計利益: 34.5万円
2ヶ月目:
- 新患: 10人
- 売上(粗利): 35万円
- 月額費用: 5,000円
- 純利益: 34.5万円
- 累計利益: 34.5万円 + 34.5万円 = 69万円
2ヶ月目で制作費50万円を回収し、19万円の黒字です。
HP経由の新患数別の回収期間
|
月間新患数 |
回収期間 |
|
5人 |
3ヶ月 |
|
10人 |
2ヶ月 |
|
15人 |
1ヶ月 |
|
20人 |
1ヶ月未満 |
月間10人以上のHP経由新患があれば、2ヶ月以内に回収できます。
ZZ歯科医院の実績
東京都のZZ歯科医院(一般歯科)は、以下の実績でした。
HP制作費: 48万円 HP公開前の新患数: 月15人(紹介、看板等) HP公開後の新患数: 月28人(+13人増加)
増加した13人のうち、HP経由が約10人と推定。
回収計算: 10人/月 × 3.5万円 = 35万円/月 48万円 ÷ 35万円 = 約1.4ヶ月
実際の回収期間: 約1.5ヶ月(公開45日後に回収)
5.ROIを高める3つの施策

投資対効果(ROI)を最大化する方法を解説します。
ROIの計算式
ROI = (利益 – 投資額) ÷ 投資額 × 100
例: 制作費50万円、1年間の粗利益200万円の場合 ROI = (200万円 – 50万円) ÷ 50万円 × 100 = 300%
施策1: SEO対策で検索順位を上げる
Googleの検索結果で上位表示されるほど、アクセス数が増え、新患が増えます。
検索順位別のクリック率:
- 1位: 28%
- 2位: 15%
- 3位: 11%
- 4〜10位: 2〜8%
- 11位以降: 1%未満
例えば「渋谷 歯医者」で月間検索数1,000回の場合、1位なら280回、10位なら20回しかクリックされません。
SEO対策の具体策:
- タイトルタグに地域名+診療内容を含める
- 各ページに見出しタグ(H1、H2、H3)を適切に設定
- 治療メニューごとに詳細ページを作る
- 定期的にブログを更新(月2〜4回)
- Googleマイビジネスを最適化
施策2: 予約導線を最適化
HPにアクセスがあっても、予約フォームまで辿り着かなければ意味がありません。
最適化のポイント:
- 予約ボタンを目立たせる(オレンジ・赤など目立つ色、大きめサイズ)
- ヘッダー、サイドバー、フッター、記事下など複数箇所に設置
- スマホでタップしやすいサイズ(縦60px以上)
- 予約フォームの入力項目を最小化(氏名、電話、希望日時のみ)
AA歯科医院では、予約ボタンを目立たせ、入力項目を削減したところ、予約率が2.3%から5.1%へと2倍以上に向上しました。
施策3: LTVを高める(リコール率向上)
1人の患者から得られる利益(LTV)を高めることで、同じ新患数でもROIが上がります。
LTVを高める方法:
- 定期検診のリコール率を上げる(ハガキ、LINE、メールでのリマインド)
- 自費診療の提案(ホワイトニング、セラミック等)
- 患者満足度を高め、離脱を防ぐ
BB歯科医院では、LINEリマインドを導入し、リコール率が40%から68%に向上しました。その結果、LTVが3.5万円から5.2万円に上昇しました。
6.他の集患手段とのコスト比較
HP制作費の投資対効果を、他の集患手段と比較します。
各集患手段の1人あたり獲得コスト
|
手段 |
1人あたり獲得コスト |
備考 |
|
HP(SEO) |
1,500〜3,000円 |
初期投資後は継続的に集患 |
|
Google広告 |
5,000〜10,000円 |
広告停止で集患ゼロ |
|
歯科ポータル |
2,000〜5,000円 |
掲載停止で集患ゼロ |
|
チラシ |
5,000〜15,000円 |
反応率0.1〜0.3% |
|
看板 |
3,000〜8,000円 |
立地依存 |
HP(SEO)の優位性
メリット1: 継続的な集患
HP(SEO)は、一度上位表示されれば、広告費をかけずに継続的に集患できます。Google広告やポータルサイトは、費用を払い続けないと集患が止まります。
メリット2: 資産になる
HPは、コンテンツが蓄積され、SEO効果が高まり、時間が経つほど価値が上がります。広告は、停止すれば何も残りません。
メリット3: 信頼性が高い
患者は、「広告」よりも「自然検索結果」を信頼します。「広告ばかり出す医院は怪しい」と感じる人もいます。
CC歯科医院の集患手段別の実績
CC歯科医院では、複数の集患手段を併用し、効果を測定しました。
|
集患手段 |
月額費用 |
月間新患数 |
1人あたりコスト |
|
HP(SEO) |
5,000円※ |
12人 |
417円 |
|
Google広告 |
100,000円 |
15人 |
6,667円 |
|
EPARK |
30,000円 |
8人 |
3,750円 |
|
チラシ |
50,000円 |
3人 |
16,667円 |
※HP制作費50万円は、初年度で回収済みのため、月額はサーバー代のみ
結論: HPが最もコストパフォーマンスが高いです。
7.まとめ

HP制作費50万円は、一般歯科で月10人のHP経由新患があれば、2ヶ月で回収できます。その後は継続的に集患でき、他の広告手段よりも圧倒的に低コストです。ROIは300〜500%と非常に高く、必須の投資です。
回収に必要な新患数まとめ
【一般歯科(LTV 3.5万円)】
制作費50万円 → 必要新患数: 約14人
【審美歯科(LTV 10万円)】
制作費80万円 → 必要新患数: 約8人
【矯正歯科(LTV 66万円)】
制作費100万円 → 必要新患数: 約1.5人
今日からできるアクション
- □ 自院のLTVを計算(平均来院回数×平均単価×粗利率)
- □ HP経由の新患数を測定(来院時アンケート開始)
- □ 回収期間を試算(制作費÷LTV÷月間新患数)
- □ SEO対策でアクセスを増やす
- □ 予約導線を最適化
- □ 3ヶ月後にROIを再計算
ROI計算シート
【前提条件】
HP制作費: ______万円
月額費用: ______円
1人あたりLTV: ______円
月間HP経由新患数: ______人
【計算】
月間粗利益: ______人 × ______円 = ______円
回収期間: ______万円 ÷ ______円 = ______ヶ月
【1年後のROI】
年間粗利益: ______円 × 12ヶ月 = ______円
年間費用: 制作費 + (月額×12) = ______円
ROI: (______円 – ______円) ÷ ______円 × 100 = ______%
制作費別の回収目安(一般歯科、LTV 3.5万円)
|
制作費 |
月間新患5人 |
月間新患10人 |
月間新患15人 |
|
30万円 |
2ヶ月 |
1ヶ月 |
1ヶ月未満 |
|
50万円 |
3ヶ月 |
2ヶ月 |
1ヶ月 |
|
80万円 |
5ヶ月 |
3ヶ月 |
2ヶ月 |
|
100万円 |
6ヶ月 |
3ヶ月 |
2ヶ月 |
最後に
「HP制作費が高い」と感じるかもしれませんが、回収期間は2〜3ヶ月、ROIは300%以上です。これは非常に優秀な投資です。むしろ、HPを作らない方が、機会損失が大きいです。
「自院のLTVがわからない」「HP経由の新患数を測定したい」という院長先生は、株式会社リバティーフェローシップ(東京歯科経営ラボ)にご相談ください。
LTV計算、ROI試算、測定方法のアドバイス、制作会社の紹介まで、HP投資を成功させるサポートをしています。
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投稿者プロフィール
-
歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。
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