分院のホームページは本院と統一?別々?多店舗展開のWeb戦略比較
分院を展開している、またはこれから展開を予定している歯科医院にとって、ホームページをどのように構成するかは重要な戦略的判断です。
本院と分院を統一したサイトで運用するか、それぞれ独立したサイトを持つか。この選択によって、集患効果、運用コスト、ブランド構築のあり方が大きく変わります。本記事では、統一サイトと独立サイト、それぞれのメリット・デメリットを比較し、最適な選択の考え方を解説します。
目次
1. 多店舗展開におけるWeb戦略の重要性
2. 3つの選択肢の概要
3. 統一サイト方式のメリット・デメリット
4. 独立サイト方式のメリット・デメリット
5. ハイブリッド方式のメリット・デメリット
6. SEOの観点から見た比較
7. 患者目線で考える最適解
8. 運用・コストの観点から見た比較
9. 状況別・推奨する方式
10. まとめ
1.多店舗展開におけるWeb戦略の重要性

歯科医院の多店舗展開において、Web戦略は単なる情報発信にとどまらず、経営戦略そのものに直結します。
各院の集患力を最大化しつつ、グループ全体としてのブランド力も高めていく必要があります。この両立は簡単ではなく、ホームページの構成によって成果が大きく左右されます。
また、多店舗展開では「本院と分院の関係性」「グループとしての統一感」「各院の独自性」のバランスを取る必要があります。患者さんにとって、グループ内のどの医院を選んでも同じ品質の治療が受けられるという安心感を与えながら、各院の特色も伝えなければなりません。
このバランスをホームページでどう表現するかが、多店舗展開のWeb戦略における核心的な課題です。
2.3つの選択肢の概要
分院のホームページ構成には、大きく分けて3つの選択肢があります。
統一サイト方式
1つのドメイン、1つのサイト内で、本院と分院の情報をすべて掲載する方式です。
URLの例として、本院は www.〇〇dental-group.com/honin/、A分院は www.〇〇dental-group.com/a-clinic/、B分院は www.〇〇dental-group.com/b-clinic/ のような構造になります。
独立サイト方式
本院と各分院がそれぞれ独自のドメインを持ち、完全に独立したサイトとして運用する方式です。
URLの例として、本院は www.〇〇dental-honin.com、A分院は www.〇〇dental-a.com、B分院は www.〇〇dental-b.com のような構造になります。
ハイブリッド方式
グループ全体の総合サイトを持ちつつ、各院も独立したサイトを持つ方式です。
URLの例として、グループサイトは www.〇〇dental-group.com、本院は www.〇〇dental-honin.com、各分院も独自ドメインを持つ構造になります。
3.統一サイト方式のメリット・デメリット

メリット
制作・運用コストを抑えられる
サイトが1つで済むため、制作費用は独立サイト方式と比べて大幅に抑えられます。CMSの管理、サーバー契約、SSL証明書なども1つで済み、ランニングコストも削減できます。
更新・管理が効率的
診療方針の変更、料金改定、共通のお知らせなど、グループ全体に関わる情報を一度の更新で反映できます。複数サイトを個別に更新する手間が省けます。
グループとしてのブランド構築がしやすい
統一されたデザイン、トーン、メッセージにより、グループ全体としての一貫したブランドイメージを構築しやすくなります。患者さんに「どの医院でも同じ品質」という安心感を与えられます。
ドメインパワーの集中
すべてのコンテンツが1つのドメインに集約されるため、サイト全体としてのドメインパワー(検索エンジンからの評価)が高まりやすくなります。
デメリット
ローカルSEOで不利になる可能性
各院が異なるエリアに所在する場合、「〇〇駅歯医者」のような地域キーワードでの検索において、独立サイトに比べて上位表示が難しくなる可能性があります。
各院の独自性を出しにくい
統一サイト内では、各院のページはあくまでサイトの一部という位置づけになります。各院の院長の個性や特色を強くアピールしにくくなります。
サイト構造が複雑になりがち
院数が増えるにつれて、サイト構造が複雑になり、患者さんが目的の情報にたどり着きにくくなる可能性があります。
1つのサイトの問題が全体に影響
サーバーダウン、セキュリティ問題などが発生した場合、グループ全体のWeb集患に影響します。
4.独立サイト方式のメリット・デメリット

メリット
ローカルSEOに強い
各院が独自ドメインを持つことで、それぞれの所在地に関連するキーワードで上位表示を狙いやすくなります。「〇〇駅歯医者」「△△市インプラント」といった検索で、該当エリアの院が独立して評価されます。
各院の独自性をアピールできる
各院の院長の専門性、得意な治療、医院の雰囲気など、独自の特色を前面に出したサイト設計が可能です。「グループの一医院」ではなく「この医院」として認知されやすくなります。
リスク分散ができる
1つのサイトに問題が発生しても、他の院のサイトには影響しません。
M&Aや事業承継に柔軟に対応できる
将来的に特定の院を売却したり、独立させたりする場合、独立サイトであれば対応がスムーズです。
デメリット
制作・運用コストが高い
院数分のサイトを制作・運用するため、コストは院数に比例して増加します。ドメイン、サーバー、SSL証明書、更新作業などすべてが複数必要になります。
管理が煩雑になる
複数サイトの更新、整合性の確認、セキュリティ管理など、運用の手間が大幅に増えます。グループ全体の情報変更があった場合、すべてのサイトを個別に更新する必要があります。
ブランドの統一感を保ちにくい
各サイトが独立しているため、デザインやトーンにばらつきが生じやすくなります。「同じグループの医院」という認識を持ってもらいにくくなる可能性があります。
ドメインパワーが分散する
各サイトがゼロからドメインパワーを構築する必要があり、グループ全体としてのWeb資産が分散します。
5.ハイブリッド方式のメリット・デメリット

メリット
グループブランドと各院の独自性を両立できる
グループサイトでブランドイメージを統一しつつ、各院の独立サイトで地域に根ざした集患活動ができます。患者さんは、グループの信頼性と各院の特色の両方を知ることができます。
ローカルSEOとブランドSEOの両方を狙える
各院の独立サイトで地域キーワードを狙いつつ、グループサイトで「〇〇デンタルグループ」のようなブランドキーワードでの認知を高められます。
柔軟な情報発信が可能
グループ全体のニュース、採用情報、理念などはグループサイトで発信し、各院の診療情報、キャンペーンなどは各院サイトで発信するという使い分けができます。
デメリット
最もコストがかかる
グループサイトに加えて各院の独立サイトも制作・運用するため、3つの方式の中で最もコストが高くなります。
運用の複雑さが増す
サイト間の連携、情報の整合性、更新の漏れなど、管理すべきポイントが増えます。
SEO効果の分散リスク
グループサイトと各院サイトで類似したコンテンツを掲載すると、検索エンジンから重複コンテンツと見なされるリスクがあります。コンテンツの役割分担を明確にする必要があります。
6.SEOの観点から見た比較
SEOの観点から、各方式を比較します。
ローカルSEO(地域検索)
|
方式 |
評価 |
理由 |
|
統一サイト |
△ |
複数地域の情報が混在し、特定地域での評価が分散 |
|
独立サイト |
◎ |
各サイトが特定地域に特化でき、評価されやすい |
|
ハイブリッド |
○ |
各院サイトで地域SEOを狙える |
「〇〇駅歯医者」のような地域キーワードでの上位表示を重視する場合、独立サイト方式が有利です。
ドメインパワーの蓄積
|
方式 |
評価 |
理由 |
|
統一サイト |
◎ |
すべてのコンテンツが1ドメインに集約 |
|
独立サイト |
△ |
各サイトが個別にドメインパワーを構築 |
|
ハイブリッド |
○ |
グループサイトに一定のパワーが蓄積 |
長期的にドメインパワーを蓄積し、様々なキーワードで上位表示を狙う場合、統一サイト方式が有利です。
Googleビジネスプロフィールとの連携
Googleマップ経由の集患を考えると、各院のGoogleビジネスプロフィールとホームページの連携が重要です。
独立サイト方式では、各院のGoogleビジネスプロフィールから直接その院のサイトにリンクできるため、連携がスムーズです。
統一サイト方式では、各院のページにリンクすることになりますが、ページ階層が深くなるとユーザー体験に影響する可能性があります。
7.患者目線で考える最適解
SEOや運用効率も重要ですが、最終的には患者さんにとって使いやすいかどうかが重要です。
患者さんの検索行動
患者さんは通常、自分が通える範囲の歯科医院を探します。検索キーワードは「自宅や職場の最寄り駅+歯医者」「地域名+歯科」といった形が多いです。
この場合、検索結果に表示されるのは「〇〇デンタルグループ A分院」よりも「〇〇歯科医院」の方が、「地域の歯医者」として認識されやすいです。
患者さんが知りたい情報
患者さんがホームページで知りたいのは、自分が通う予定の医院の情報です。診療時間、アクセス、担当医師、院内の雰囲気など、具体的な情報を求めています。
統一サイト方式の場合、グループ全体の情報と各院の情報が混在し、目的の情報にたどり着きにくくなる可能性があります。
独立サイト方式であれば、その院の情報に集中したサイト構成にでき、患者さんにとってわかりやすくなります。
グループの信頼性
一方で、グループとしての信頼性を求める患者さんもいます。「複数の医院を展開している実績のあるグループ」という情報は、安心材料になります。
この場合、ハイブリッド方式で、各院サイトからグループサイトへの導線を設け、グループの理念や実績を見てもらう構成が効果的です。
8.運用・コストの観点から見た比較

初期制作費用の目安
|
方式 |
費用目安 |
内訳 |
|
統一サイト |
100〜200万円 |
1サイト(複数院のページを含む) |
|
独立サイト |
院数×50〜100万円 |
各院それぞれのサイト |
|
ハイブリッド |
150〜300万円+各院サイト |
グループサイト+各院サイト |
3院展開の場合、統一サイトなら100〜200万円、独立サイトなら150〜300万円、ハイブリッドなら250〜500万円程度が目安です。
運用コストの目安
|
方式 |
月額目安 |
内訳 |
|
統一サイト |
2〜5万円 |
1サイトの保守・更新 |
|
独立サイト |
院数×1〜3万円 |
各サイトの保守・更新 |
|
ハイブリッド |
3〜8万円+各院分 |
グループサイト+各院サイト |
運用体制の考慮
運用を誰が担当するかも重要な検討事項です。
統一サイト方式であれば、本部で一元管理できるため、運用体制がシンプルです。
独立サイト方式の場合、各院の情報更新を誰が行うかを決める必要があります。各院の事務担当者が更新する場合、スキルのばらつきによってサイトの品質に差が出る可能性があります。
9.状況別・推奨する方式
医院の状況によって、最適な方式は異なります。以下に、状況別の推奨を示します。
統一サイト方式が適しているケース
同一エリア内での展開(徒歩圏内に複数院がある場合)、グループブランドを前面に出したい場合、コストを抑えたい場合、運用リソースが限られている場合に適しています。
同じ駅の周辺に複数の分院がある場合、地域キーワードでの競合を避けつつ、グループとしてのプレゼンスを高める方が効果的です。
独立サイト方式が適しているケース
異なるエリアへの展開(各院の商圏が重ならない場合)、各院の院長が独自の専門性を持つ場合、ローカルSEOを重視する場合、将来的に各院の独立や売却を視野に入れている場合に適しています。
異なる市区町村に分院がある場合、それぞれの地域で「地元の歯医者」として認知されることが重要です。
ハイブリッド方式が適しているケース
5院以上の大規模展開、グループブランドと各院の独自性の両方を重視する場合、採用活動をグループ全体で行いたい場合、予算とリソースに余裕がある場合に適しています。
大規模なグループでは、採用ページや理念のページをグループサイトに集約し、各院サイトは集患に特化するという役割分担が効果的です。
10.まとめ
分院のホームページを本院と統一するか別々にするかは、一概にどちらが正解とは言えません。グループの規模、展開エリア、ブランド戦略、予算、運用体制など、様々な要素を考慮して決定する必要があります。
統一サイト方式は、コストを抑えつつグループブランドを構築できる反面、ローカルSEOで不利になる可能性があります。
独立サイト方式は、ローカルSEOに強く各院の独自性を出せる反面、コストと運用負荷が高くなります。
ハイブリッド方式は、両方のメリットを取れる反面、最もコストがかかり運用も複雑になります。
重要なのは、患者さんにとって使いやすく、必要な情報にたどり着けるサイト構成にすることです。SEOや運用効率は手段であり、目的は集患と患者満足の向上です。自院の状況と目標を踏まえて、最適な方式を選択してください。
株式会社リバティーフェローシップ/東京歯科経営ラボでは、多店舗展開する歯科医院のWeb戦略をトータルでサポートしています。「分院を出すがホームページをどうすべきか」「既存の構成を見直したい」といったご相談も、お気軽にお寄せください。
投稿者プロフィール
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歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。
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