開業地選定とWeb集患の関係!エリアの検索ボリュームを調べる方法
「駅前の好立地に開業したのに、思ったほど患者さんが来ない」「競合が少ないエリアを選んだはずなのに、Web経由の問い合わせが少ない」。開業後にこのような悩みを抱える歯科医師は少なくありません。
開業地を選ぶ際、人口や競合数だけでなく、そのエリアの「Web検索ボリューム」を調べることが重要です。どれだけ良い立地でも、そのエリアで歯科医院を検索する人が少なければ、Web集患は期待できません。本記事では、開業地選定とWeb集患の関係、そしてエリアの検索ボリュームを調べる具体的な方法を解説します。
目次
1. 開業地選定で見落とされがちなWeb視点
2. 検索ボリュームとは何か
3. エリアの検索ボリュームを調べるツール
4. 具体的な調査方法:ステップバイステップ
5. 検索ボリュームの読み解き方
6. 競合分析との組み合わせ
7. エリア特性とWeb戦略の関係
8. 開業前に確認すべきWebデータ一覧
9. よくある質問
10. まとめ
1.開業地選定で見落とされがちなWeb視点

開業地を選ぶ際、多くの歯科医師が確認する項目があります。
従来の開業地選定で確認される項目
人口・世帯数として、商圏内の人口は十分かを確認します。競合状況として、近隣の歯科医院数はどのくらいかを確認します。立地条件として、駅からの距離、駐車場の有無、視認性はどうかを確認します。賃料・物件条件として、家賃は適正か、広さは十分かを確認します。将来性として、再開発予定、人口推移はどうかを確認します。
これらは確かに重要な要素ですが、Web集患の観点からの分析が抜け落ちていることが多いのです。
なぜWeb視点が重要なのか
現代の患者さんは、歯科医院を探す際にインターネット検索を利用します。「〇〇駅歯医者」「〇〇市歯科」といった検索から、医院を見つけて予約する行動が一般的です。
つまり、そのエリアで歯科医院を検索する人がどれだけいるかは、Web集患の成否を左右する重要な要素なのです。
Web視点で見ると変わる評価
従来の視点では「人口が多い=良い立地」と判断されがちですが、Web視点では異なる評価になることがあります。
人口は多いが高齢者中心のエリアでは、Web検索よりも口コミや紹介での来院が中心になる可能性があります。人口は少ないが若年層が多いエリアでは、Web検索での集患が期待できる可能性があります。
検索ボリュームを調べることで、そのエリアのWeb集患ポテンシャルを事前に把握できます。
2.検索ボリュームとは何か
検索ボリュームについて、基本的な概念を理解しましょう。
検索ボリュームの定義
検索ボリュームとは、特定のキーワードが一定期間内に検索された回数のことです。通常は月間の検索回数で表されます。
例えば、「新宿歯医者」の月間検索ボリュームが1,000回であれば、毎月約1,000回このキーワードで検索されているということです。
検索ボリュームが示すもの
検索ボリュームは、そのキーワードに対する需要の大きさを示します。
検索ボリュームが多いエリアは、歯科医院を探している人が多く、Web集患のポテンシャルが高いと言えます。検索ボリュームが少ないエリアは、Web経由での新規患者獲得が難しい可能性があります。
注意点
検索ボリュームは「需要」を示すものであり、「獲得できる患者数」ではありません。
検索ボリュームが多くても、競合が多ければ一医院あたりの獲得患者は少なくなります。検索ボリュームが少なくても、競合がほとんどいなければ独占できる可能性があります。
検索ボリュームと競合状況を組み合わせて分析することが重要です。
3.エリアの検索ボリュームを調べるツール

検索ボリュームを調べるための具体的なツールを紹介します。
Googleキーワードプランナー
Googleが提供する無料ツールで、検索ボリュームを調べる最も一般的な方法です。
特徴として、Google広告アカウントがあれば無料で利用できます。キーワードごとの月間検索ボリュームがわかります。関連キーワードの提案も受けられます。
注意点として、広告を出稿していないアカウントでは、検索ボリュームが「100〜1,000」のような幅のある表示になります。正確な数値を見るには、少額でも広告を出稿する必要があります。
Ubersuggest
無料から使えるSEOツールで、検索ボリュームの調査ができます。
特徴として、無料プランでも1日数回の検索が可能です。検索ボリュームに加えて、SEO難易度も表示されます。関連キーワードの提案も豊富です。
ラッコキーワード
日本語に特化したキーワード調査ツールです。
特徴として、無料で関連キーワードを大量に取得できます。検索ボリュームは有料プランで確認可能です。日本語キーワードに強いです。
Ahrefs・SEMrush
プロ向けの有料SEOツールで、詳細な分析が可能です。
特徴として、正確な検索ボリュームデータを取得できます。競合分析、順位追跡など多機能です。月額料金は1万円〜数万円程度です。
Googleトレンド
検索トレンドの推移を確認できる無料ツールです。
特徴として、時系列での検索トレンドがわかります。地域別の人気度を比較できます。絶対数ではなく相対的な人気度を表示します。
4.具体的な調査方法:ステップバイステップ
実際に開業候補地の検索ボリュームを調べる方法を、ステップバイステップで解説します。
ステップ1:調査するキーワードをリストアップ
まず、調査するキーワードをリストアップします。
地域名+歯科系キーワードの組み合わせを作成します。
駅名系として、「〇〇駅歯医者」「〇〇駅歯科」「〇〇駅歯医者おすすめ」などがあります。
市区町村系として、「〇〇市歯医者」「〇〇区歯科」「〇〇町歯医者」などがあります。
エリア名系として、「〇〇(地域名)歯医者」「〇〇歯科医院」などがあります。
開業候補地が複数ある場合は、それぞれのエリアで同じパターンのキーワードを作成します。
ステップ2:Googleキーワードプランナーで調査
Googleキーワードプランナーにアクセスし、Google広告アカウントでログインします。
「新しいキーワードを見つける」を選択し、リストアップしたキーワードを入力します。検索ボリューム、競合性などのデータを確認します。結果をダウンロードして、比較分析に使用します。
ステップ3:関連キーワードも確認
メインキーワードだけでなく、関連キーワードの検索ボリュームも確認します。
治療系キーワードとして、「〇〇駅インプラント」「〇〇市矯正歯科」「〇〇区ホワイトニング」などがあります。
ニーズ系キーワードとして、「〇〇駅歯医者痛くない」「〇〇市歯科夜間」「〇〇区歯医者土日」などがあります。
これらのキーワードの検索ボリュームも、そのエリアの歯科需要を示す指標になります。
ステップ4:複数エリアを比較
開業候補地が複数ある場合は、同じキーワードパターンで検索ボリュームを比較します。
例えば、A駅エリアとB駅エリアを比較する場合、「A駅歯医者」と「B駅歯医者」、「A駅歯科」と「B駅歯科」をそれぞれ比較します。
ステップ5:Googleトレンドでトレンドを確認
Googleトレンドで、検索トレンドの推移を確認します。
検索ボリュームが増加傾向にあるエリアは、今後の成長が期待できます。減少傾向にあるエリアは、将来的な需要減少に注意が必要です。
5.検索ボリュームの読み解き方
調査した検索ボリュームをどのように解釈すればよいか、具体的な目安を解説します。
検索ボリュームの目安
「〇〇駅歯医者」「〇〇市歯科」といったキーワードの検索ボリュームの目安を示します。
月間1,000回以上の場合は、検索需要が高いエリアです。Web集患の大きなポテンシャルがあります。ただし競合も多い可能性が高いです。
月間500〜1,000回の場合は、中程度の検索需要があります。適切なSEO対策で十分な集患が期待できます。
月間100〜500回の場合は、検索需要はやや少なめです。Web以外の集患チャネルも重要になります。SEO対策で上位表示できれば一定の集患は可能です。
月間100回未満の場合は、Web検索からの集患は限定的です。口コミ、紹介、看板などの他チャネルが主になります。
地域特性を考慮する
検索ボリュームの多寡は、地域特性によっても異なります。
都市部と郊外を比較すると、都市部は検索ボリュームが多く、郊外は少ない傾向があります。ただし、郊外でも新興住宅地は検索需要が高いことがあります。
駅名と市区町村名を比較すると、都市部では駅名での検索が多く、郊外では市区町村名での検索が多い傾向があります。
複合的に判断する
検索ボリュームだけでなく、以下の要素と組み合わせて判断します。
人口・世帯数として、検索ボリュームが少なくても人口が多ければ、潜在需要はあります。年齢層として、若年層が多いエリアはWeb検索率が高い傾向があります。競合数として、検索ボリュームを競合数で割った「一医院あたりの検索ボリューム」も参考になります。
6.競合分析との組み合わせ

検索ボリュームと競合分析を組み合わせることで、より精度の高い判断ができます。
競合数の調べ方
開業候補エリアの競合数を調べます。
Google検索で「〇〇駅歯医者」と検索し、検索結果に表示される歯科医院の数を確認します。Googleマップで「歯科」と検索し、エリア内の歯科医院数を確認します。厚生労働省の医療施設動態調査や、地域の歯科医師会のデータも参考になります。
競合の強さを分析
競合の「数」だけでなく「強さ」も重要です。
検索結果の上位に表示されている医院のホームページを確認します。サイトの質、コンテンツ量、口コミ評価などをチェックします。強力な競合がいるエリアでは、上位表示が難しくなります。
検索ボリューム÷競合数の指標
検索ボリュームを競合数で割った値は、「一医院あたりの検索需要」を示す目安になります。
例えば、A駅エリアでは検索ボリュームが1,000回で競合が20医院なら、一医院あたり50回となります。B駅エリアでは検索ボリュームが300回で競合が5医院なら、一医院あたり60回となります。
この例では、検索ボリュームはA駅の方が多いですが、一医院あたりの需要はB駅の方が多いことになります。
マトリクスで整理
検索ボリューム(需要)と競合数(供給)をマトリクスで整理すると、判断がしやすくなります。
高需要・低競合の場合は、最も魅力的なエリアです。Web集患の大きなチャンスがあります。高需要・高競合の場合は、ポテンシャルはあるが競争が激しいです。差別化戦略が重要になります。低需要・低競合の場合は、Web以外の集患が中心になります。競合が少ないので一定のシェアは取れます。低需要・高競合の場合は、最も厳しいエリアです。よほどの理由がない限り避けた方が良いでしょう。
7.エリア特性とWeb戦略の関係
エリアの特性によって、適切なWeb戦略は異なります。
都市部・駅前エリア
特徴として、検索ボリュームが多い、競合も多い、人の流動性が高いことが挙げられます。
Web戦略として、SEOでの上位表示は難易度が高いです。リスティング広告との併用が効果的です。差別化ポイントを明確にしたホームページが重要です。MEO(Googleマップ対策)も重視します。
郊外・住宅地エリア
特徴として、検索ボリュームは中程度、競合は少なめ、地域密着型であることが挙げられます。
Web戦略として、SEOで上位表示を狙いやすいです。地域名キーワードを徹底的に押さえます。口コミ・紹介との組み合わせが効果的です。
新興住宅地エリア
特徴として、若い世代が多い、Web検索率が高い、競合が少ないことが多いです。
Web戦略として、Web集患との相性が良いです。SEOで早期に上位表示を確立します。ファミリー層向けのコンテンツを充実させます。
高齢者が多いエリア
特徴として、Web検索率は低め、口コミ・紹介が中心、入れ歯・訪問歯科などの需要があります。
Web戦略として、Web集患への過度な期待は禁物です。訪問歯科など、特定のキーワードは検索されることがあります。ホームページは「紹介された人が確認する場」としての役割が中心になります。
8.開業前に確認すべきWebデータ一覧

開業地選定にあたって確認すべきWebデータをチェックリスト形式でまとめます。
検索ボリューム関連
確認すべき項目として、「〇〇駅歯医者」の月間検索ボリューム、「〇〇市/区歯科」の月間検索ボリューム、「〇〇駅インプラント」等の治療系キーワードの検索ボリューム、「〇〇駅歯医者夜間」等のニーズ系キーワードの検索ボリューム、Googleトレンドでの検索傾向(増加/減少)があります。
競合関連
確認すべき項目として、エリア内の歯科医院数、「〇〇駅歯医者」で検索した際の上位表示医院、上位表示医院のホームページの質・コンテンツ量、上位表示医院のGoogle口コミ数・評価、リスティング広告を出稿している競合の数があります。
Googleマップ関連
確認すべき項目として、エリア内の歯科医院のGoogleビジネスプロフィール充実度、口コミ数・評価の平均、マップ検索での表示順位上位の医院の特徴があります。
人口・統計関連
確認すべき項目として、商圏人口・世帯数、年齢構成(若年層の比率)、昼間人口と夜間人口の差、将来の人口推計があります。
9.よくある質問
開業地選定とWeb集患に関して、よくある質問に回答します。
検索ボリュームが少ないエリアでは開業すべきではないですか?
そうとは限りません。検索ボリュームが少なくても、競合が少なければ十分な集患が可能です。また、Web検索以外のチャネル(口コミ、紹介、看板、地域活動など)で集患できるエリアもあります。大切なのは、そのエリアでどのような集患戦略が有効かを事前に把握しておくことです。検索ボリュームが少ないエリアでは、Web集患に過度な期待をせず、他のチャネルも含めた総合的な集患計画を立てましょう。
検索ボリュームのデータはどのくらい信頼できますか?
Googleキーワードプランナーのデータは、Googleの検索データに基づいているため、一定の信頼性があります。ただし、完全に正確な数値ではなく、目安として捉えるべきです。また、検索ボリュームは時期によって変動します。歯科関連は大きな季節変動はありませんが、年単位で見ると増減があります。複数のツールでクロスチェックし、大きな傾向を把握することが重要です。
開業後にエリアの検索ボリュームが減った場合、どうすればいいですか?
まず、検索ボリュームの減少が一時的なものか、継続的なトレンドかを確認します。継続的な減少の場合は、以下の対策を検討します。対象エリアを広げ、隣接エリアのキーワードでも上位表示を目指します。専門性を打ち出し、「〇〇市インプラント」など専門治療のキーワードで広域から集患します。Web以外のチャネルを強化し、紹介システム、地域活動、訪問歯科などを充実させます。
複数の候補地で迷っています。検索ボリューム以外に何を見るべきですか?
検索ボリューム以外に確認すべき要素として、以下があります。競合の質として、検索上位の競合がどれだけ強いか、勝てる見込みがあるかを確認します。ターゲット層の一致として、自分がやりたい診療とエリアのニーズが合っているかを確認します。将来性として、人口推計、再開発予定、新駅・新路線の計画などを確認します。物件条件として、家賃、広さ、視認性、駐車場など、物件としての条件を確認します。生活環境として、自宅からの通勤、家族の生活など、個人的な要素も重要です。
10.まとめ
開業地選定において、Web集患の観点から検索ボリュームを調べることの重要性をまとめます。
従来の開業地選定では、人口、競合数、立地条件などが重視されてきましたが、Web集患が主流となった現在、エリアの検索ボリュームも重要な判断材料です。
検索ボリュームは、Googleキーワードプランナー、Ubersuggest、ラッコキーワードなどのツールで調べられます。「〇〇駅歯医者」「〇〇市歯科」といったキーワードの月間検索回数を確認します。
検索ボリュームは単独で見るのではなく、競合数と組み合わせて分析します。検索ボリューム÷競合数の値が、一医院あたりの検索需要を示す目安になります。
エリア特性によって、適切なWeb戦略は異なります。検索ボリュームが少ないエリアでは、Web以外の集患チャネルも重要になります。
開業前に、検索ボリューム、競合状況、Googleマップの状況、人口統計などを総合的に確認し、そのエリアでの集患戦略を立てておくことが、開業後の成功につながります。
株式会社リバティーフェローシップ/東京歯科経営ラボでは、開業を検討されている歯科医師の方に向けて、Web集患の観点からのエリア分析もサポートしています。「開業候補地のWeb集患ポテンシャルを知りたい」「エリアに合ったホームページ戦略を立てたい」といったご相談も、お気軽にお寄せください。
投稿者プロフィール
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歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。
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