「スタッフの定着率」をHPでアピール!求職者に響く職場環境の見せ方
歯科医院の採用活動において、ホームページは最も重要な情報発信ツールです。求職者の多くは応募前に医院のホームページを確認し、「ここで働きたいか」を判断しています。
その判断材料として近年注目されているのが「スタッフの定着率」です。離職率の高い歯科業界において、スタッフが長く働いている医院は求職者にとって大きな安心材料になります。本記事では、定着率をはじめとした職場環境の魅力を、ホームページで効果的に伝える方法を解説します。
目次
1. なぜ「定着率」が求職者に響くのか
2. 定着率の効果的な見せ方
3. 求職者が本当に知りたい職場環境情報
4. スタッフの声を活用した信頼構築
5. 写真・動画で伝える職場の雰囲気
6. 採用ページの構成と導線設計
7. 避けるべき表現と注意点
8. まとめ
1.なぜ「定着率」が求職者に響くのか

歯科業界は慢性的な人材不足に悩まされており、歯科衛生士の有効求人倍率は常に高い水準にあります。求職者にとっては選択肢が多い状況であり、医院側は「選ばれる職場」になる必要があります。
そんな中、求職者が最も不安に感じているのは「人間関係」と「長く働けるかどうか」です。前職を辞めた理由として人間関係を挙げる歯科スタッフは多く、次の職場選びでは同じ失敗を繰り返したくないという思いが強くあります。
定着率の高さは、この不安に対する明確な回答になります。「スタッフの平均勤続年数7年」「過去3年間の離職率5%」といった数字は、「この医院は働きやすい環境なのだろう」という推測を裏付ける客観的な証拠です。
求人広告で「アットホームな職場です」「人間関係良好」と書いても、それが本当かどうかは入職するまでわかりません。しかし、定着率という数字は嘘をつきません。長く働いているスタッフがいるという事実は、職場環境の良さを何よりも雄弁に物語ります。
2.定着率の効果的な見せ方
数字で示す信頼性
定着率をアピールする際は、具体的な数字を示すことが重要です。「スタッフが長く働いています」という抽象的な表現よりも、数字の方がはるかに説得力があります。
効果的な数字の示し方としては、平均勤続年数、直近3年間の離職率、開院以来の累計勤続年数などがあります。
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指標 |
表現例 |
|
平均勤続年数 |
「スタッフ平均勤続年数8.2年」 |
|
離職率 |
「過去3年間の離職率3%」 |
|
長期勤続者数 |
「勤続10年以上のスタッフが5名在籍」 |
|
定着率 |
「入職後3年定着率95%」 |
数字を出す際には、算出期間や対象範囲を明記することで信頼性が高まります。「2022年〜2024年の正社員離職率」のように条件を示すことで、数字の操作や誇張ではないことが伝わります。
定着率が高い理由を伝える
数字を示すだけでなく、なぜ定着率が高いのかという理由も併せて伝えることで、求職者の理解が深まります。定着率の高さは結果であり、その背景にある取り組みや文化を説明することで、医院の姿勢が伝わります。
たとえば「定期的な個人面談で悩みを早期にキャッチしています」「残業削減の取り組みにより、プライベートとの両立がしやすい環境です」「教育体制を整備し、成長を実感できる職場づくりを心がけています」といった具体的な施策を紹介します。
理由を伝えることで、求職者は「自分もこの環境で働けば長く続けられそうだ」とイメージしやすくなります。
勤続年数の分布を見せる
平均値だけでなく、勤続年数の分布を示すことも効果的です。「平均勤続年数5年」という数字だけでは、全員が5年前後なのか、10年以上のベテランと新人に二極化しているのかがわかりません。
グラフや図を用いて分布を見せることで、より具体的な職場の様子が伝わります。ベテランと若手のバランスが取れていることを示せれば、「先輩から学べる環境がある」「若手も活躍できる」という安心感につながります。
3.求職者が本当に知りたい職場環境情報
人間関係・雰囲気

求職者が最も知りたいのは、職場の人間関係や雰囲気です。しかし、これは最も伝えにくい情報でもあります。「雰囲気が良い」と書くだけでは説得力がなく、かといって人間関係の良さを客観的に証明する方法は限られています。
効果的なのは、具体的なエピソードや仕組みを通じて雰囲気を伝える方法です。「毎月のランチミーティングでざっくばらんに意見交換しています」「新人の相談役として先輩がつくメンター制度があります」「スタッフの誕生日にはみんなでお祝いします」といった具体的な取り組みを紹介することで、職場の雰囲気が間接的に伝わります。
スタッフ同士が談笑している写真や、チームで協力している様子の写真も、言葉以上に雰囲気を伝える力があります。
教育体制・成長機会
特に若手の求職者にとって、教育体制や成長機会は重要な判断材料です。「しっかり教えてもらえるのか」「スキルアップできる環境か」という点は、長く働くかどうかの決め手になります。
教育体制について伝えるべき情報としては、新人研修の内容と期間、マニュアルや教育プログラムの有無、外部研修や勉強会への参加支援、資格取得支援制度、キャリアパスの明示などが挙げられます。
「入職後3ヶ月間は先輩がマンツーマンで指導」「年間の研修費用を一人あたり10万円まで医院が負担」「認定歯科衛生士の資格取得者が3名在籍」といった具体的な情報は、成長意欲の高い求職者に響きます。
働き方・ワークライフバランス
仕事とプライベートの両立を重視する求職者は増えています。特に子育て世代の歯科衛生士にとって、働き方の柔軟性は職場選びの重要な要素です。
伝えるべき情報としては、勤務時間と残業の実態、有給休暇の取得率、産休・育休の取得実績と復帰率、時短勤務やパート勤務の可否、急な休みへの対応などがあります。
「月平均残業時間5時間」「有給取得率85%」「産休・育休からの復帰率100%」といった数字は、働きやすさを客観的に示す指標になります。また、「子どもの急な発熱でも休みやすい雰囲気です」といったスタッフの声は、数字では伝わらない実態を補足します。
給与・待遇の透明性
給与や待遇は求職者にとって当然気になる情報ですが、曖昧な記載が多いのが現状です。「経験・能力により優遇」「当院規定による」といった表現では、求職者は判断材料を得られません。
可能な範囲で具体的な情報を開示することで、「この医院は誠実だ」という印象を与えられます。給与のモデルケース、昇給の仕組み、賞与の実績、各種手当の内容などを明示することで、求職者は自分の条件と照らし合わせて検討できます。
|
項目 |
曖昧な表現 |
具体的な表現 |
|
給与 |
経験により優遇 |
月給25万円〜32万円(経験3年以上28万円〜) |
|
賞与 |
年2回(実績による) |
年2回(昨年実績:計3.5ヶ月分) |
|
昇給 |
あり |
年1回(毎年4月、平均5,000円) |
4.スタッフの声を活用した信頼構築
インタビュー記事の作り方
実際に働いているスタッフの声は、求職者にとって最も参考になる情報です。医院側が発信する情報よりも、同じ立場の先輩の声の方が信頼されます。
効果的なインタビュー記事には、入職のきっかけや決め手、実際に働いてみての感想、1日の仕事の流れ、職場の雰囲気や人間関係、今後の目標やキャリアプランといった要素が含まれます。
インタビューは台本通りに話してもらうのではなく、自然な言葉で語ってもらうことが重要です。多少言い回しが整っていなくても、本音が感じられる内容の方が求職者には響きます。
複数のスタッフのインタビューを掲載することで、様々な立場からの視点を提供できます。新人、中堅、ベテランそれぞれの声があれば、どのキャリアステージの求職者にも参考になります。
動画メッセージの効果
文章だけでなく、動画でスタッフの声を届けることも効果的です。動画は表情や声のトーンが伝わるため、文章以上に人柄や雰囲気が伝わります。
スタッフインタビュー動画は、1人あたり1〜2分程度の短いものでかまいません。「この医院を選んだ理由」「働いていて良かったこと」「求職者へのメッセージ」といったシンプルな質問に答える形式で、自然体の様子を撮影します。
動画は必ずしもプロに依頼する必要はありません。スマートフォンでの撮影でも、明るい場所で撮影し、音声がクリアであれば十分です。むしろ、作り込みすぎない自然な動画の方が親近感を持たれる場合もあります。
座談会形式のコンテンツ
複数のスタッフによる座談会形式のコンテンツも、職場の雰囲気を伝えるのに効果的です。スタッフ同士が会話している様子から、人間関係の良さや職場の空気感が伝わります。
座談会のテーマとしては、「入職当時と今を振り返って」「この医院の好きなところ」「仕事とプライベートの両立」といったものが考えられます。堅苦しくなりすぎないよう、お菓子を食べながらリラックスした雰囲気で撮影すると、自然な会話が引き出せます。
5.写真・動画で伝える職場の雰囲気
日常の様子を切り取る

採用ページに使用する写真は、かしこまったポートレート写真だけでなく、日常の様子を切り取った写真も効果的です。朝礼の様子、診療中のチームワーク、休憩時間の談笑といった場面は、実際の職場の雰囲気をリアルに伝えます。
写真を撮影する際のポイントは、自然な表情を捉えることです。カメラを意識して硬い表情になると、せっかくの日常感が失われます。スタッフに普段通りの業務をしてもらいながら、その様子を撮影する形式が自然な写真を得やすいです。
院内の設備や内装の写真も重要ですが、人が写っていない写真ばかりだと冷たい印象になります。スタッフが活動している様子と組み合わせることで、温かみのある職場イメージを作れます。
イベント・研修の記録
院内イベントや研修の様子を写真や記事で残しておくことは、採用活動において大きな資産になります。忘年会、スタッフの誕生日会、研修旅行、外部セミナーへの参加といったイベントの記録は、職場の文化や雰囲気を伝える材料になります。
定期的にブログやお知らせでこれらの情報を発信しておくと、求職者が医院のホームページを訪れた際に「活気のある職場だな」「スタッフを大切にしている医院だな」という印象を持ってもらえます。
採用動画の可能性
採用に特化した動画を制作することで、より効果的に職場の魅力を伝えられます。採用動画には、医院の紹介、院長からのメッセージ、スタッフインタビュー、1日の流れ、職場の雰囲気といった要素を盛り込みます。
3〜5分程度の動画に情報を凝縮することで、求職者は短時間で医院の全体像を把握できます。採用動画は一度制作すれば長期間使用でき、求人広告や説明会など様々な場面で活用できるため、費用対効果は高いといえます。
6.採用ページの構成と導線設計
採用ページは、求職者が知りたい情報を網羅しつつ、応募への導線を明確に設計することが重要です。
効果的な採用ページの構成としては、まず冒頭で医院の理念や採用メッセージを伝え、求職者の関心を引きます。続いて数字で見る職場環境として定着率や有給取得率などの客観的なデータを示します。次にスタッフインタビューや座談会で実際の声を届け、募集要項で具体的な条件を明示します。最後に応募方法と選考の流れを説明し、応募フォームへの導線を設けます。
応募ボタンはページの複数箇所に配置し、求職者がいつでも応募に進めるようにします。「まずは見学だけでもOK」「カジュアル面談受付中」といった心理的ハードルを下げる文言も効果的です。
また、スマートフォンでの閲覧を考慮し、長い文章は適宜分割し、スクロールしやすい構成にすることも重要です。
7.避けるべき表現と注意点

採用ページで避けるべき表現や注意点もあります。
まず、曖昧で抽象的な表現は避けるべきです。「アットホームな職場」「やりがいのある仕事」といった表現は、どの医院でも使われており差別化になりません。具体的なエピソードや数字で裏付けることが重要です。
次に、実態と異なる情報は絶対に避けなければなりません。「残業ほぼなし」と書いておきながら実際は残業が多い、といったケースは、入職後のミスマッチを招き、かえって離職率を高めます。採用活動は、自院に合った人材を採用することが目的であり、誇張した情報で応募を増やしても意味がありません。
また、ネガティブな表現も控えるべきです。「人手不足で困っています」「すぐに辞める人が多くて」といった本音をそのまま書くと、求職者は不安を感じます。課題があったとしても、それに対する取り組みや改善の姿勢とセットで伝えることが大切です。
写真の使用許可にも注意が必要です。スタッフの写真を採用ページに掲載する場合は、必ず本人の同意を得てください。退職後も写真が残り続けることへの配慮も必要です。
8.まとめ
スタッフの定着率は、求職者にとって職場環境の良さを判断する重要な指標です。数字として明示することで、「アットホームな職場」といった抽象的な表現よりもはるかに説得力のあるアピールになります。
ただし、定着率の数字だけでなく、その背景にある取り組みや職場の雰囲気を併せて伝えることが重要です。スタッフインタビュー、日常の写真、具体的な制度の説明を通じて、求職者が「ここで働く自分」をイメージできるような情報発信を心がけてください。
採用活動は、単に応募数を増やすことが目的ではありません。自院の魅力を正確に伝え、価値観の合う人材に選んでもらうことが、結果として定着率の向上につながります。ホームページでの情報発信を見直し、求職者に響く職場環境の見せ方を追求してみてください。
株式会社リバティーフェローシップ/東京歯科経営ラボでは、歯科医院の採用力強化をサポートしています。採用ページの制作・リニューアル、スタッフインタビューの企画・撮影、採用動画の制作など、採用活動全般についてお気軽にご相談ください。
投稿者プロフィール
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歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。
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