歯科医院を探す患者の検索行動を徹底分析!「選ばれる」ためのHP設計
目次
1. はじめに:患者はどうやって歯科医院を探しているのか
2. 歯科医院を探す患者の検索行動パターン
3. 検索から来院までの5つのステップ
4. 各ステップで「選ばれる」ためのHP設計ポイント
5. 検索キーワード別:患者が求めている情報とは
6. スマートフォン時代のHP設計で外せない3つの要素
7. 競合に負けないための差別化戦略
8. まとめ:患者目線のHP設計チェックリスト
1.はじめに:患者はどうやって歯科医院を探しているのか
「うちの医院、なぜかホームページからの新患が少ないんだよな」
そう感じている院長先生は少なくありません。ホームページを作ったのに問い合わせが来ない、リニューアルしたのに効果が実感できない。その原因の多くは、患者の検索行動を理解しないままホームページを設計していることにあります。
コンビニよりも多いと言われる歯科医院。患者にとっては選択肢が豊富にある状況です。その中から自院を選んでもらうためには、患者が「どのように検索し」「何を比較し」「どこで来院を決めるのか」を知る必要があります。
本記事では、歯科医院を探す患者の検索行動を分析し、「選ばれる」ホームページの設計ポイントを解説します。
2.歯科医院を探す患者の検索行動パターン

歯科医院を探す患者の行動は、大きく3つのパターンに分類できます。
パターン①:緊急性が高い検索
「歯が痛い」「詰め物が取れた」「歯茎が腫れた」など、今すぐ治療が必要な状態での検索です。このパターンの患者は、じっくり比較検討する余裕がありません。「今日診てもらえるか」「近くにあるか」「すぐ電話できるか」が最優先事項です。
検索キーワード例としては、「〇〇駅 歯医者 今日」「歯痛い 近く」「歯医者 予約なし」などが挙げられます。
パターン②:目的が明確な検索
「インプラントを入れたい」「矯正を始めたい」「ホワイトニングしたい」など、受けたい治療が決まっている状態での検索です。このパターンの患者は、専門性や実績、費用を重視して比較検討します。
検索キーワード例としては、「〇〇市 インプラント 評判」「矯正歯科 費用 相場」「ホワイトニング おすすめ」などが該当します。
パターン③:なんとなく探している検索
「そろそろ歯医者に行かないと」「検診を受けたい」「引っ越したから新しい歯医者を探そう」など、緊急性は低いが歯科医院を探している状態です。このパターンの患者は、雰囲気や口コミ、通いやすさなどを総合的に判断します。
検索キーワード例としては、「〇〇区 歯医者 おすすめ」「歯医者 選び方」「〇〇駅 歯科 口コミ」などです。
|
検索パターン |
患者の状態 |
重視するポイント |
検索キーワード例 |
|
緊急性高 |
今すぐ治療が必要 |
診療時間、アクセス、当日予約 |
「歯医者 今日」「歯痛い 近く」 |
|
目的明確 |
受けたい治療が決まっている |
専門性、実績、費用 |
「インプラント 評判」「矯正 費用」 |
|
なんとなく |
緊急性は低い |
雰囲気、口コミ、通いやすさ |
「歯医者 おすすめ」「歯科 口コミ」 |
自院がどのパターンの患者を集めたいのかによって、ホームページで強調すべきポイントが変わってきます。
3.検索から来院までの5つのステップ
患者が歯科医院を検索してから実際に来院するまでには、いくつかのステップがあります。このプロセスを理解することで、各段階で離脱されないホームページ設計が可能になります。
ステップ1:検索する
患者はGoogleやYahoo!で「地域名+歯医者」などのキーワードを入力します。この段階では、検索結果に表示されることが大前提です。SEO対策やMEO対策(Googleマップ対策)が重要になります。
ステップ2:検索結果を見る
検索結果には、複数の歯科医院が表示されます。患者は、タイトルや説明文、Googleマップの評価などを見て、クリックする医院を選びます。検索結果上での第一印象が、クリック率を左右します。
ステップ3:ホームページを見る
クリックしてホームページに訪れた患者は、数秒で「この医院は自分に合いそうか」を判断します。ファーストビュー(最初に目に入る画面)の印象が悪いと、すぐに離脱して次の医院を見に行きます。
ステップ4:比較検討する
多くの患者は、1つの医院だけでなく複数の医院のホームページを見比べます。口コミを確認したり、料金を比較したり、院内の雰囲気を見たりしながら、候補を絞り込んでいきます。
ステップ5:予約・来院する
最終的に「ここに行こう」と決めた患者は、電話またはWeb予約で予約を取り、来院します。予約導線がわかりにくいと、この最終段階で離脱されてしまうこともあります。
ホームページで対応できるのは、主にステップ1〜5のすべてです。検索結果での表示(ステップ1・2)、訪問後の印象(ステップ3)、比較検討時の情報提供(ステップ4)、予約導線の整備(ステップ5)、それぞれの段階で適切な設計が求められます。
4.各ステップで「選ばれる」ためのHP設計ポイント
前章で解説した5つのステップごとに、具体的なホームページ設計のポイントを見ていきましょう。
ステップ1・2:検索結果で目に留まる

検索結果で自院をクリックしてもらうためには、まず検索上位に表示される必要があります。「〇〇市 歯医者」「〇〇駅 歯科」といった地域キーワードで上位表示を狙うSEO対策は必須です。
同時に、Googleマップでの表示も重要です。「歯医者」と検索すると、多くの場合Googleマップの検索結果が最上部に表示されます。Googleビジネスプロフィールの情報を充実させ、口コミを集めることで、マップ検索からの集患も期待できます。
検索結果に表示されるタイトル(title タグ)や説明文(meta description)も工夫が必要です。「〇〇市の歯医者|医院名」だけでなく、「土日診療」「駅徒歩3分」「痛みの少ない治療」など、患者にとってのメリットを盛り込むとクリック率が上がります。
ステップ3:ファーストビューで心をつかむ
ホームページに訪れた患者は、わずか3秒程度で「このサイトをもっと見るか、戻るか」を判断すると言われています。この最初の3秒を握るのが、ファーストビュー(スクロールせずに見える画面領域)です。
ファーストビューで伝えるべき情報は、「どこにある何という医院か」「どんな特徴があるか」「予約するにはどうすればいいか」の3点です。雰囲気の良い院内写真や、医院のコンセプトが伝わるキャッチコピー、目立つ位置に配置された予約ボタンが効果的です。
逆に、ファーストビューが文字だらけだったり、古い印象のデザインだったりすると、患者は「なんか違う」と感じて離脱します。第一印象で損をしないデザインを意識しましょう。
ステップ4:比較検討で選ばれる情報を用意する
患者は複数の医院を比較検討します。その際に見られるのが、以下のような情報です。
診療時間・アクセスは、自分の生活スタイルに合っているかを確認するために必ず見られます。「土日は診療しているか」「仕事帰りに寄れるか」「駐車場はあるか」といった情報は、わかりやすい位置に掲載しましょう。
院長・スタッフ紹介も重要なコンテンツです。「どんな先生が治療してくれるのか」は、患者にとって大きな関心事です。院長の顔写真、経歴、診療への想いなどを掲載することで、来院前の不安を軽減できます。
料金・費用も比較対象になります。特に自費診療の場合、料金目安がないと問い合わせすらしてもらえません。「料金は要相談」ではなく、できる限り具体的な金額を掲載しましょう。
口コミ・評判は、ホームページ外の情報ですが、比較検討時には必ず確認されます。Googleの口コミ評価が低いと、どんなにホームページが良くても選ばれにくくなります。日頃から口コミ対策を行い、良い評価を蓄積していくことが大切です。
ステップ5:迷わず予約できる導線を作る
「この医院に行こう」と決めた患者が、スムーズに予約できる導線を整えましょう。
電話予約の場合、電話番号は全ページの目立つ位置に配置します。スマートフォンでは、タップするだけで電話がかけられるように設定することも重要です。診療時間外に見ている患者のために、「24時間受付のWeb予約」も用意しておくと取りこぼしを防げます。
Web予約フォームは、入力項目を最小限にすることがポイントです。名前、電話番号、希望日時、簡単な症状選択程度で十分です。入力が面倒だと感じた患者は、途中で離脱してしまいます。
予約ボタンは、「どのページを見ていてもすぐに見つかる」位置に配置しましょう。ページ下部だけでなく、ヘッダーやスマホの固定フッターに常時表示させるのが効果的です。
5.検索キーワード別:患者が求めている情報とは
患者がどんなキーワードで検索しているかによって、求めている情報は異なります。主要なキーワードパターン別に、ホームページで用意すべきコンテンツを整理します。
「地域名+歯医者/歯科」で検索する患者
最も多い検索パターンです。この患者は、「近くで通える歯医者を探している」状態です。アクセス情報、診療時間、医院の雰囲気写真などを重視します。
用意すべきコンテンツとしては、詳細なアクセス案内(地図、最寄駅からの道順、駐車場情報)、診療時間・休診日のわかりやすい表示、院内写真・外観写真などが挙げられます。
「治療名+地域名」で検索する患者
「インプラント 〇〇市」「矯正 〇〇駅」のように、受けたい治療が決まっている患者です。その治療の専門性、実績、費用を重視します。
用意すべきコンテンツとしては、該当治療の詳細ページ(治療内容、流れ、期間)、症例実績(可能であれば写真付き)、料金表、担当医の専門性や資格などです。治療別のランディングページを作成することで、これらのキーワードでの検索流入を狙えます。
「歯医者+評判/口コミ」で検索する患者
「他の人がどう感じたか」を知りたい患者です。ホームページだけでなく、Google口コミやポータルサイトの口コミも確認されます。
用意すべきコンテンツとしては、患者さんの声(ガイドラインに配慮した形で)、Googleビジネスプロフィールの口コミ管理、医院の実績・信頼性が伝わる情報などです。口コミはホームページだけでは完結しないため、Googleビジネスプロフィールの運用も併せて重要になります。
「歯医者+怖い/痛くない」で検索する患者
歯科恐怖症や過去に怖い経験をしたことがある患者です。「この医院なら怖くないかも」と思える情報を求めています。
用意すべきコンテンツとしては、痛みへの配慮(麻酔の工夫、機器の紹介)、リラックスできる環境(個室、アロマ、音楽など)、初診時の流れ(いきなり治療しないことを説明)、院長・スタッフの優しい雰囲気が伝わる写真などです。
6.スマートフォン時代のHP設計で外せない3つの要素
現在、歯科医院のホームページを見るデバイスの70〜80%はスマートフォンです。パソコンで見たときに美しいホームページでも、スマートフォンで使いにくければ意味がありません。スマートフォン時代に外せない3つの設計ポイントを解説します。
要素①:表示速度

スマートフォンで重いページは致命的です。表示に3秒以上かかると、半数以上の訪問者が離脱すると言われています。画像の最適化、不要なスクリプトの削除など、表示速度の改善は優先度の高い施策です。
Googleの「PageSpeed Insights」で自院のホームページの速度を測定できます。モバイルでのスコアが低い場合は、制作会社に相談して改善しましょう。
要素②:タップしやすいボタン設計
スマートフォンでは、マウスではなく指でタップして操作します。電話番号や予約ボタンが小さすぎると、押しにくくてストレスを感じます。
ボタンは最低でも44px×44px以上のサイズを確保し、周囲に余白を取って誤タップを防ぎましょう。電話番号はタップで発信できるリンク設定を忘れずに。
要素③:スクロールで完結する情報設計
スマートフォンでは、横スクロールや複雑なナビゲーションは敬遠されます。基本的に縦スクロールだけで必要な情報にたどり着ける設計が理想です。
メニューは最小限に絞り、重要なページへの導線は画面内にわかりやすく配置しましょう。「予約」「電話」「アクセス」といった主要アクションは、常に画面内に表示されているのがベストです。
7.競合に負けないための差別化戦略
同じ地域に複数の歯科医院がある場合、ホームページでどう差別化するかが問われます。差別化のための3つのアプローチを紹介します。
アプローチ①:専門性を打ち出す

すべての診療をまんべんなくアピールするのではなく、得意分野を明確に打ち出す方法です。「インプラントに強い」「小児歯科専門」「歯周病治療に注力」など、特定の分野で専門性をアピールすることで、そのニーズを持つ患者に選ばれやすくなります。
トップページのキャッチコピーや、専門分野の詳細ページを充実させることで、「この分野ならこの医院」というポジションを築けます。
アプローチ②:院長の人柄を伝える
歯科医院選びでは、「どんな先生が診てくれるか」が重要な判断材料になります。院長のプロフィールや診療への想いを丁寧に伝えることで、「この先生に診てもらいたい」という動機を作れます。
院長インタビュー形式のコンテンツや、日常を伝えるブログなども有効です。人柄が伝わると、単なる「近くの歯医者」から「会いたい先生がいる医院」へと昇格できます。
アプローチ③:患者体験を向上させる情報提供
来院前の不安を徹底的に取り除く情報提供も差別化になります。初診の流れを動画で説明する、院内ツアー動画を用意する、よくある質問を充実させるなど、患者目線で「知りたいこと」に先回りして応える姿勢です。
「ここまで丁寧に情報を出してくれる医院なら、診療も丁寧に違いない」という印象を与えられます。
8.まとめ:患者目線のHP設計チェックリスト
本記事で解説した内容を、チェックリスト形式でまとめます。自院のホームページが患者に「選ばれる」設計になっているか、確認してみてください。
検索結果での表示
- 「地域名+歯医者」で検索上位に表示されているか
- Googleマップ(Googleビジネスプロフィール)は整備されているか
- 検索結果のタイトル・説明文は魅力的か
ファーストビュー
- 3秒で「どんな医院か」が伝わるか
- 予約ボタンはすぐに見つかるか
- 古臭い印象を与えていないか
比較検討時の情報
- 診療時間・アクセスはわかりやすいか
- 院長・スタッフの顔と人柄が伝わるか
- 料金は具体的に掲載されているか
- Googleの口コミ評価は管理されているか
予約導線
- 電話番号はタップで発信できるか
- Web予約フォームはシンプルか
- どのページからでも予約できるか
スマートフォン対応
- 表示速度は十分か
- ボタンはタップしやすいサイズか
- 縦スクロールで情報が得られるか
患者の検索行動を理解し、各ステップで適切な情報を提供することが、「選ばれる」ホームページの条件です。今一度、患者目線でホームページを見直してみてください。
東京歯科経営ラボでは、患者の検索行動を踏まえたホームページ設計をご提案しています。「うちのホームページ、何が足りないんだろう」とお悩みの先生は、お気軽にご相談ください。
投稿者プロフィール
-
歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。
最新の投稿
診療科目・専門特化2025年12月3日インプラント専門サイトvs総合サイト内ページ、どちらが集患に効果的?
その他2025年12月2日【無料診断】あなたの歯科医院ホームページは医療広告ガイドラインに適合している?
競合分析2025年12月1日近隣歯科医院のホームページを合法的に分析する方法【競合調査入門】
開業・承継・分院2025年11月30日開業前から始めるホームページ戦略!オープン初月から新患を獲得する準備
ホームページ制作のご相談・資料請求はこちら
現在運用中のホームページのセカンドオピニオンや、開業時のご相談も柔軟にうけたまわります。先生がお手すきのときに、お電話でご連絡をいただくのも大歓迎です。
