ホームページをリニューアルしたら既存患者が減った」失敗の原因と対策

歯科医院のホームページリニューアルは、新患獲得や医院のブランディング強化のために有効な施策です。しかし、リニューアル後に「既存患者が減った」「予約が入らなくなった」といった予期せぬ事態に直面する医院も少なくありません。
本記事では、ホームページリニューアルで既存患者が減少してしまう原因と、その対策について詳しく解説します。リニューアルを検討中の院長先生、すでにリニューアルして患者数減少に悩んでいる院長先生は、ぜひ参考にしてください。
目次
1. ホームページリニューアルで既存患者が減る理由
2. よくある失敗パターン5選
3. 既存患者を守りながらリニューアルする方法
4. リニューアル後の患者数回復施策
5. まとめ
1.ホームページリニューアルで既存患者が減る理由

既存患者もホームページを見ている
多くの院長先生は「ホームページは新患獲得のためのもの」と考えがちですが、実は既存患者も定期的にホームページを確認しています。診療時間の確認、休診日のチェック、予約方法の確認など、既存患者にとってもホームページは重要な情報源なのです。
リニューアルによる情報迷子
ホームページをリニューアルすると、URLやページ構成が変わることがあります。これまでブックマークしていたページにアクセスできなくなったり、探していた情報が見つからなくなったりすると、患者さんは不便を感じます。特に高齢の患者さんにとって、慣れ親しんだページの変更は大きなストレスとなります。
信頼感の喪失
急激なデザイン変更や医院の雰囲気と合わないホームページは、患者さんに違和感を与えます。「本当にあの歯科医院のサイトなのか」「何か医院の方針が変わったのか」といった不安を抱かせ、信頼関係にひびが入ることもあります。
2. よくある失敗パターン5選

失敗パターン①:重要情報へのアクセス困難化
リニューアル前は「診療時間」「アクセス」「予約方法」がトップページから一目で分かったのに、リニューアル後はメニューの奥深くに埋もれてしまうケースがあります。デザイン重視で情報設計がおろそかになると、既存患者が必要な情報にたどり着けません。
具体例:
- 電話番号がヘッダーに表示されなくなった
- 診療時間カレンダーがトップページから消えた
- 予約フォームへのリンクが分かりにくくなった
失敗パターン②:URL変更による404エラー
リニューアル時にURLを変更したのに適切なリダイレクト設定を行わないと、検索結果やブックマークからアクセスした患者さんが「ページが見つかりません」というエラーページに遭遇します。これは患者さんに「医院が閉院したのでは」という不安を与えかねません。
失敗パターン③:スマートフォン対応の不備
リニューアルでデザインを一新したものの、スマートフォンでの表示が崩れていたり、ボタンが押しにくかったりするケースです。現在、歯科医院ホームページへのアクセスの60〜70%はスマートフォンからです。特に予約や電話につながる導線が機能しないと、患者さんは離脱してしまいます。
失敗パターン④:読み込み速度の低下
高解像度の画像や動画を多用した結果、ページの読み込みが遅くなってしまうケースがあります。患者さんは待ち時間を嫌います。特に診療時間を確認したい、今すぐ予約したいといった緊急性の高いニーズがある場合、表示が遅いサイトは即座に離脱されてしまいます。
失敗パターン⑤:医院の個性や温かみの喪失
テンプレートデザインやトレンドを重視しすぎて、医院独自の雰囲気や院長先生のお人柄が伝わらないホームページになってしまうことがあります。特に地域密着型の歯科医院では、親しみやすさや安心感が患者さんとの信頼関係の基盤です。それが失われると、既存患者は「自分の通っていた医院ではなくなった」と感じてしまいます。
3.既存患者を守りながらリニューアルする方法

段階的なリニューアルを検討する
全ページを一度に刷新するのではなく、段階的にリニューアルを進める方法もあります。まずはトップページのみ、次に診療内容ページというように、患者さんが変化に慣れる時間を確保できます。
301リダイレクトの徹底設定
URL変更が必要な場合は、必ず301リダイレクト(恒久的な転送)を設定しましょう。これにより、旧URLにアクセスした患者さんを自動的に新URLへ誘導できます。特に以下のページは優先的に設定すべきです。
- トップページ
- 診療案内ページ
- アクセス・診療時間ページ
- よくある質問ページ
- 予約フォームページ
重要情報の配置を優先する
デザイン性も大切ですが、患者さんが求める情報への導線を最優先に設計しましょう。以下の情報はトップページまたはすべてのページから1クリックでアクセスできる位置に配置すべきです。
- 診療時間・休診日
- 電話番号(タップで発信できるリンク)
- アクセス・地図
- 予約方法
- 緊急時の連絡先
ユーザビリティテストの実施
リニューアル公開前に、実際の患者さん(特に高齢の方)に試用してもらい、使いやすさをチェックしましょう。制作者や院内スタッフにとって使いやすくても、患者さんにとって使いにくいことはよくあります。
既存患者への事前告知
院内掲示や診察券へのチラシ挟み込み、メール配信などで、リニューアルを事前に告知しましょう。「ホームページが新しくなります」「URLが変わります」といった情報を事前に伝えることで、患者さんの混乱を最小限に抑えられます。
4.リニューアル後の患者数回復施策
アクセス解析で問題点を特定

Googleアナリティクスなどのツールを使って、リニューアル前後のデータを比較しましょう。
- どのページの離脱率が高まったか
- どの導線で患者さんが迷っているか
- どのデバイスで問題が発生しているか
データに基づいて具体的な改善点を見つけ、迅速に対応することが重要です。
患者さんの声を直接聞く
受付や診療中の会話で「ホームページは見やすいですか」「予約はスムーズにできましたか」と患者さんに直接尋ねてみましょう。アンケートを実施するのも効果的です。患者さんの生の声には、アクセス解析では見えない問題点が隠れています。
院内での情報補完
ホームページの情報が分かりにくい間は、院内掲示や配布物で情報を補完しましょう。診療時間の変更、予約方法の説明、よくある質問への回答などを院内で目立つように掲示することで、患者さんの不便を軽減できます。
継続的な改善体制の構築
ホームページは「完成したら終わり」ではなく、継続的に改善していくものです。月に一度は患者さんの反応やアクセス状況をチェックし、必要に応じて修正を加える体制を作りましょう。制作会社との保守契約に、こうした改善作業が含まれているか確認することも大切です。
まとめ
ホームページリニューアルで既存患者が減少してしまう原因は、主に以下の3点に集約されます。
- 情報アクセスの困難化:必要な情報にたどり着けない
- 技術的な問題:URL変更、表示速度、スマホ対応の不備
- 信頼感の喪失:急激な変化による違和感や不安
これらを避けるためには、リニューアルの計画段階から「既存患者視点」を持つことが不可欠です。新患獲得も重要ですが、長年通ってくださっている既存患者さんこそ、医院経営の基盤です。
リニューアルを成功させるポイントは以下の通りです。
- 重要情報へのアクセスを最優先に設計する
- 301リダイレクトを確実に設定する
- 事前告知で患者さんの混乱を防ぐ
- リニューアル後も継続的に改善する
- 患者さんの声に耳を傾ける
もし現在、リニューアル後の患者数減少に悩んでいる場合は、焦らず一つずつ問題点を改善していきましょう。専門家のサポートを受けることも有効な選択肢です。
ホームページは歯科医院と患者さんをつなぐ大切な接点です。既存患者さんを大切にしながら、新患も獲得できるホームページを目指して、戦略的なリニューアルを進めていきましょう。
投稿者プロフィール
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歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。
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