Googleアナリティクスを見ない歯科医院が損している3つの重要指標

「ホームページは作ったけど、Googleアナリティクスは難しそうで見ていない」という歯科医院は少なくありません。しかし、アナリティクスを見ないことは、宝の地図を持ちながら宝探しをしないようなものです。
実は、Googleアナリティクスには「今すぐ改善すべき問題点」や「新患獲得のヒント」が数多く隠れています。本記事では、忙しい院長先生でも月に一度、たった10分チェックするだけで成果が変わる「3つの重要指標」をご紹介します。
難しい専門用語は使わず、具体的な改善アクションまで解説しますので、データ分析が苦手な先生もぜひ最後までお読みください。
目次
1. なぜ歯科医院にGoogleアナリティクスが必要なのか
2. 重要指標①:コンバージョン率(予約・電話の発生率)
3. 重要指標②:離脱率が高いページ
4. 重要指標③:流入経路別のパフォーマンス
5. 月10分でできる!アナリティクスチェックの実践手順
6. よくある誤解と注意点
7. まとめ
1.なぜ歯科医院にGoogleアナリティクスが必要なのか
ホームページは作って終わりではない
多くの歯科医院がホームページ制作に数十万円から数百万円を投資していますが、「作ったら終わり」になっているケースが非常に多いのが現状です。ホームページは作った後の運用と改善こそが重要です。
感覚ではなくデータで判断する
「最近、ホームページ経由の予約が減った気がする」「スマホ対応した方がいいのかな」といった”感覚”だけで判断していませんか? Googleアナリティクスを見れば、これらの疑問に明確な答えが出ます。
競合との差を生む武器
近隣の歯科医院もホームページを持つ時代、差がつくのは「データに基づいて改善を続けているか」です。アナリティクスを活用している医院とそうでない医院では、1年後に大きな差が生まれます。
制作会社任せのリスク
ホームページ制作会社に「お任せ」している場合でも、院長先生自身が基本的な数値を把握していることが重要です。制作会社の提案が本当に医院のためになっているか、判断できるからです。
2.重要指標①:コンバージョン率(予約・電話の発生率)

コンバージョン率とは?
コンバージョン率とは、ホームページを訪れた人のうち、何%が「予約」や「電話」といった行動を起こしたかを示す指標です。これが最も重要な数値と言っても過言ではありません。
計算式: コンバージョン率 = (予約・電話の数 ÷ 訪問者数)× 100
例えば、月間1,000人の訪問者がいて、そのうち30人が予約や電話をした場合、コンバージョン率は3%です。
歯科医院の平均的なコンバージョン率
一般的に、歯科医院ホームページのコンバージョン率は2〜5%が目安です。
- 2%以下:改善の余地が大きい
- 2〜3%:平均的
- 3〜5%:良好
- 5%以上:非常に優秀
もしコンバージョン率が2%以下なら、すぐに改善に取り組むべきです。
コンバージョン率が低い原因と対策
原因①:電話番号やWeb予約ボタンが分かりにくい
対策:
- スマホ表示で画面上部に常に電話ボタンを固定表示
- 「ご予約はこちら」ボタンを大きく、目立つ色に
- すべてのページに予約導線を設置
原因②:診療時間やアクセスが探しにくい
対策:
- トップページに診療時間カレンダーを配置
- Googleマップを大きく表示
- 駐車場の有無を明記
原因③:初診の流れが不明確で不安を与えている
対策:
- 「初めての方へ」ページを作成
- 初診の流れを写真付きで説明
- 所要時間や持ち物を明記
- 「痛くない治療」など、不安を解消する情報を掲載
原因④:スマホでの操作性が悪い
対策:
- スマホでの表示速度を改善
- ボタンのサイズを大きく(指で押しやすく)
- 入力フォームを簡潔に(項目は必要最小限)
実際の改善事例
A歯科医院の場合:
- 改善前:月間訪問者800人、予約12件(コンバージョン率1.5%)
- 改善内容:電話ボタンの固定表示、予約フォームの簡素化
- 改善後:月間訪問者850人、予約28件(コンバージョン率3.3%)
- 結果:訪問者数はほぼ変わらないのに予約が2.3倍に増加
このように、訪問者数を増やさなくても、コンバージョン率を改善するだけで予約数は大幅に増やせます。
3.重要指標②:離脱率が高いページ

離脱率とは?
離脱率とは、そのページを最後にホームページから去ってしまった人の割合です。離脱率が異常に高いページは「何か問題がある」サインです。
どのページの離脱率を見るべきか
特に以下のページの離脱率をチェックしましょう。
- トップページ:入口として最も重要
- 診療案内ページ:患者さんが具体的な治療を検討するページ
- アクセス・診療時間ページ:来院前に必ずチェックされるページ
- 予約フォームページ:最終的なコンバージョンポイント
離脱率が高い原因と対策
トップページの離脱率が高い場合:
原因:
- ファーストビューで医院の魅力が伝わっていない
- 何の情報があるか分からず、次のページに進む動機がない
- 読み込みが遅くて離脱している
対策:
- 院内写真や院長の笑顔を大きく配置
- 「当院の3つの特徴」など、分かりやすいメッセージを配置
- 画像を圧縮して表示速度を改善
- 「診療案内」「初めての方へ」など、明確な導線を設置
診療案内ページの離脱率が高い場合:
原因:
- 情報が専門的すぎて理解できない
- 料金が不明確で不安
- 次のアクション(予約)への導線がない
対策:
- 専門用語を避け、患者さん目線の説明に
- 保険適用か自費かを明記
- 料金の目安を掲載(範囲でもOK)
- ページの最後に「この治療について相談する」ボタンを配置
予約フォームページの離脱率が高い場合:
原因:
- 入力項目が多すぎる
- エラーメッセージが不親切
- 個人情報の取り扱いに不安
対策:
- 入力項目を最小限に(氏名、電話番号、希望日時程度)
- リアルタイムで入力チェック機能を追加
- プライバシーポリシーへのリンクを明示
- 「入力は1分で完了」など、心理的ハードルを下げる
離脱率改善の実例
B歯科医院の場合:
- 問題:予約フォームの離脱率が78%(10人中8人が途中で諦めている)
- 原因分析:入力項目が15項目と多すぎた
- 改善内容:必須項目を5項目に削減、任意項目は別ページに
- 結果:離脱率が38%に改善、予約完了数が2倍に
4.重要指標③:流入経路別のパフォーマンス

流入経路とは?
患者さんがどこからホームページに来たかを示す情報です。主な流入経路は以下の通りです。
- 自然検索(オーガニック検索):GoogleやYahoo!で検索して訪問
- 直接流入:URLを直接入力、またはブックマークから訪問
- SNS:FacebookやInstagramなどから訪問
- 広告:Google広告などの有料広告から訪問
- 参照サイト:他のサイトのリンクから訪問
なぜ流入経路が重要なのか?
流入経路によって、訪問者の質や予約率が大きく異なるからです。
例えば:
- 自然検索からの訪問者:悩みを持って積極的に検索している→予約率が高い
- SNSからの訪問者:たまたま見ただけ→予約率は低め
- 広告からの訪問者:ターゲティング次第で予約率が変動
流入経路別の改善戦略
自然検索からの流入が少ない場合:
これは最も重要な改善ポイントです。自然検索は「費用ゼロで患者さんを集められる」最大のチャンスです。
対策:
- 「地域名+歯科」「地域名+インプラント」などのキーワードで検索順位を確認
- タイトルタグ、見出しタグにキーワードを適切に配置
- 定期的にブログ更新(月2〜4本が目安)
- Googleマイビジネスの充実
- 口コミの獲得(Googleレビュー)
直接流入が多い場合:
既存患者や地域での認知度が高い証拠です。これは良いサインですが、新患獲得のためには自然検索やSNSからの流入も増やす必要があります。
広告からの流入は多いが予約が少ない場合:
広告費の無駄遣いの可能性があります。
対策:
- 広告のターゲティング設定を見直す(年齢、地域、時間帯)
- 広告文言とランディングページの内容が一致しているか確認
- 競合性の高いキーワード(単価が高い)を避け、ニッチなキーワードに変更
流入経路分析の実例
C歯科医院の場合:
- 発見:自然検索からの流入は全体の15%のみ、広告が65%
- 問題:広告費が月15万円かかっているのに、予約は月20件程度
- 改善:SEO対策を強化し、ブログを週1回更新
- 結果(6ヶ月後):自然検索が45%に増加、広告費を月5万円に削減しても予約数は維持
D歯科医院の場合:
- 発見:SNSからの流入は多いが、予約率が0.5%と極端に低い
- 分析:Instagramで「歯の豆知識」を発信していたが、予約導線がなかった
- 改善:プロフィール欄に予約ページのリンクを設置、投稿に「ご予約はプロフィールから」を追加
- 結果:SNSからの予約率が2.8%に改善
5.月10分でできる!アナリティクスチェックの実践手順

忙しい院長先生でも実践できる、月に一度の簡単チェック方法をご紹介します。
ステップ1:Googleアナリティクスにログイン(1分)
Googleアナリティクスの管理画面にアクセスします。制作会社に依頼して、閲覧権限をもらっておきましょう。
ステップ2:コンバージョン率を確認(3分)
- 左メニューから「目標」→「概要」を選択
- 今月のコンバージョン数とコンバージョン率を確認
- 前月と比較して増減をチェック
- 目標値(3%以上)に達しているか確認
ステップ3:離脱率の高いページを確認(3分)
- 左メニューから「行動」→「サイトコンテンツ」→「すべてのページ」を選択
- 離脱率の列をクリックして降順に並べ替え
- 上位3ページをメモ
- 特に予約フォームや診療案内の離脱率をチェック
ステップ4:流入経路を確認(3分)
- 左メニューから「集客」→「すべてのトラフィック」→「チャネル」を選択
- 各チャネル(自然検索、直接、SNSなど)の数値を確認
- 自然検索が全体の30%以上あるか確認
- 前月と比較して大きな変動があれば原因を考察
チェック後のアクション
発見した問題点は、必ずメモに残しましょう。そして、以下のいずれかの対応を取ります。
- 自院で対応可能な簡単な修正は即実施
- 専門的な対応が必要なものは制作会社に相談
- 複数の問題がある場合は優先順位をつけて対応
6.よくある誤解と注意点
誤解①:訪問者数が多ければ成功
訪問者数が多くても、予約につながらなければ意味がありません。訪問者数よりもコンバージョン率を重視しましょう。月間500人の訪問でコンバージョン率5%(25件の予約)の方が、月間2,000人でコンバージョン率1%(20件の予約)よりも効率的です。
誤解②:直帰率が高い=悪い
直帰率とは、1ページだけ見て帰った人の割合です。「診療時間」や「アクセス」だけを確認して帰る患者さんも多いため、直帰率が高くても必ずしも問題ではありません。重要なのは離脱率とコンバージョン率です。
誤解③:数字は毎日チェックすべき
毎日チェックしても、日々の変動に一喜一憂するだけです。歯科医院の場合、月単位でのトレンドを見る方が効果的です。月に一度、15〜30分かけてじっくり分析する方が、改善につながります。
注意点:スマホとPCを分けて見る
最近は訪問者の70%以上がスマホからです。スマホとPCで分けて分析し、特にスマホでの使いやすさを優先して改善しましょう。
7.まとめ
Googleアナリティクスは難しそうに見えますが、歯科医院が見るべき重要指標はシンプルです。以下の3つを月に一度チェックするだけで、ホームページの成果は大きく変わります。
3つの重要指標のおさらい
- コンバージョン率(目標:3%以上)
- ホームページの最終的な成果を示す最重要指標
- 2%以下なら早急に改善が必要
- 訪問者を増やすより、まずコンバージョン率改善を優先
- 離脱率が高いページ
- 問題のあるページを特定できる
- 特に予約フォームの離脱率に注目
- 離脱率50%以上のページは要改善
- 流入経路別のパフォーマンス
- どこから患者さんが来ているかを把握
- 自然検索からの流入を増やすことが長期的に重要
- 広告費の費用対効果を確認
今日からできるアクション
- 制作会社にGoogleアナリティクスの閲覧権限を依頼する
- 月に一度、カレンダーに「アナリティクスチェック」の予定を入れる
- まずは今月の3つの指標を確認してみる
- 問題点を1つだけ選んで改善に取り組む
データ活用で差をつける
同じ地域に複数の歯科医院がある中で、データに基づいて継続的に改善している医院は確実に優位に立てます。Googleアナリティクスは、その差を生む強力な武器です。
「難しそう」と避けるのではなく、まずは3つの指標だけでも見てみてください。きっと新しい発見があり、ホームページからの予約が増えるはずです。
株式会社リバティーフェローシップでは、歯科医院専門のホームページ制作に加え、Googleアナリティクスの設定から分析、改善提案までをトータルでサポートしています。「アナリティクスの見方が分からない」「数字は出ているけど改善方法が分からない」という院長先生は、ぜひお気軽にご相談ください。データに基づいた戦略的なホームページ運用で、新患獲得を強力にサポートいたします。
投稿者プロフィール
-
歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。
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