治療の中断を減らすために~患者さんの心理~
こんにちは。歯科医院経営コンサルタントの小澤直樹です。
皆さんは「突然患者さんが治療に来なくなってしまう・・・」という経験で悩まれたことはありますか?よくご相談いただく内容ですが、実は患者さんとのコミュニケーションでそのほとんどは防ぐことが出来ます。
このコラムでは、治療を中断してしまう患者さんのさまざまな心理をその対策とともにご紹介します。
① 痛みなどの症状が治まったから ② 治療内容に不満があるから ③ うっかり忘れてしまい行きにくくなってしまったから
その他にも「金銭的な理由」や「待ち時間」についての不満もありますが、今回はコミュニケーションで対策をとることができるこの3つの理由についてお話をします。
① 痛みなどの症状が治まったから
この理由は特に若い男性に多くみられます。
これを防ぐためには、治療の中断をすることで患者さんの口腔内や身体にどんな悪い影響があるのかを資料などを用いて啓蒙する必要があります。
また、治療を始める前にある程度の治療回数や治療内容を説明しましょう。
② 治療内容に不満があるから
この理由は特に若い女性に多いようです。
「雑な扱いをされた」「不必要な検査をされた」「流れ作業のように治療された」などなど不満を調べるとキリがありませんが、どんな不満をとってもコミュニケーション不足の結果と言えるでしょう。
「雑な扱い」と感じさせないためにはどうするべきでしょうか?
他人の手が口腔内に触れるのですからそれだけでも不快と感じる人は少なくありません。
まず口腔内に触れる前には必ず声をかけましょう。
「失礼します」たったそれだけでも随分印象は良くなります。
また、器具や手が治療箇所以外のところに触れてしまい不快感を与えていないかどうか声をかけてください。
「どこか気になるところはありませんか?」「嫌なところはないですか?」など患者さんを気遣う一声をかけてあげましょう。
その他にも「少し削りますね~」や「少しチックとしますよ~」などこれから自分の身に起こることを知らせてくれることは患者さんに安心感を与えます。
私の息子は小さい頃、とても「歯医者嫌い」でした。
歯医者に行くと口を開けてくれず苦労しました。
いくつかの歯医者を変え、ある1人の先生と出会い息子の歯医者嫌いは克服できました。
息子に当時の心境を質問してみると、意外な回答が返ってきたのです。
※子供なので表現は乏しいですが、あえてそのままお伝えします。
どうして歯医者さんが嫌いだったの?
「ガッって痛くするから」と言い自分の唇を持って、雑に口を開いて見せました。
どうして○○先生は大丈夫だったの?
「優しいから」
私はてっきり対応や人としての接し方が優しいから好きになったのかと思っていましたが、それだけでは無かったようです。
息子は口を触るときの先生の手が優しかったから克服できたと、身ぶりを交えて話してくれました。
小さな子供でも「雑に扱われた」ことを感じ、そのことによって「歯医者嫌い」になってしまう事があります。大人がそのような扱いを不快に思わないわけがありませんよね。
「不必要な検査や治療をされた」と感じさせてしまわないために
なぜその検査や治療が必要なのかを説明する必要があります。
疑問に思っていることが無いか患者さんの意見に耳を傾けましょう。
ポイントは一方的に説明するのではなく、患者さんが理解できているかどうか患者さんにも発言の機会を提供することです。
無意識に「歯科用語」を使ってしまっている場合が多いので、なるべく専門的な言葉を使わないように意識してみましょう。
「流れ作業のように治療された」・・・・
予約がたくさん入ってしまい患者さんとのコミュニケーションが取れない場合も多いかもしれません。
流れ作業とは「同一製品を大量に生産する場合、設備や材料・部品を工程順に配列し、各作業を分業で行い連続的に生産すること」と定義されています。
まるで自分が何かの製品になったかのように感じてしまう人がいるという事です。
いつも決まったところで決まった作業を決まった順番でアナウンスされる。
「この人はいつもこのセリフを言っている」
「マニュアル通りなんだろうな」
「笑ってるけど感情が無い」
そんな風に思う人がいても不思議ではありませんよね。
皆さんが扱っているのは『物』ではありません。『人』の身体を任されているのです。
いくら忙しくても患者さん一人一人とのコミュニケーションを欠かさないようにしてください。たった一言二言でも良いのです。
「今日は忙しくてバタバタしてごめんなさいね」そんな声掛けでも良いのです。
③ うっかり忘れてしまい行きにくくなってしまったから
患者さん都合で一番多いのがこの理由です。実は私もうっかり予約していたことを忘れて無断キャンセルをしてしまったことがあります。
予約の時間を過ぎてから気付いた時患者側からは電話しにくいのです。気まずくて次の予約なんて取れません。
私がうっかりしてしまった時は受付の方から電話をもらい、予約を取り直して治療を続けることができました。
中には電話をするほうが嫌がられるのではないかと心配される先生もいらっしゃいますが、それが本当に患者さんのためになっているのでしょうか?
電話をしたことで怒ったりクレームを入れてくるような患者さんはほとんどいませんし、そういった患者さんは他の医院でも同じことをしている場合が多いのではないでしょうか。
「本日の○時にご予約をいただいておりましたので、心配でご連絡致しました」と気遣う内容の電話をしてみましょう。
患者さんが予約前の連絡を希望している場合には、漏れなく連絡をしてあげてください。
まとめ
一度中断をしてしまうと「治療途中の歯を見せるのが恥ずかしい」「治療の中断を怒られるかもしれないから怖くて行けない」など歯医者離れの理由にもなりかねません。日頃から患者さんとコミュニケーションをとり、何かあった時に頼ってくれるそんな「歯医者」を目指しましょう。
無料相談/経営コンサルティングについてお問合せ
経営相談をしようかどうか迷われている先生。
ぜひ思い切ってご連絡ください。先生のお話を、じっくり先生のペースに合わせてうかがいます。まずはそこから。
先生が「今が経営改善のときかも」と感じたときが、動くべきタイミングです。ご連絡お待ちしています。