新卒歯科衛生士vs経験者、ターゲット別の採用ページ設計術
歯科衛生士の採用難が続く中、多くの医院が「誰でもいいから来てほしい」という状況に陥っています。しかし、新卒と経験者では求めるものが大きく異なるため、同じ採用ページで両方にアプローチしようとすると、どちらにも響かない中途半端な内容になりがちです。
本記事では、新卒歯科衛生士と経験者それぞれの特性を理解し、ターゲットに合わせた採用ページの設計方法を解説します。
目次
1. 新卒と経験者、なぜ分けて考える必要があるのか
2. 新卒歯科衛生士の特徴と心理
3. 経験者歯科衛生士の特徴と心理
4. 新卒向け採用ページの設計
5. 経験者向け採用ページの設計
6. 共通ページと専用ページの構成
7. 採用時期に合わせたアプローチ
8. まとめ
1.新卒と経験者、なぜ分けて考える必要があるのか

新卒歯科衛生士と経験者では、就職活動の時期、情報収集の方法、重視するポイント、不安に感じていることなど、あらゆる面で違いがあります。
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項目 |
新卒 |
経験者 |
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就職活動時期 |
卒業前年の夏〜秋が中心 |
通年(特に1〜3月、9〜10月) |
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情報収集方法 |
学校の求人票、就職ガイダンス、合同説明会 |
求人サイト、ホームページ、口コミ |
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重視するポイント |
教育体制、先輩の雰囲気、成長できる環境 |
給与・待遇、働きやすさ、キャリア |
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主な不安 |
「ちゃんと教えてもらえるか」「やっていけるか」 |
「前職の不満が解消されるか」「人間関係」 |
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判断基準 |
安心感、成長環境、先輩の存在 |
条件面、ワークライフバランス、専門性 |
この違いを無視して「歯科衛生士募集」と一括りにしたページを作ると、新卒には「経験者向けっぽい」と感じられ、経験者には「新人向けの内容ばかり」と感じられてしまいます。
ターゲットを明確にし、それぞれに最適化したページを用意することで、応募率と採用の質を高めることができます。
2.新卒歯科衛生士の特徴と心理

就職活動の特徴
新卒歯科衛生士の就職活動は、専門学校や大学の就職支援スケジュールに沿って進みます。多くの場合、最終学年の夏から秋にかけて本格化し、年末から年明けにかけて内定が決まっていきます。
情報収集の起点は学校に届く求人票や、学校主催の合同説明会であることが多いです。その後、興味を持った医院のホームページを確認し、見学や面接に進むという流れが一般的です。
新卒が重視すること
新卒歯科衛生士が就職先を選ぶ際に重視するポイントは、以下の順で多く挙げられます。
教育体制・研修制度が整っているかどうかは、新卒にとって最も重要な関心事です。臨床経験がほとんどない状態で就職するため、「ちゃんと教えてもらえるのか」という不安が大きいです。
職場の雰囲気・人間関係も重視されます。「先輩は優しいか」「質問しやすい環境か」「怒られないか」といった点を気にしています。
同期や年齢の近い先輩の存在も安心材料になります。一人で入職するより、同期がいたり、1〜2年先輩がいたりする方が心強いと感じます。
通勤のしやすさ、休日・勤務時間も判断材料ですが、教育環境や人間関係ほどの優先度ではないことが多いです。
新卒が抱える不安
新卒歯科衛生士は、以下のような不安を抱えています。
「学校で習ったことが実際にできるか不安」「実習ではうまくいかないことも多かった」という技術面の不安があります。
「先輩や院長に怒られないか」「質問しても嫌な顔をされないか」という人間関係への不安も大きいです。
「患者さんとうまくコミュニケーションが取れるか」「クレームを受けたらどうしよう」という患者対応への不安もあります。
採用ページでは、これらの不安を解消するメッセージを発信することが重要です。
3.経験者歯科衛生士の特徴と心理

転職活動の特徴
経験者の転職活動は通年で行われますが、特に多いのは1〜3月(年度替わり前)と9〜10月(下半期開始前)です。ボーナス支給後に退職を決意するケースも多く、6〜7月と12〜1月に求人への反応が高まる傾向があります。
情報収集は、求人サイト(グッピー、ジョブメドレー、デンタルハッピーなど)での検索から始まることが多いです。気になる医院が見つかると、ホームページを詳しく確認し、口コミや評判も調べます。
経験者が重視すること
経験者が転職先を選ぶ際に重視するポイントは、新卒とは大きく異なります。
給与・待遇は最も重要な判断基準の一つです。「今より良くなるか」「自分の経験・スキルが正当に評価されるか」を見ています。
働きやすさ・ワークライフバランスも重視されます。「残業は多くないか」「休みは取りやすいか」「子育てとの両立はできるか」といった点です。
スキルアップ・キャリアの可能性にも関心があります。「新しい技術を学べるか」「認定資格の取得支援はあるか」「キャリアパスはあるか」という点です。
人間関係・職場環境は、転職理由として「前職の人間関係」を挙げる人が多いため、同じ失敗を繰り返したくないという思いがあります。
経験者が抱える不安
経験者特有の不安として、以下のようなものがあります。
「前職を辞めた理由が面接でどう思われるか」「転職回数が多いとマイナスか」という転職そのものへの不安があります。
「新しい職場のやり方に馴染めるか」「前職との違いに戸惑わないか」という環境変化への不安もあります。
「年下のスタッフとうまくやれるか」「自分の経験が活かせるか」という立場に関する不安も見られます。
4.新卒向け採用ページの設計
伝えるべきメッセージ
新卒向けページでは、「安心して成長できる環境」というメッセージを中心に据えます。
「未経験でも大丈夫」「一から丁寧に教えます」「先輩がしっかりサポート」といった、不安を解消するメッセージを前面に出します。
院長からのメッセージとして、「最初からできる人はいません。ゆっくり成長していきましょう」といった温かい言葉があると、安心感につながります。
必須コンテンツ
教育体制の詳細説明
新人研修の内容と期間、段階的なスキルアップの流れ、マニュアルや教育プログラムの有無、独り立ちまでの目安期間を具体的に示します。
「入職後1ヶ月は先輩とマンツーマン」「3ヶ月目から担当患者を持ち始める」「6ヶ月で基本業務を習得」のように、時系列で成長のステップを示すと、具体的なイメージが湧きます。
先輩スタッフの声
新卒入職した先輩のインタビューは、最も効果的なコンテンツです。「私も最初は不安でした」「先輩が優しく教えてくれました」「今では自信を持って仕事ができています」といった体験談は、同じ不安を抱える新卒の背中を押します。
入職1〜3年目の若手スタッフの声を複数掲載することで、「自分もこうなれるかもしれない」という希望を持ってもらえます。
1日のスケジュール例
新卒にとって、実際の勤務がどのようなものかはイメージしにくいものです。出勤から退勤までの流れを時間軸で示すことで、具体的なイメージを持ってもらえます。
職場の雰囲気が伝わる写真・動画
スタッフ同士が笑顔で話している様子、研修の風景、休憩室でのリラックスした様子など、「優しい先輩がいそう」「質問しやすそう」と感じられる写真を使用します。
効果的な見せ方
新卒向けページは、親しみやすいデザインを意識します。堅苦しい表現は避け、先輩スタッフが語りかけるような温かいトーンで構成します。
「〇〇さん(入職2年目)の場合」のように、具体的な人物を例に出すと、自分ごととして捉えやすくなります。
写真は、若手スタッフの笑顔や、研修・指導の場面を中心に使用します。
5.経験者向け採用ページの設計
伝えるべきメッセージ
経験者向けページでは、「あなたの経験を活かせる環境」「キャリアアップできる職場」というメッセージを中心に据えます。
「経験者だからこそ任せたい仕事がある」「スキルを正当に評価します」「次のステージへ」といった、経験者の自尊心を尊重するメッセージが効果的です。
必須コンテンツ
給与・待遇の詳細
経験者は条件面を重視するため、給与・待遇の情報を具体的に示します。経験年数別のモデル給与を明示すると、自分の場合の目安がわかります。
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経験年数 |
月給目安 |
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3年以上 |
28万円〜 |
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5年以上 |
30万円〜 |
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10年以上 |
33万円〜 |
※経験・スキルにより優遇
昇給の仕組み、賞与の実績、各種手当の内容も明記します。
働きやすさの具体的情報
残業時間、有給取得率、産休・育休の取得実績と復帰率など、働きやすさを示す数字を掲載します。
「月平均残業時間5時間」「有給取得率85%」「産休・育休取得後の復帰率100%」といった具体的な数字は、経験者にとって重要な判断材料です。
スキルアップ・キャリアパス
外部研修への参加支援、認定資格の取得支援、院内でのキャリアパス(チーフ、主任など)を示します。
「認定歯科衛生士の資格取得支援制度あり」「年間10万円まで研修費用を補助」「チーフへの昇格実績あり」といった情報は、成長志向の経験者に響きます。
定着率・職場環境
スタッフの平均勤続年数、定着率は、職場環境の良さを示す指標として有効です。前職を人間関係で辞めた経験者にとって、「長く働いている人が多い職場」は安心材料になります。
経験者スタッフの声
転職してきた先輩のインタビューは、経験者に最も響くコンテンツです。「前職との違い」「転職してよかったこと」「経験が活かせている点」などを語ってもらいます。
効果的な見せ方
経験者向けページは、プロフェッショナルな印象のデザインを意識します。情報は整理されて見やすく、条件面がすぐに確認できる構成にします。
キャリア志向の経験者には、「この医院で働くことで、自分のキャリアがどう発展するか」というビジョンを示すことが重要です。
6.共通ページと専用ページの構成

新卒向けと経験者向けを完全に分離する必要はありません。共通部分と専用部分を整理し、効率的なページ構成を設計します。
推奨するページ構成
採用トップページ(共通)
医院の採用方針、求める人物像、募集職種の一覧を掲載します。ここから「新卒の方へ」「経験者の方へ」へ分岐する導線を設けます。
新卒向け専用ページ
教育体制、新卒スタッフの声、1日の流れ、新卒向け募集要項を掲載します。
経験者向け専用ページ
キャリアパス、待遇詳細、経験者スタッフの声、経験者向け募集要項を掲載します。
共通コンテンツ
医院紹介、院長メッセージ、福利厚生、アクセス、応募方法は共通ページとして用意し、各専用ページからリンクします。
ナビゲーションの工夫
採用ページに訪れた求職者が、自分に該当するページにすぐたどり着けるよう、わかりやすいナビゲーションを設計します。
「新卒の方はこちら」「経験者の方はこちら」というボタンを目立つ位置に配置し、迷わず進めるようにします。
7.採用時期に合わせたアプローチ
新卒と経験者では、就職・転職活動の時期が異なるため、アプローチのタイミングも変える必要があります。
新卒採用のスケジュール
4〜5月に求人票の準備と学校への送付を行います。6〜8月は合同説明会への参加や学校訪問、見学会の開催を実施します。9〜11月は面接・選考のピークとなります。12〜2月に内定出しと入職準備を進めます。
ホームページの新卒向けページは、遅くとも5〜6月には充実させておく必要があります。
経験者採用のスケジュール
経験者の転職活動は通年ですが、特に反応が高まる時期があります。
1〜3月は年度替わりを意識した転職活動が活発になります。6〜7月は夏のボーナス後の転職を検討する人が増えます。9〜10月は下半期開始に合わせた転職活動が見られます。12〜1月は冬のボーナス後の転職検討者が増えます。
これらの時期に合わせて、求人サイトへの掲載やホームページの更新を行うと効果的です。
時期に合わせたコンテンツ更新
採用ページは、時期に合わせてトップに表示するコンテンツを変えることも検討します。
新卒の就職活動ピーク時には、「新卒向け情報」を目立つ位置に配置します。経験者の転職活動が活発な時期には、「経験者優遇」のメッセージを前面に出します。
8.まとめ
新卒歯科衛生士と経験者では、求めるもの、不安に感じること、重視するポイントがまったく異なります。この違いを理解し、ターゲットに合わせた採用ページを設計することで、応募の質と量を高めることができます。
新卒向けには、教育体制の充実、先輩の存在、成長できる環境をアピールし、「安心して一歩を踏み出せる」と感じてもらうことが重要です。
経験者向けには、給与・待遇の透明性、働きやすさ、キャリアアップの可能性をアピールし、「ここでなら自分の経験が活かせる」と感じてもらうことが重要です。
共通ページと専用ページを適切に構成し、それぞれのターゲットが必要な情報にスムーズにたどり着ける導線を設計してください。採用難の時代だからこそ、ターゲットを明確にした戦略的な採用ページが、他院との差別化につながります。
株式会社リバティーフェローシップ/東京歯科経営ラボでは、歯科医院の採用力強化をトータルでサポートしています。採用ページの設計・制作、ターゲット別コンテンツの企画、スタッフインタビューの撮影など、採用に関するご相談をお気軽にお寄せください。
投稿者プロフィール
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歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。
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