開業資金の中でホームページ予算はどう組む?優先順位の考え方

「開業資金が限られている中で、ホームページにいくらかけるべきか迷っている」「知り合いに安く作ってもらおうと思っているけど、大丈夫だろうか」。開業を控えた歯科医師から、このような相談をよく受けます。

開業時は、内装工事、医療機器、人件費など、多くの費用が必要です。その中でホームページの予算をどう位置づけるかは、開業後の集患に大きく影響します。本記事では、開業資金の中でホームページ予算をどう組むべきか、優先順位の考え方を解説します。

目次
1. 開業時のホームページの重要性
2. 開業資金の全体像とホームページの位置づけ
3. ホームページ制作費用の相場
4. 予算別にできること・できないこと
5. ホームページ予算の優先順位の考え方
6. 削ってはいけない部分・削れる部分
7. 開業時と開業後の投資バランス
8. よくある失敗パターンと対策
9. よくある質問
10. まとめ

 

1. 開業時のホームページの重要性

まず、開業時にホームページがなぜ重要なのかを確認しましょう。

患者さんの情報収集行動

現代の患者さんは、歯科医院を探す際にインターネット検索を利用します。新しくできた歯科医院であれば、なおさら「どんな医院だろう」とホームページを確認します。

ホームページがない、または貧弱なホームページしかない場合、患者さんは不安を感じ、他の医院を選んでしまいます。

開業直後は認知度ゼロからのスタート

開業直後は、地域での認知度がゼロの状態です。看板を見て来院する患者さん、通りがかりで気づく患者さんは限られています。

Web検索からの流入は、開業直後の集患において重要なチャネルの一つです。ホームページがなければ、この流入経路を失うことになります。

信頼性の証明

ホームページは、医院の信頼性を証明する役割も果たします。

きちんとしたホームページがあることで、「ちゃんとした医院だ」という印象を与えられます。逆に、ホームページがない、または古臭いデザインのホームページでは、「大丈夫だろうか」という不安を与えかねません。

内覧会・開業告知との連携

開業前の内覧会や開業告知において、ホームページは詳細情報を伝える場として機能します。

チラシやSNSで興味を持った人が、詳しい情報を求めてホームページを訪れます。このとき、ホームページがなければ、せっかくの興味を逃してしまいます。

2. 開業資金の全体像とホームページの位置づけ

開業資金の全体像を把握し、その中でホームページをどう位置づけるか考えましょう。

歯科医院開業の一般的な資金内訳

歯科医院の開業には、一般的に5,000万円〜8,000万円程度の資金が必要と言われています。主な内訳は以下の通りです。

内装工事費として、1,500万円〜3,000万円程度がかかります。医療機器・設備費として、1,500万円〜2,500万円程度がかかります。運転資金として、1,000万円〜2,000万円程度を確保します。保証金・敷金として、200万円〜500万円程度がかかります。広告宣伝費として、100万円〜300万円程度を見込みます。その他として、什器備品、開業届出費用などがあります。

広告宣伝費の内訳

広告宣伝費100万円〜300万円の中には、以下のような項目が含まれます。

ホームページ制作費、看板・サイン制作費、内覧会費用、チラシ・印刷物、開業告知広告などです。

ホームページは、広告宣伝費の中でも大きな割合を占める項目です。

ホームページの投資対効果

開業資金全体から見ると、ホームページ費用は1〜2%程度です。しかし、その効果は開業後何年にもわたって続きます。

内装工事費2,000万円は、物件を変えない限り一度きりの投資です。一方、ホームページ50万円〜150万円は、毎月の集患に直結し、何年も効果を発揮し続けます。

費用対効果で考えると、ホームページは非常にコストパフォーマンスの高い投資と言えます。

3. ホームページ制作費用の相場

歯科医院のホームページ制作費用の相場を確認しましょう。

制作費用の幅

歯科医院のホームページ制作費用は、制作会社や内容によって大きく異なります。

格安プランでは10万円〜30万円程度です。標準的なプランでは50万円〜100万円程度です。充実したプランでは100万円〜200万円程度です。ハイエンドなプランでは200万円以上になることもあります。

価格差が生まれる要因

価格差が生まれる主な要因を説明します。

デザインの質として、テンプレート使用か、オリジナルデザインかで異なります。ページ数として、5ページ程度か、20ページ以上かで異なります。写真撮影として、撮影込みか、支給写真のみかで異なります。コンテンツ作成として、文章作成込みか、原稿支給かで異なります。機能として、予約システム、ブログ機能などの有無で異なります。SEO対策として、基本的な対策のみか、本格的な対策込みかで異なります。

ランニングコスト

制作費用に加えて、毎月のランニングコストも考慮する必要があります。

サーバー・ドメイン費用として、月額1,000円〜5,000円程度がかかります。保守・管理費用として、月額5,000円〜30,000円程度がかかります。更新費用として、更新頻度や内容による従量制の場合があります。

年間で10万円〜50万円程度のランニングコストを見込んでおく必要があります。

4. 予算別にできること・できないこと

予算帯別に、どのようなホームページが作れるかを具体的に解説します。

予算10万円〜30万円の場合

この予算でできることとして、テンプレートベースのデザイン、基本的な情報掲載(5〜10ページ程度)、支給写真・文章の掲載、基本的なスマートフォン対応があります。

できないこととして、オリジナルデザイン、プロによる写真撮影、本格的なSEO対策、充実したコンテンツ作成があります。

この予算の注意点として、「とりあえずあればいい」というレベルになりがちです。開業後に作り直しが必要になることも多く、長期的には割高になる可能性があります。

予算50万円〜80万円の場合

この予算でできることとして、セミオリジナルのデザイン、必要十分なページ数(10〜15ページ程度)、基本的な写真撮影、ある程度のコンテンツ作成、基本的なSEO対策があります。

できないこととして、完全オリジナルの高品質デザイン、大量のコンテンツ制作、高度なSEO対策があります。

この予算の位置づけとして、開業時のスタンダードな選択肢です。必要十分な品質を確保できます。

予算100万円〜150万円の場合

この予算でできることとして、オリジナルデザイン、充実したページ数(15〜25ページ程度)、プロによる本格的な写真撮影、しっかりしたコンテンツ作成、本格的なSEO対策、採用ページの充実があります。

この予算の位置づけとして、集患に力を入れたい医院におすすめです。開業後のリニューアルを考えずに済む品質を確保できます。

予算200万円以上の場合

この予算でできることとして、ハイクオリティなオリジナルデザイン、大量のコンテンツ制作、動画制作込み、高度なSEO対策、専門サイトの同時制作などがあります。

この予算の位置づけとして、自費診療中心、専門特化など、Webからの集患を重視する医院向けです。

5. ホームページ予算の優先順位の考え方

限られた予算の中で、何を優先すべきかを解説します。

優先順位1:基本情報の充実

最も優先すべきは、患者さんが知りたい基本情報を過不足なく掲載することです。

必須の情報として、医院名・所在地・電話番号、診療時間・休診日、アクセス方法(地図)、診療内容、院長・スタッフ紹介があります。

これらがなければ、ホームページとしての最低限の役割を果たせません。

優先順位2:スマートフォン対応

現在、ホームページ閲覧の7〜8割はスマートフォンからです。スマートフォンで見やすいデザイン(レスポンシブデザイン)は必須です。

スマートフォン対応が不十分だと、閲覧者の離脱につながります。

優先順位3:写真の質

院内写真、スタッフ写真の質は、医院の印象を大きく左右します。

予算が限られていても、主要な写真だけはプロに撮影してもらうことをお勧めします。写真の質が低いと、どれだけ他の部分に力を入れても、全体の印象が下がってしまいます。

優先順位4:SEOの基本対策

検索エンジンで上位表示されなければ、ホームページを見てもらえません。

最低限として、タイトルタグ・メタディスクリプションの設定、地域名+歯科のキーワード対策、Googleビジネスプロフィールとの連携が必要です。

優先順位5:デザインの質

デザインの質は、医院の信頼性に影響します。ただし、「最高のデザイン」である必要はありません。

清潔感があり、見やすく、医院の雰囲気が伝わるデザインであれば十分です。過度にこだわるより、他の優先事項に予算を回す方が効果的な場合もあります。

優先順位6:充実したコンテンツ

治療説明、よくある質問、ブログなどの充実したコンテンツは、SEO効果と患者さんの理解促進に役立ちます。

ただし、開業時に完璧なコンテンツを揃える必要はありません。開業後に順次追加していくことも可能です。

6. 削ってはいけない部分・削れる部分

予算が限られている場合、どこを削るべきか、削るべきでないかを整理します。

削ってはいけない部分

写真撮影費は削るべきではありません。素人が撮った写真とプロが撮った写真では、印象が全く異なります。少なくとも院内写真、院長写真はプロに依頼しましょう。

スマートフォン対応も削るべきではありません。スマートフォンで見づらいサイトは、それだけで患者さんを逃します。

基本的なSEO対策も削るべきではありません。検索で見つけてもらえなければ、ホームページを作った意味がありません。

削れる部分

ページ数は削れる可能性があります。開業時は最小限のページでスタートし、後から追加することも可能です。10ページを5ページにすれば、その分コストを抑えられます。

高度な機能は削れる可能性があります。Web予約システム、ブログ機能などは、後から追加することも可能です。開業時は最小限の機能でスタートする選択肢もあります。

凝ったデザインも削れる可能性があります。アニメーション、動画背景など、凝った演出は後回しにできます。シンプルでも清潔感のあるデザインであれば十分です。

大量のコンテンツも削れる可能性があります。治療説明ページを全治療分作る必要はありません。主要な治療のみでスタートし、後から追加できます。

7. 開業時と開業後の投資バランス

ホームページへの投資は、開業時だけでなく、開業後も継続的に必要です。そのバランスを考えましょう。

開業時に最低限必要なレベル

開業時に必要なのは、「あって当然」と思われるレベルのホームページです。

患者さんが基本情報を確認できること、医院の雰囲気が伝わること、検索で見つけてもらえること、スマートフォンで快適に見られることが必要です。

この条件を満たすために、50万円〜80万円程度の予算を確保することをお勧めします。

開業後の投資計画

開業後は、運営状況を見ながら追加投資を検討します。

開業後半年〜1年の時期には、ホームページの効果検証を行います。必要に応じてページ追加、コンテンツ充実を図ります。SEO対策の強化、リスティング広告の検討もこの時期に行います。

開業後2〜3年の時期には、リニューアルの検討を行います。採用ページの充実、専門サイトの制作検討も行います。

開業後5年以降の時期には、大規模リニューアル、デザイン刷新を検討します。最新のWeb技術・トレンドへの対応も行います。

投資の分散という考え方

開業時に100万円を一括投資するより、開業時に50万円、開業後2年目に30万円、開業後4年目に30万円と分散投資する方が、効果的な場合もあります。

開業後の状況を見ながら、必要な部分に投資できるメリットがあります。

8. よくある失敗パターンと対策

開業時のホームページ投資でよくある失敗パターンと、その対策を紹介します。

失敗パターン1:予算を削りすぎて後悔

知り合いに安く作ってもらった、格安の制作会社に依頼したものの、品質が低く、結局1〜2年で作り直すことになったというパターンです。

対策として、最低限の品質を確保できる予算(50万円程度)は確保します。安さだけで選ばず、実績・品質を確認してから依頼します。

失敗パターン2:過剰投資で資金繰りに影響

ホームページに200万円以上かけたものの、開業直後は患者数が少なく、資金繰りが厳しくなったというパターンです。

対策として、開業時は必要十分なレベルに抑え、開業後の状況を見て追加投資します。ホームページへの過剰投資より、運転資金の確保を優先します。

失敗パターン3:開業に間に合わない

ホームページ制作の発注が遅れ、開業日にホームページが完成していなかったというパターンです。

対策として、開業の3〜4ヶ月前には制作会社を決定し、発注します。内覧会の2週間前には公開できるスケジュールを組みます。

失敗パターン4:制作会社選びの失敗

歯科医院の実績がない制作会社に依頼し、的外れなデザイン・内容になってしまったというパターンです。

対策として、歯科医院のホームページ制作実績がある会社を選びます。複数の会社から見積もりを取り、比較検討します。

失敗パターン5:ランニングコストを考慮していない

制作費は予算内に収まったが、毎月の保守費用が高く、年間で予想以上のコストになったというパターンです。

対策として、制作費だけでなく、ランニングコストも含めて見積もりを取ります。5年間の総コストで比較します。

9. よくある質問

開業時のホームページ予算に関して、よくある質問に回答します。

ホームページは開業後でも間に合いますか?

可能ですが、お勧めしません。開業直後は認知度ゼロの状態からスタートするため、Web経由での集患は重要です。開業日にホームページがない状態では、内覧会の告知、開業後の検索流入といった機会を逃してしまいます。少なくとも開業日の2週間前、できれば1ヶ月前にはホームページを公開することをお勧めします。

自分で作ることはできますか?

Wixやジンドゥーなどのツールを使えば、自分でホームページを作ることは可能です。ただし、以下の点で専門会社に依頼する場合との差が出ます。デザインの質として、プロのデザイナーが作るものと比べると、素人感が出やすいです。SEO対策として、専門知識がないと、検索上位表示が難しくなります。時間として、開業準備で忙しい中、ホームページ制作に時間を割くのは大変です。自分で作る場合は、開業後に専門会社に依頼してリニューアルすることを前提にした方が良いでしょう。

制作会社はどう選べばいいですか?

制作会社を選ぶ際のポイントは以下の通りです。歯科医院の実績として、歯科医院のホームページ制作実績があるか、実績サイトを見せてもらいましょう。料金の明確さとして、見積もりが明確か、追加費用の発生条件は明確かを確認します。サポート体制として、制作後のサポート、更新対応はどうなっているかを確認します。コミュニケーションとして、こちらの要望を聞いてくれるか、提案力があるかを確認します。複数の会社から見積もりを取り、比較検討することをお勧めします。

ホームページ制作費用は経費になりますか?

ホームページ制作費用は、金額や内容によって経費処理の方法が異なります。10万円未満であれば、全額を経費として計上できることが一般的です。10万円以上20万円未満であれば、一括償却資産として3年で均等償却するか、少額減価償却資産として全額経費計上できる場合があります。20万円以上であれば、原則として資産計上し、耐用年数(通常5年)で減価償却します。詳細は税理士に確認することをお勧めします。

10. まとめ

開業資金の中でホームページ予算をどう組むべきか、ポイントをまとめます。

ホームページは開業時の重要な投資です。認知度ゼロからスタートする開業直後において、Web経由の集患は重要なチャネルです。

開業資金全体の中で、ホームページ費用は1〜2%程度ですが、その効果は何年も続く費用対効果の高い投資です。

予算の目安として、最低限のレベルで30万円〜50万円、標準的なレベルで50万円〜100万円、充実したレベルで100万円〜150万円程度を見込みます。

優先順位として、基本情報の充実、スマートフォン対応、写真の質、SEOの基本対策を優先し、凝ったデザインや大量のコンテンツは後回しにできます。

削るべきでない部分として、写真撮影、スマートフォン対応、基本的なSEO対策があります。これらを削ると、ホームページの効果が大きく下がります。

開業時と開業後の投資バランスを考え、開業時に全予算を使い切るのではなく、開業後の追加投資も見込んだ計画を立てましょう。

制作会社選びでは、歯科医院の実績、料金の明確さ、サポート体制を確認し、複数社を比較検討することをお勧めします。


株式会社リバティーフェローシップ/東京歯科経営ラボでは、開業を検討されている歯科医師の方に向けて、予算に応じたホームページ制作プランをご提案しています。「開業準備中でホームページを検討している」「予算内で最大限の効果を出したい」といったご相談も、お気軽にお寄せください。

投稿者プロフィール

NAOKI OZAWA
歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。

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