歯科衛生士が「働きたい」と思うホームページの特徴5選

 

目次
1. はじめに:求人難の時代、ホームページが採用を左右する
2. 歯科衛生士が就職先を探すときの行動パターン
3. 特徴①:スタッフの「リアルな声」が見える
4. 特徴②:教育体制・キャリアパスが明確
5. 特徴③:職場の雰囲気が写真で伝わる
6. 特徴④:給与・福利厚生が具体的に記載されている
7. 特徴⑤:院長の人柄と医院の理念が伝わる
8. 逆効果になるNGパターン
9. 採用ページと医院ホームページの関係
10. まとめ:求職者目線のホームページが採用を変える

 

1.はじめに:求人難の時代、ホームページが採用を左右する

「求人を出しても応募が来ない」「やっと採用できてもすぐ辞めてしまう」

歯科衛生士の採用に苦戦している院長先生は多いのではないでしょうか。厚生労働省の統計によれば、歯科衛生士の有効求人倍率は常に高水準で推移しており、完全な売り手市場が続いています。

こうした状況の中、採用活動において見落とされがちなのがホームページの役割です。求人媒体に掲載すれば応募が来ると思っている先生も多いですが、実は求職者の多くは応募前に医院のホームページを必ずチェックしています。

求人票だけでは伝わらない「医院の雰囲気」「働く人の様子」「院長の考え方」を、求職者はホームページから読み取ろうとしているのです。つまり、ホームページの作り込み次第で、応募数も採用の質も大きく変わります。

本記事では、歯科衛生士が「ここで働きたい」と思うホームページの特徴を5つに絞って解説します。

 

2.歯科衛生士が就職先を探すときの行動パターン

ホームページを改善する前に、歯科衛生士がどのように就職先を探しているのか、その行動パターンを理解しておきましょう。

求人情報との出会い方

歯科衛生士が求人情報を見つける主なルートは、求人媒体(グッピー、ジョブメドレー、デンタルハッピーなど)、ハローワーク、歯科衛生士専門学校の求人票、知人からの紹介、Google検索(「〇〇市 歯科衛生士 求人」など)といったものがあります。

どのルートで求人を知ったとしても、興味を持った求職者が次に取る行動は共通しています。医院名で検索し、ホームページを見に行くのです。

ホームページで何を見ているか

求職者がホームページで確認しているのは、主に以下のような点です。

医院の雰囲気として、院内写真、スタッフの様子、清潔感などを見ています。働く人の情報として、スタッフ紹介、先輩の声、人数構成などをチェックしています。院長について、院長の写真、経歴、考え方、人柄なども重要な確認ポイントです。待遇面では、給与、休日、福利厚生などの具体的な条件を見ています。そして教育体制として、研修制度、キャリアアップの機会、新人サポートなどを確認しています。

求人媒体には文字情報しか載っていないことが多いため、ホームページで「本当の姿」を確かめようとしているのです。ここで「良さそう」と思ってもらえれば応募につながり、「なんか違う」と思われれば離脱されます。

複数の医院を比較検討している

当然ながら、求職者は複数の医院を比較しています。A医院とB医院の求人条件が同程度だった場合、ホームページの印象が良い方に応募するのは自然な流れです。

「うちは給与も悪くないのに応募が来ない」という医院は、ホームページで競合に負けている可能性があります。

 

3.特徴①:スタッフの「リアルな声」が見える

歯科衛生士が最も知りたいのは、「実際に働いている人はどう感じているのか」というリアルな情報です。

なぜスタッフの声が重要なのか

求職者にとって、院長が語る「当院の魅力」は営業トークに聞こえがちです。しかし、実際に働いているスタッフの声は、同じ立場の先輩からの生の情報として信頼されます。

「入職前は不安だったけど、先輩が丁寧に教えてくれた」「子育てしながらでも働きやすい」「人間関係が良くて長く続いている」。こうしたスタッフの声は、求職者の不安を解消し、応募への後押しになります。

効果的なスタッフインタビューの内容

スタッフインタビューで盛り込むと効果的な項目があります。

入職のきっかけとして、なぜこの医院を選んだのかを語ってもらいます。実際に働いてみての感想も重要で、入職前のイメージとのギャップ、良かった点などを聞きます。一日の流れについて、具体的な業務内容やスケジュールを紹介してもらいます。職場の雰囲気として、人間関係やコミュニケーションの様子を伝えます。最後に、求職者へのメッセージとして、応募を検討している人への一言をもらいます。

インタビューには顔写真を添えることで、信頼性が格段に上がります。文章だけでなく、動画インタビューを掲載している医院も増えています。

注意点:作り込みすぎない

あまりにも完璧で美しい言葉が並んでいると、かえって「本当かな?」と疑われます。多少カジュアルな表現や、「最初は大変だったけど」といった正直な部分があった方が、リアリティが感じられます。

 

4.特徴②:教育体制・キャリアパスが明確

特に新卒や経験の浅い歯科衛生士にとって、教育体制は医院選びの重要な判断基準です。

求職者が抱える不安

新卒の歯科衛生士が最も不安に感じているのは、「ちゃんと教えてもらえるか」「いきなり難しいことをやらされないか」「わからないことを聞ける環境か」といった点です。

既卒であっても、ブランクがある方や、前職と診療スタイルが異なる医院に転職する方は、同様の不安を抱えています。

こうした不安に対して、「教育体制が整っています」という一言だけでは説得力がありません。具体的に何をどう教えるのかを示すことが大切です。

効果的な教育体制の見せ方

教育体制を伝える際は、具体性がポイントです。

研修期間の目安として、入職後3ヶ月間は先輩が必ずフォローにつく、といった期間を明示します。段階的なステップも重要で、最初の1ヶ月はアシスト中心、2ヶ月目からスケーリング、といった成長の流れを示します。マニュアルの有無についても、業務マニュアル完備、チェックリストで進捗管理、などを伝えます。担当制度として、プリセプター制度あり、困ったときの相談窓口、といった体制を紹介します。外部研修については、セミナー参加費補助、資格取得支援なども記載します。

経験レベル

求職者の関心事

HPで伝えるべき内容

新卒

ちゃんと教えてもらえるか

研修制度、先輩のサポート体制

経験浅め(1〜3年)

スキルアップできるか

段階的な業務内容、セミナー補助

経験者(5年以上)

自分の力を発揮できるか

任される業務範囲、キャリアパス

ブランクあり

復帰してついていけるか

復職支援、柔軟な働き方

キャリアパスの提示

長期的に働くイメージを持ってもらうために、キャリアパスを示すことも効果的です。「主任」「チーフ」「マネージャー」といった役職があること、勤続年数や役割に応じた待遇アップがあること、専門分野を深めるキャリア(予防専門、訪問歯科など)の選択肢があることなどを伝えられると、「この医院で成長していける」というビジョンを持ってもらえます。

 

5.特徴③:職場の雰囲気が写真で伝わる

「どんな雰囲気の職場か」は、求職者が最も気にするポイントの一つです。そして、雰囲気を伝える最も効果的な手段が写真です。

言葉より写真が雄弁に語る

「アットホームな職場です」「スタッフ同士仲が良いです」という言葉は、どの医院でも書けてしまいます。しかし、スタッフ同士が笑顔で話している写真、楽しそうなミーティング風景、和やかな休憩時間の様子があれば、言葉以上に雰囲気が伝わります。

逆に、写真が少ない、あっても硬い表情のスタッフ写真しかないという状態では、「本当に雰囲気いいのかな?」と疑念を持たれます。

採用ページで使いたい写真

以下のような写真を用意すると、職場の雰囲気が効果的に伝わります。

スタッフ集合写真は全員が笑顔で写っているものが理想です。診療中の様子として、歯科衛生士が患者さんに説明している場面などが効果的です。ミーティング風景では、朝礼やスタッフ会議など、コミュニケーションの様子を伝えます。休憩時間の様子として、スタッフルームでの自然な会話シーンなどがあると親近感が湧きます。イベント写真では、忘年会、歓迎会、院内イベントなどの楽しげな様子を掲載します。

写真撮影のポイント

雰囲気を伝える写真を撮るコツがいくつかあります。

自然な表情を撮ることが重要です。「撮りますよ」と構えた写真より、日常の一コマを切り取った写真の方がリアリティがあります。明るい照明を意識しましょう。暗い写真は雰囲気も暗く見えます。自然光が入る場所や、照明を足して撮影しましょう。定期的に更新することも大切です。古い写真ばかりだと、今のスタッフと違う印象を与えてしまいます。新しいスタッフが入ったら撮り直す習慣をつけましょう。

 

6.特徴④:給与・福利厚生が具体的に記載されている

待遇面の情報は、求職者にとって必ず確認したい項目です。曖昧な記載は不信感につながります。

「当院規定による」はNG

求人情報でよく見かける「給与:当院規定による」「賞与:あり」といった曖昧な表記。求職者からすれば、「結局いくらもらえるの?」「賞与って何ヶ月分?」という疑問が残ります。

他の医院が具体的な金額を出している中で、曖昧な表記をしている医院は比較対象から外されがちです。「隠しているということは、条件が悪いのでは」と邪推されることもあります。

具体的に記載すべき項目

待遇面で具体的に記載すべき項目は多岐にわたります。

給与については、月給○○万円〜○○万円(経験により優遇)のように幅を持たせても構わないので、具体的な数字を出しましょう。給与モデルとして、新卒の場合、経験3年の場合、経験5年の場合、といった目安を示すとイメージしやすくなります。

賞与は、年2回(実績:計○ヶ月分)のように、具体的な支給実績を記載します。昇給についても、年1回(実績:月○○○○円〜○○○○円アップ)のように示します。

勤務時間は、9:00〜18:00(休憩60分)、残業月平均○時間、と具体的に書きます。休日は年間休日○○○日、週休2日制(日・祝+平日1日)など、年間休日数を明記します。

福利厚生については、社会保険完備、交通費支給(上限○万円)、制服貸与、研修費補助、有給休暇(初年度○日)など、該当する項目をすべて記載します。

他院との比較を意識する

求職者は必ず複数の医院を比較しています。自院の条件が相場と比べてどうなのかを把握した上で、強みがあればしっかりアピールしましょう。

給与額では勝てなくても、「残業ほぼなし」「有給消化率100%」「産休育休実績あり」といった働きやすさで差別化できる場合もあります。

 

7.特徴⑤:院長の人柄と医院の理念が伝わる

最終的に「この医院で働きたい」と思う決め手は、院長の人柄であることが少なくありません。

院長は最大の判断材料

歯科医院は、良くも悪くも院長のカラーが色濃く出る職場です。院長がどんな人か、どんな考えで医院を運営しているのかは、求職者にとって非常に重要な情報です。

「技術を高めたい」と思っている求職者は、院長の専門性や診療への姿勢を見ています。「人間関係の良い職場で働きたい」と思っている求職者は、院長の人柄やスタッフへの接し方を見ています。

院長メッセージの書き方

採用ページには、求職者向けの院長メッセージを掲載しましょう。以下のような内容を盛り込むと効果的です。

医院の理念・診療方針として、何を大切にして診療しているか、患者さんにどう向き合っているかを伝えます。スタッフへの想いとして、どんなチームを作りたいか、スタッフにどう成長してほしいかを語ります。職場環境へのこだわりとして、働きやすさのために何を工夫しているかを紹介します。求職者へのメッセージとして、どんな人と一緒に働きたいか、応募を検討している人への言葉を述べます。

単なる挨拶文ではなく、院長の言葉で、想いを込めて書くことが大切です。形式的な文章では人柄は伝わりません。

院長写真の重要性

院長メッセージには、必ず写真を添えましょう。笑顔の写真があると、「話しやすそう」「怖くなさそう」という印象を与えられます。

硬い表情の証明写真のような画像だと、逆効果になることもあります。院長写真の撮り方については、本ブログの別記事「歯科医院のプロフィール写真で第一印象が決まる!院長写真撮影の極意」も参考にしてください。

 

8.逆効果になるNGパターン

良かれと思ってやっていることが、実は逆効果になっているケースもあります。注意すべきNGパターンを紹介します。

NG①:精神論・根性論が前面に出ている

「やる気のある方歓迎」「成長意欲の高い方求む」といった表現自体は問題ありませんが、「厳しい環境で自分を高めたい方」「プライベートより仕事優先で頑張れる方」のような表現は、ブラック企業を連想させます。

求職者は「やりがい搾取」に敏感です。熱意や成長を求めるにしても、教育体制や働きやすさとセットで伝えましょう。

NG②:情報が古いまま放置されている

採用ページの情報が何年も更新されていない、掲載されているスタッフがすでに退職している、といった状態は信頼を損ねます。

「この医院、ちゃんと運営されているのかな」「人が定着しないのでは」と不安に思われます。最低でも年に1回は採用ページの情報を見直しましょう。

NG③:条件面の情報がほとんどない

「詳細は面接時にお伝えします」「お気軽にお問い合わせください」ばかりでは、求職者は比較検討すらできません。

忙しい求職者は、ホームページを見て条件が合わなければ次に行きます。わざわざ問い合わせてまで確認しようとは思いません。

NG④:採用ページが見つからない

医院ホームページのどこを見ても採用情報がない、あってもトップページから何クリックもしないとたどり着けない、というケースがあります。

求職者は限られた時間で複数の医院を見ています。採用情報にすぐたどり着けないと、それだけで離脱されます。トップページのメニューに「採用情報」を入れておきましょう。

 

9.採用ページと医院ホームページの関係

採用ページは、医院のホームページの一部として作る方法と、独立した採用サイトを作る方法があります。それぞれのメリットを整理します。

医院HPの中に採用ページを作る場合

多くの医院はこの形式です。メリットとしては、制作・運用コストが抑えられること、医院全体の雰囲気が同時に伝わること、患者向けコンテンツも見てもらえることが挙げられます。

小規模〜中規模の医院であれば、この形式で十分です。採用ページの内容を充実させることで、応募数は改善できます。

独立した採用サイトを作る場合

分院展開している医院や、大量採用を行う医院では、医院HPとは別に採用専門サイトを作る場合があります。メリットとしては、求職者向けの情報に特化できること、SEOで「〇〇市 歯科衛生士 求人」を狙いやすいこと、採用ブランディングを独自に展開できることがあります。

採用に力を入れたい、年間を通じて常に募集している、という医院では検討の価値があります。

どちらの場合も重要なこと

どちらの形式であっても、以下の点は共通して重要です。

求職者が求めている情報を網羅すること、定期的に情報を更新すること、応募導線をわかりやすくすることの3点です。採用ページの内容が充実していても、応募フォームや連絡先がわかりにくければ機会損失になります。

 

10.まとめ:求職者目線のホームページが採用を変える

歯科衛生士が「働きたい」と思うホームページの特徴を5つ紹介しました。

まず、スタッフの「リアルな声」が見えることです。実際に働いている先輩の声は、求職者にとって最も信頼できる情報源です。インタビューや体験談を掲載しましょう。

次に、教育体制・キャリアパスが明確であることです。特に新卒や経験の浅い方は、「ちゃんと教えてもらえるか」を重視しています。具体的な研修内容やステップを示しましょう。

職場の雰囲気が写真で伝わることも重要です。言葉だけでなく、スタッフの笑顔や日常風景の写真があると、雰囲気がリアルに伝わります。

給与・福利厚生が具体的に記載されていることも必須です。曖昧な表記は不信感につながります。可能な限り具体的な数字を出しましょう。

そして、院長の人柄と医院の理念が伝わることです。最終的な決め手は院長の人柄であることも少なくありません。想いのこもったメッセージと、笑顔の写真を掲載しましょう。

採用難の時代、ホームページは「応募を待つ」ためのツールではなく、「選ばれるため」のツールです。求職者目線でホームページを見直し、他院との差別化を図りましょう。


東京歯科経営ラボでは、採用に強いホームページ制作をご支援しています。「応募が来ない」「採用ページをどう作ればいいかわからない」という先生は、お気軽にご相談ください。

投稿者プロフィール

NAOKI OZAWA
歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。

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