口腔機能低下症の算定件数アップ!検査説明ツールの戦略的活用法

 

目次
1. 口腔機能低下症算定が医院経営にもたらすメリット
2. なぜ多くの医院で算定件数が伸び悩むのか
3. 患者様に分かりやすく伝える検査説明ツールの作り方
4. ホームページで口腔機能低下症の認知を広げる方法
5. 高齢患者様への効果的なアプローチと声かけ術
6. 検査から管理までのスムーズな導線設計
7. まとめ

 

1. 口腔機能低下症算定が医院経営にもたらすメリット

2018年に保険収載された「口腔機能低下症」は、高齢患者様の口腔機能を総合的に評価し、管理指導を行うことで算定できる項目です。この算定を積極的に活用することで、医院経営に複数のメリットがもたらされます。

第一のメリットは、安定的な収益の確保です。口腔機能低下症の検査は初回で約3000円、管理料は月1回100点(1000円)の算定が可能です。仮に月間50人の高齢患者様に管理を行えば、月額5万円、年間60万円の増収となります。さらに検査時の算定を含めると、年間100万円以上の増収も十分に見込めます。

第二のメリットは、患者様の定期来院を促進できることです。口腔機能低下症の管理には、継続的な検査と指導が必要であり、患者様との接触頻度が自然に増えます。これにより、他の治療や予防処置の機会も増え、トータルでの売上向上につながります。

第三のメリットは、予防歯科・健康管理型の医院としてのブランディングです。単なる治療だけでなく、患者様の全身の健康を見据えた口腔管理を行うことで、医院の専門性と信頼性が高まります。特に高齢化が進む地域では、こうした付加価値が患者様の選択基準となります。

第四のメリットは、歯科衛生士のモチベーション向上です。口腔機能低下症の検査や管理は、歯科衛生士が中心となって行う業務であり、専門性を発揮できる場となります。やりがいのある業務が増えることで、スタッフの定着率向上にもつながります。

 

2.なぜ多くの医院で算定件数が伸び悩むのか

口腔機能低下症の算定は、制度としては魅力的ですが、実際には多くの医院で件数が伸び悩んでいます。その主な理由と、それに対する解決策を理解することが成功への第一歩です。

理由1:患者様が口腔機能低下症を知らない

最大の障壁は、患者様自身が口腔機能低下症という概念を知らないことです。「食べ物が飲み込みにくくなった」「舌が動かしにくい」といった自覚症状があっても、それが治療や管理の対象であることを認識していません。医院側から積極的に情報提供しない限り、患者様から「検査してほしい」と言われることはほぼありません。

理由2:検査の必要性を説明する時間が足りない

診療中に口腔機能低下症について説明し、検査を提案する時間を確保するのは容易ではありません。忙しい診療の合間に、初めて聞く概念を理解していただき、検査に同意してもらうには、相当な説明スキルと時間が必要です。

理由3:検査説明が難しい

口腔機能低下症の診断には、7つの検査項目(口腔衛生状態不良、口腔乾燥、咬合力低下、舌口唇運動機能低下、低舌圧、咀嚼機能低下、嚥下機能低下)があり、そのうち3つ以上該当すると診断されます。この複雑な内容を、高齢の患者様に分かりやすく説明するのは困難です。

理由4:スタッフの理解が不足している

院長は口腔機能低下症について理解していても、スタッフ全員が同じレベルで理解し、患者様に説明できるとは限りません。受付や歯科衛生士が制度を十分に理解していなければ、患者様への適切な案内ができません。

これらの課題を解決するのが、「検査説明ツール」の戦略的活用です。ツールを使うことで、説明時間を短縮しながら、患者様の理解度を高め、算定件数を大幅に増やすことができます。

 

3.患者様に分かりやすく伝える検査説明ツールの作り方

検査説明ツールは、口腔機能低下症の概念と検査内容を視覚的に分かりやすく伝えるための資料です。効果的なツールの作り方をご紹介します。

ツール1:A4サイズの説明リーフレット

最も基本的で効果的なツールが、A4サイズ1枚の説明リーフレットです。表面には「こんな症状ありませんか?」というチェックリスト形式で、「食べこぼしが増えた」「むせることが多くなった」「滑舌が悪くなった」など、患者様が自覚しやすい症状を列挙します。

裏面には、口腔機能低下症とは何か、7つの検査項目の簡単な説明、検査の流れ、費用を記載します。専門用語は避け、「お口の働きが弱くなっていないかを調べる検査です」といった平易な表現を使います。

このリーフレットを待合室に配置するだけでなく、該当しそうな患者様には会計時に手渡すことで、自宅でゆっくり読んで検討していただけます。

ツール2:診療室用の大判ポスター

診療室内の患者様の目に入る位置に、B2サイズ程度のポスターを掲示します。ポスターには、口腔機能が低下すると起こりうるリスク(誤嚥性肺炎、低栄養、筋力低下など)を図解し、「予防と改善が可能です」というポジティブなメッセージを添えます。

待ち時間や診療中に自然と目に入るため、患者様の意識に刷り込まれ、「私も検査を受けてみようかな」という動機付けにつながります。

ツール3:タブレット用の動画コンテンツ

3分程度の説明動画を作成し、タブレット端末で患者様に見ていただきます。動画では、口腔機能低下症がどういうものか、なぜ早期発見が重要か、どんな検査をするか、検査結果に基づいてどんな管理を行うかを、イラストやアニメーションを使って分かりやすく解説します。

動画は視覚と聴覚の両方に訴えかけるため、文字だけの説明よりも理解度が格段に向上します。特に高齢の患者様は、小さな文字を読むのが大変なため、動画での説明が非常に効果的です。

ツール4:検査結果を示すレポートシート

検査実施後には、7つの項目それぞれの結果をグラフや図で示すレポートシートを作成します。「あなたの口腔機能年齢は○歳相当です」「7項目中○項目で機能低下が見られました」といった具体的な情報を視覚化することで、患者様は自分の状態を客観的に理解できます。

このレポートシートがあることで、管理の必要性が明確になり、継続的な来院のモチベーションにもつながります。

 

4.ホームページで口腔機能低下症の認知を広げる方法

来院前の段階で、患者様やその家族に口腔機能低下症について知ってもらうことも重要です。ホームページでの情報発信が、算定件数増加に大きく貢献します。

専用ページの設置

ホームページ内に「口腔機能低下症について」という専用ページを作成します。ページの冒頭では、「最近、こんなことありませんか?」というチェックリストを配置し、訪問者に自分ごととして考えてもらいます。

その後、口腔機能低下症とは何か、7つの検査項目の説明、検査の流れ、費用(保険適用で約3000円)、管理の内容を詳しく解説します。専門用語は避け、「お口の元気度チェック」といった親しみやすい表現も併用します。

セルフチェックツールの提供

ホームページ上で、簡易的なセルフチェックができるツールを設置します。10問程度の質問に答えると、「口腔機能が低下している可能性があります。一度検査を受けることをおすすめします」といった結果が表示される仕組みです。

このツールにより、潜在的に口腔機能低下症の可能性がある方が、自ら気づき、来院のきっかけになります。検査結果の最後には「詳しくは当院にご相談ください」という予約ボタンを配置し、スムーズに問い合わせにつなげます。

ブログでの定期的な情報発信

「高齢になると起こる口腔機能の変化」「誤嚥性肺炎を予防する口腔ケア」「舌の筋力を鍛えるトレーニング法」など、口腔機能に関連するテーマでブログ記事を定期的に投稿します。これにより、検索エンジンからの流入が増え、医院の専門性もアピールできます。

ブログ記事の最後には、必ず「当院では口腔機能低下症の検査・管理を行っています」という案内を入れ、専用ページへのリンクを設置します。

家族向けの情報提供

高齢の患者様本人がホームページを見る機会は少ないため、その子供世代に向けた情報発信も有効です。「ご両親の口腔機能、大丈夫ですか?」「離れて暮らすご家族の健康チェックに」といったメッセージで、家族からの相談を促します。

家族が情報を得て、「お父さん、こういう検査があるみたいだよ」と勧めることで、来院につながるケースが増えます。

 

5.高齢患者様への効果的なアプローチと声かけ術

口腔機能低下症の対象となる高齢患者様に、どのように声をかけ、検査を提案するかが、算定件数を左右します。効果的なアプローチ方法をご紹介します。

タイミング1:定期検診時の声かけ

定期検診で来院された65歳以上の患者様には、検診後に「お口の元気度チェックという検査があるのですが、ご存知ですか?」と声をかけます。いきなり「口腔機能低下症の検査」と言うと難しく聞こえるため、親しみやすい表現を使うことがポイントです。

続けて、「噛む力や飲み込む力を測る簡単な検査で、保険が適用されます」と説明し、リーフレットを手渡します。その場で決断を求めず、「興味があれば次回お声がけください」と柔らかく提案します。

タイミング2:義歯調整時の提案

義歯の調整に来られた患者様は、既に噛む力の低下を自覚しています。このタイミングで、「義歯を新しくするだけでなく、お口全体の機能もチェックしませんか?」と提案すると、受け入れられやすくなります。

義歯治療と口腔機能低下症の管理を組み合わせることで、トータルでの口腔機能改善を目指せることを説明します。

タイミング3:家族同伴時の説明

高齢の患者様が家族と一緒に来院された際は、絶好のチャンスです。家族に対して「お父様の飲み込む力や舌の動きを検査できます。誤嚥性肺炎の予防にもつながります」と説明することで、家族が重要性を理解し、検査を勧めてくれます。

家族からの後押しがあると、患者様本人も前向きに検査を受け入れる傾向があります。

声かけのポイント:不安を煽らず前向きに

「このままだと危ない」「機能が落ちている」といったネガティブな表現は避けます。代わりに、「今のうちから予防しましょう」「元気なお口を維持しましょう」というポジティブなメッセージで、前向きな気持ちになっていただきます。

また、「検査は痛くありません」「5分から10分で終わります」という安心情報も必ず伝えます。高齢の方は、未知の検査に対して不安を感じやすいため、丁寧な説明が信頼につながります。

 

6.検査から管理までのスムーズな導線設計

検査を実施した後、継続的な管理につなげることで、算定件数が安定的に増加します。スムーズな導線設計のポイントをご紹介します。

検査当日の流れ

検査は、できるだけ当日または次回来院時に実施します。「また今度」と先延ばしにすると、そのまま忘れられてしまう可能性があります。検査自体は15分から20分程度で完了するため、予約枠に余裕があれば当日実施を提案します。

検査は歯科衛生士が中心となって行い、7つの項目を順番にチェックします。検査中も、「今、舌の力を測っていますよ」「噛む力はこれくらいですね」と声をかけながら進めることで、患者様の理解と関心が高まります。

結果説明と管理計画の提示

検査終了後、その場で結果を説明します。レポートシートを使い、「7項目中3項目で機能低下が見られました」「あなたの口腔機能年齢は実年齢より5歳高い状態です」といった具体的な情報を伝えます。

その上で、「これから3ヶ月間、月1回の管理とトレーニングで改善を目指しましょう」と管理計画を提案します。トレーニング内容(舌の体操、咀嚼訓練など)も具体的に示し、「ご自宅でもできる簡単な方法です」と安心してもらいます。

次回予約の確保

管理計画に同意いただいたら、その場で次回の予約を取得します。「月1回、同じ曜日の同じ時間でご予約を取りましょうか」と提案し、3ヶ月分の予約を一度に確保することで、継続的な来院が確実になります。

予約票には「口腔機能管理」と明記し、普通の検診と区別します。これにより、患者様も「次は口腔機能のチェック日だ」と認識しやすくなります。

管理中のフォローアップ

管理期間中は、毎回簡易的な検査を行い、改善度合いを確認します。「前回より舌圧が上がっていますね」「噛む力が改善しています」といったポジティブなフィードバックを伝えることで、患者様のモチベーションが維持されます。

3ヶ月後には再度フル検査を実施し、改善状況を総合的に評価します。改善が見られた場合は患者様に喜んでいただけますし、まだ改善の余地がある場合は、さらに3ヶ月の継続管理を提案します。

 

7.まとめ

口腔機能低下症の算定は、高齢化社会における歯科医院の重要な収益源であり、患者様の健康維持にも大きく貢献します。しかし、患者様の認知不足、説明の難しさ、スタッフの理解不足といった課題により、多くの医院で算定件数が伸び悩んでいます。

これらの課題を解決する鍵が、「検査説明ツール」の戦略的活用です。リーフレット、ポスター、動画、レポートシートといった視覚的なツールを使うことで、短時間で患者様の理解度を高め、検査への同意率を大幅に向上させることができます。

さらに、ホームページでの情報発信により、来院前の段階で口腔機能低下症の認知を広げることも重要です。専用ページの設置、セルフチェックツールの提供、ブログでの継続的な情報発信により、検索エンジンからの流入と問い合わせが増加します。

高齢患者様へのアプローチでは、定期検診時や義歯調整時などタイミングを見計らった声かけと、不安を煽らないポジティブなメッセージが効果的です。検査実施後は、レポートシートで結果を視覚化し、具体的な管理計画を提示することで、継続的な来院につなげます。

月間50人の管理で年間60万円以上の増収が見込める口腔機能低下症の算定は、医院経営を安定させる重要な施策です。今日から検査説明ツールを整備し、スタッフ全員で患者様へのアプローチを強化してください。患者様の健康を守りながら、医院の成長も実現する、理想的な医療提供が可能になります。

 


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投稿者プロフィール

NAOKI OZAWA
歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。

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