承継開業で成功!前院長の患者を引き継ぎながら新患を増やしたホームページ戦略
歯科医院の承継開業は、ゼロからのスタートに比べて既存患者や設備を引き継げるメリットがある一方で、「前院長のファンだった患者さんが離れてしまう」「新しい院長として認知されない」といった課題も抱えています。
特にホームページ戦略を誤ると、既存患者の離脱を招きながら新患獲得にも失敗するという最悪の結果になりかねません。しかし、適切な戦略を立てれば、既存患者の信頼を維持しながら新患を大幅に増やすことも可能です。
本記事では、承継開業において既存患者を守りつつ新患を増やすためのホームページ戦略について、具体的な方法を解説します。承継開業を検討中の先生、すでに承継して患者数に悩んでいる先生は、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 承継開業におけるホームページの重要性
2. 既存患者が離れる3つの理由とホームページでの対策
3. 新患を増やすための承継開業ならではの強み
4. 段階的なホームページ戦略の実践方法
5. 承継開業成功事例に学ぶホームページ活用術
6. よくある失敗パターンと回避方法
7. まとめ
1. 承継開業におけるホームページの重要性

承継開業特有の課題
承継開業では、新規開業とは異なる特有の課題があります。既存患者は「前の先生」に慣れ親しんでおり、新院長に対して不安や警戒心を持つことが少なくありません。一方で、地域の新規患者候補者には「古い歯科医院」というイメージが定着している可能性もあります。
この両方のニーズに応えることが、承継開業成功の鍵となります。
ホームページが果たす役割
承継開業において、ホームページは以下の重要な役割を果たします。
既存患者に対して:
- 新院長の人柄や治療方針を伝え、安心感を提供する
- 引き継がれる診療内容と変更点を明確に説明する
- 前院長との連続性を示し、信頼関係を維持する
新患候補者に対して:
- 新しい設備や治療メニューをアピールする
- 若い院長ならではの強みを打ち出す
- 新しい医院としてのブランディングを確立する
適切なホームページ戦略があれば、この相反するニーズを同時に満たすことができます。
2. 既存患者が離れる3つの理由とホームページでの対策

理由①:新院長への不安
既存患者、特に高齢の患者さんは変化を好まない傾向があります。「新しい先生で大丈夫だろうか」「治療方針が変わるのでは」という不安を抱えています。
ホームページでの対策:
新院長の詳しいプロフィールページを作成し、以下の情報を丁寧に掲載しましょう。
- 経歴・専門分野・得意な治療
- 歯科医師を志した理由や治療に対する想い
- 前院長との引き継ぎ期間や研修の様子
- 家族構成や趣味など、人柄が伝わる情報
- 笑顔の写真を複数掲載(白衣姿だけでなく、親しみやすい雰囲気も)
さらに、前院長からのメッセージや推薦文を掲載することで、「前の先生が認めた後継者」という安心感を与えられます。
理由②:情報不足による不安
承継後に何が変わり、何が変わらないのか分からないと、患者さんは不安を感じます。
ホームページでの対策:
「承継のご挨拶」または「患者さまへのお知らせ」というページを設け、以下の情報を明確に伝えましょう。
- 変わらないもの:診療時間、診療科目、保険診療の継続、スタッフ体制など
- 新しく加わるもの:新しい設備、追加の診療メニュー、予約システムなど
- 引き継がれる治療方針:「患者さま一人ひとりに寄り添う診療」など
- カルテや治療履歴の引き継ぎ:治療の継続性が保たれることを明記
透明性の高い情報開示が、患者さんの不安を解消します。
理由③:医院の雰囲気の激変
承継と同時に大規模なリニューアルを行うと、患者さんは「自分の通っていた医院ではなくなった」と感じることがあります。
ホームページでの対策:
リニューアルを行う場合は、ホームページ上で段階的な変化を伝えましょう。
- 「院内リニューアルのお知らせ」ページを作成
- ビフォー・アフターの写真を掲載
- 「患者さまにより快適に過ごしていただくために」といった目的を説明
- スタッフや診療方針など、変わらない部分も強調
ホームページのデザインも、前院のイメージを残しつつ徐々に刷新していく方法が効果的です。
3. 新患を増やすための承継開業ならではの強み

強み①:実績と信頼の継承
長年地域に根差してきた歯科医院を引き継ぐことは、大きなアドバンテージです。
ホームページでの活用方法:
- 「〇〇年の歴史」「地域の皆さまに支えられて〇〇年」といった実績をアピール
- 前院長時代からの地域貢献活動や特徴的な取り組みを紹介
- 患者さんの声(承継前からの長期通院患者のコメント)を掲載
- Googleマップのレビューや口コミを活用
新規開業では得られない「歴史と信頼」を前面に打ち出すことで、新患候補者に安心感を与えられます。
強み②:若い院長の新しい視点
承継する院長が比較的若い場合、これを強みとして活用できます。
ホームページでの活用方法:
- 最新の治療技術や設備の導入を強調
- デジタル予約システムやオンライン診療など、新しいサービスの導入
- SNS連携やLINE予約など、若い世代が好む利便性の提供
- 「伝統と革新の融合」というブランディング
「長年の信頼」と「新しい取り組み」の両方をアピールすることで、幅広い年齢層にアプローチできます。
強み③:設備投資の余力
承継開業では初期投資を抑えられる分、設備投資に予算を回せます。
ホームページでの活用方法:
- 新規導入設備の詳細ページを作成(CTスキャン、マイクロスコープなど)
- 設備導入のビフォー・アフター比較
- 「最新設備で実現できる治療」の具体例を紹介
- 設備投資への想いやこだわりを院長コラムで発信
設備の充実は、特に自費診療を検討している新患の獲得に効果的です。
4. 段階的なホームページ戦略の実践方法

フェーズ1:承継直後(開業〜3ヶ月)
目的:既存患者の離脱防止
この時期は既存患者の信頼維持を最優先します。
- トップページに「院長交代のご挨拶」を目立つ位置に配置
- 前院長からのメッセージを掲載
- 新院長の詳細プロフィールページを作成
- 診療時間や診療内容など、基本情報の継続性を強調
- ホームページデザインは前院のイメージを大きく変えない
フェーズ2:安定期(4ヶ月〜1年)
目的:既存患者の定着と緩やかな新患獲得
既存患者が新院長に慣れてきたら、徐々に新しい要素を加えていきます。
- 新しい治療メニューや設備の紹介ページを追加
- 症例ブログや治療実績の発信開始
- SEO対策の強化(地域名+診療科目のキーワード最適化)
- Googleマイビジネスの情報更新と口コミ促進
- スタッフ紹介ページの充実
フェーズ3:成長期(1年〜3年)
目的:新患の本格的な獲得
医院の基盤が固まったら、積極的な新患獲得施策を展開します。
- ホームページの全面リニューアル(必要に応じて)
- コンテンツマーケティングの強化(ブログ、動画、SNS)
- 自費診療特設ページの作成(インプラント、矯正、審美歯科など)
- Web広告の活用(Google広告、SNS広告)
- 患者さまの声や症例写真の充実
- 予約システムの最適化
フェーズ4:確立期(3年以降)
目的:ブランディングの確立と差別化
医院独自の強みを確立し、競合との差別化を図ります。
- 専門性の高いコンテンツの発信(院長の専門分野)
- 地域密着型の情報発信(地域イベント参加、健康セミナーなど)
- 患者教育コンテンツの充実(予防歯科、オーラルケアなど)
- メディア掲載実績の紹介
- 新しい価値提供(訪問診療、夜間診療など)
5. 承継開業成功事例に学ぶホームページ活用術

事例①:70代院長から30代院長への承継
課題: 高齢の既存患者が多く、新院長への不信感が強い
ホームページ戦略:
- 前院長との2ショット写真を多数掲載
- 「前院長の治療方針を受け継ぎます」というメッセージを明確に
- 院内の雰囲気は大きく変えず、診療機器のみ段階的に更新
- 既存患者向けの「安心の継続」と新患向けの「最新治療」のページを分けて作成
結果: 承継後6ヶ月で既存患者の90%以上が継続来院。1年後には新患数が月30名増加。
事例②:都市部の審美歯科重視医院の承継
課題: 前院長が審美歯科に特化していたため、一般歯科のイメージが弱い
ホームページ戦略:
- 審美歯科の実績は維持しつつ、一般歯科・予防歯科のコンテンツを大幅拡充
- 「家族みんなで通える歯科医院」というコンセプトを新たに打ち出し
- 小児歯科の設備投資とコンテンツ強化
- ファミリー層をターゲットにしたSEO対策
結果: 審美歯科患者を維持しながら、ファミリー層の新患が月20組増加。患者層の多様化に成功。
事例③:地方の高齢化地域での承継
課題: 地域全体の人口減少と高齢化で新患獲得が困難
ホームページ戦略:
- 訪問診療の充実を前面にアピール
- 高齢者でも使いやすいシンプルなデザイン
- 電話予約を優先し、Webフォームは簡素化
- 家族向けの情報発信(遠方に住む子世代が親の通院先を探すケースに対応)
- 地域の介護施設との連携実績を掲載
結果: 訪問診療の依頼が月10件増加。遠方に住む患者の家族からの問い合わせも増え、紹介患者が安定的に確保できるように。
6.よくある失敗パターンと回避方法
失敗パターン①:承継直後の急激な変更
承継と同時に医院名変更、全面リニューアル、診療方針の大転換を行うと、既存患者が大量離脱します。
回避方法: 変更は段階的に。最低でも6ヶ月〜1年は現状維持を基本とし、患者さんの反応を見ながら徐々に変更していきましょう。
失敗パターン②:前院長の存在を消す
「新しい医院」を強調するあまり、前院長の実績や貢献を一切触れないホームページにしてしまうと、既存患者は愛着を失います。
回避方法: 「〇〇先生の想いを受け継ぎ」「〇〇年の歴史を大切に」といった表現で、前院長へのリスペクトと継続性を示しましょう。
失敗パターン③:新患獲得施策の開始が早すぎる
承継直後から積極的な広告やSEO対策を始めると、既存患者対応が疎かになり、基盤が崩れます。
回避方法: 最初の3〜6ヶ月は既存患者の定着に注力。新患施策は医院運営が安定してから本格化させましょう。
失敗パターン④:ターゲットの不明確化
既存患者層と新規獲得したい患者層が異なるのに、中途半端なメッセージで両方を逃してしまうケースです。
回避方法: ページごとにターゲットを明確化。既存患者向けページと新患向けページを分けて設計し、それぞれに最適化したメッセージを発信しましょう。
失敗パターン⑤:スタッフの不安を放置
ホームページは変更したのに、スタッフが新しい方針を理解していないと、患者さんに一貫したメッセージが伝わりません。
回避方法: ホームページ更新時は必ずスタッフにも共有し、院内研修を実施。全員が同じ方向を向くことが重要です。
7.まとめ
承継開業において、ホームページは既存患者の維持と新患獲得という2つの目的を同時に達成するための重要なツールです。成功のポイントは以下の通りです。
既存患者維持のポイント
- 新院長の人柄と治療方針を丁寧に伝える
- 前院長との連続性を明確に示す
- 変更点と変わらない点を透明性高く説明する
- 段階的な変更で患者さんの不安を最小化する
新患獲得のポイント
- 承継開業ならではの強み(歴史と信頼+新しい取り組み)を活用する
- 新しい設備や治療メニューを効果的にアピールする
- SEO対策とコンテンツマーケティングで認知度を高める
- ターゲット別にページを最適化する
戦略実行のポイント
- フェーズごとに優先順位を明確にする
- データを見ながら継続的に改善する
- スタッフ全員で一貫したメッセージを発信する
- 焦らず、医院の成長段階に合わせた施策を展開する
承継開業は、新規開業にはない「既存患者」という貴重な資産からスタートできる大きなメリットがあります。この資産を守りながら、新しい価値を加えていくことで、地域に愛され続ける歯科医院を築くことができます。
ホームページ戦略は、承継開業成功の鍵を握る重要な要素です。既存患者さんへの配慮を忘れず、かつ新患獲得にも積極的に取り組むバランスの取れた戦略で、承継開業を成功に導きましょう。
株式会社リバティーフェローシップでは、歯科医院の承継開業に特化したホームページ制作と経営コンサルティングを提供しています。既存患者の維持と新患獲得を両立させる戦略設計から、具体的な実行支援まで、承継開業を成功に導くためのトータルサポートをいたします。承継開業でお悩みの院長先生は、ぜひお気軽にご相談ください。
投稿者プロフィール
-
歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。
最新の投稿
診療科目・専門特化2025年12月3日インプラント専門サイトvs総合サイト内ページ、どちらが集患に効果的?
その他2025年12月2日【無料診断】あなたの歯科医院ホームページは医療広告ガイドラインに適合している?
競合分析2025年12月1日近隣歯科医院のホームページを合法的に分析する方法【競合調査入門】
開業・承継・分院2025年11月30日開業前から始めるホームページ戦略!オープン初月から新患を獲得する準備
ホームページ制作のご相談・資料請求はこちら
現在運用中のホームページのセカンドオピニオンや、開業時のご相談も柔軟にうけたまわります。先生がお手すきのときに、お電話でご連絡をいただくのも大歓迎です。
