月額制 vs 買い切り型、歯科医院にとってお得なホームページ契約形態は?

 

目次
1. 月額制と買い切り型の基本的な違い
2. 月額制のメリット・デメリット徹底比較
3. 買い切り型のメリット・デメリット徹底比較 5年間の総額シミュレーション比較
4. あなたの医院に最適な契約形態の選び方
5. まとめ

 

1. 月額制と買い切り型の基本的な違い

ホームページ制作の契約形態には、大きく分けて「月額制」と「買い切り型」の2種類があります。それぞれの特徴を正しく理解することが、賢い選択の第一歩です。

月額制とは

月額制は、初期費用を抑える代わりに、毎月一定額を支払い続ける契約形態です。「初期費用5万円、月額9800円」といった形で提供されることが多く、スマートフォンの分割払いに似た仕組みです。

月額費用には、サーバー代、ドメイン代、保守管理費、更新作業費などが含まれているケースが一般的です。ただし、何がどこまで含まれるかは制作会社によって大きく異なります。

買い切り型とは

買い切り型は、初期費用として制作費を一括で支払い、その後は最小限の維持費のみで運用する契約形態です。「制作費50万円、年間維持費3万円」といった形が一般的です。

制作費を支払えば、ホームページのデータや著作権は基本的に医院に帰属し、他社への移転も自由です。維持費はドメイン・サーバー代と最低限の保守費用のみとなります。

スマホに例えると分かりやすい

月額制は「2年縛りの分割払い」、買い切り型は「一括購入」に似ています。スマホを分割で買えば初期負担は少ないですが、総額は高くなり、契約期間中は縛られます。一括購入は初期負担が大きいですが、総額は安く、自由に乗り換えられます。

 

2.月額制のメリット・デメリット徹底比較

月額制は、特に開業直後の医院にとって魅力的に見えますが、長期的な視点で判断する必要があります。

月額制のメリット

初期費用が安い 最大のメリットは、初期費用を大幅に抑えられることです。開業時は設備投資で資金が逼迫しているため、初期費用5万円から10万円程度でホームページを持てるのは魅力的です。

予算が固定される 毎月一定額の支出となるため、予算管理がしやすくなります。急な追加費用が発生しにくく、経営計画が立てやすいという利点があります。

保守・更新が含まれる場合がある 月額費用に保守管理や軽微な更新作業が含まれているプランなら、自分で管理する手間が省けます。技術的な知識がない医院にとっては安心感があります。

月額制のデメリット

総額が高くなる 最大のデメリットは、長期的な総額が買い切り型より高くなることです。月額9800円×60ヶ月(5年間)=58万8000円となり、買い切り型の制作費50万円+年間維持費3万円×5年=65万円と比較すると、一見安く見えますが、実際には6年目以降も払い続けることになります。

解約時のリスク 多くの月額制では、契約期間の縛りがあります。2年から3年の最低利用期間が設定され、途中解約すると違約金が発生します。また、解約時にデータが返却されず、一から作り直しになるケースもあります。

所有権が曖昧 月額制は「レンタル」の性格が強く、ホームページの所有権や著作権が制作会社に残ることが多いです。ドメインも制作会社名義の場合、他社に移転できず、事実上その制作会社に縛られ続けます。

月額費用の値上げリスク 契約更新時に月額費用が値上げされる可能性があります。「最初は9800円だったのに、3年後には1万5000円になった」というケースも報告されています。

 

3. 買い切り型のメリット・デメリット徹底比較

買い切り型は、長期的な視点で見ると多くのメリットがありますが、初期投資がネックとなります。

買い切り型のメリット

長期的には安い 5年、10年という長期で見ると、買い切り型の方が総額は安くなります。制作費50万円+年間維持費3万円×10年=80万円に対し、月額制は9800円×120ヶ月=117万6000円と、約40万円の差が生まれます。

完全な所有権を得られる 制作費を支払えば、ホームページのデータ、デザイン、コンテンツの所有権が医院に移転します。自由にカスタマイズでき、他社にリニューアルを依頼することも可能です。

ドメインが自分のもの ドメインを医院名義で取得するため、制作会社を変更しても同じURLを使い続けられます。長年築いてきたブランドと検索順位を維持できるのは大きなメリットです。

月々の固定費がない 年間のドメイン・サーバー代(合計1万円から3万円程度)のみで、毎月の固定費が発生しません。経営が厳しい時期でも、負担を最小限に抑えられます。

買い切り型のデメリット

初期費用が高い 最大のデメリットは、初期費用がまとまった金額になることです。30万円から80万円の支出は、特に開業直後には負担となります。

自分で管理する必要がある 買い切り後は、更新作業や保守を自分で行うか、その都度費用を払って依頼する必要があります。技術的な知識がない場合、手間に感じることもあります。

保守費用が別途かかる場合がある 制作会社によっては、年間保守契約(年間5万円から10万円)を別途提案されることがあります。ただし、これは任意であり、必須ではありません。

 

4. 5年間の総額シミュレーション比較

実際にどれくらいの差が出るのか、具体的な数字でシミュレーションしてみましょう。

月額制のケース

初期費用: 5万円 月額費用: 9800円 5年間の総額: 5万円+(9800円×60ヶ月)=63万8000円

買い切り型のケース

初期費用(制作費): 50万円 年間維持費: 3万円(ドメイン・サーバー代+最低限の保守) 5年間の総額: 50万円+(3万円×5年)=65万円

一見、5年間では月額制の方が約1万円安く見えますが、6年目以降を考えると逆転します。

10年間で比較すると

月額制: 5万円+(9800円×120ヶ月)=122万6000円 買い切り型: 50万円+(3万円×10年)=80万円

差額: 42万6000円

10年使えば、買い切り型が約40万円以上安くなります。さらに、月額制は解約すればホームページがなくなりますが、買い切り型は10年後も自分の資産として残ります。

途中でリニューアルする場合

5年後にリニューアルする場合を考えてみます。

月額制: 5年間で63万8000円支払い、リニューアル時に新たに契約(データは引き継げない) 買い切り型: 5年間で65万円、リニューアル時も既存データを活用可能(費用30万円程度)

買い切り型なら、既存のコンテンツや画像を流用できるため、リニューアル費用を抑えられます。

 

5. あなたの医院に最適な契約形態の選び方

月額制と買い切り型、どちらを選ぶべきかは、医院の状況によって異なります。以下のフローチャートで判断してください。

月額制が向いている医院

  • 開業直後で初期費用を極力抑えたい
  • ホームページを3年以内に大幅リニューアルする予定がある
  • 技術的な管理を一切したくない、すべて任せたい
  • 毎月の固定費として予算を組みやすい方が良い

ただし、以下の条件を満たす月額制を選んでください。

  • 契約期間終了後、データ一式を返却してもらえる
  • ドメインは医院名義で取得される
  • 月額費用に含まれる作業範囲が明確
  • 途中解約時の違約金が合理的な範囲(残月×50%程度まで)

買い切り型が向いている医院

  • 初期費用を投資として考えられる
  • 5年以上は同じホームページを使う予定
  • ホームページを医院の資産として所有したい
  • 長期的なコストを抑えたい
  • 将来的に他社へのリニューアルも検討したい

開業3年目以降で、ある程度資金に余裕があるなら、買い切り型が推奨されます。

中間的な選択肢:分割払い付き買い切り型

最近は、買い切り型でも分割払いに対応する制作会社が増えています。「制作費50万円を月額2万円×25ヶ月の分割払い」といった形で、初期負担を抑えつつ、所有権は完全に医院に移転するプランです。

分割払い終了後は維持費のみとなるため、長期的には買い切り型と同じメリットが得られます。開業直後でも買い切り型のメリットを享受したい場合は、この選択肢も検討してください。

 

まとめ

月額制と買い切り型には、それぞれメリット・デメリットがあります。月額制は初期費用が安く予算管理しやすい反面、長期的には総額が高くなり、所有権やデータの返却に問題が生じるリスクがあります。買い切り型は初期費用が高いですが、長期的には安く、完全な所有権を得られます。

5年間の総額では両者に大きな差はありませんが、10年で見ると買い切り型が約40万円以上安くなります。さらに、買い切り型は資産として残り、リニューアル時も既存データを活用できる利点があります。

選択のポイントは、開業直後で資金が厳しいなら月額制(ただし条件確認必須)、開業3年目以降または長期的視点なら買い切り型です。中間的な選択肢として、分割払い付き買い切り型も検討価値があります。

重要なのは、契約前に総額、所有権、解約条件を必ず確認することです。目先の安さだけで判断せず、5年後、10年後を見据えた賢い選択をしてください。ホームページは医院の顔であり、長期的な資産です。適切な契約形態を選ぶことが、安定した医院経営の基盤となります。

投稿者プロフィール

NAOKI OZAWA
歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。

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