ホームページ制作の追加費用が発生するケースとは?事前に確認すべき項目

目次
1. なぜホームページ制作で追加費用が発生するのか
2. 制作段階で発生しやすい追加費用のパターン
3. 公開後の運用で必要になる継続費用
4. 契約前に必ず確認すべき7つのチェックポイント
5. 追加費用を抑えるための賢い発注方法
6. トラブルを避けるための見積書の読み解き方
7. まとめ
1. なぜホームページ制作で追加費用が発生するのか
ホームページ制作を依頼する際、最初に提示された見積額だけで完結すると考えている歯科医院様は少なくありません。しかし実際には、制作途中や公開後に「想定していなかった費用」が発生し、当初の予算を大幅に超えてしまうケースが頻繁に起こっています。
追加費用が発生する最大の理由は、制作会社とクライアントの間での認識のズレです。制作会社が「基本パッケージ」として提示している内容と、歯科医院側が「ホームページ制作に含まれているはず」と考えている範囲が一致していないことが多いのです。たとえば、写真撮影やテキストライティング、スマートフォン対応などが別料金になっていることを後から知り、驚かれるケースがあります。
また、制作途中での仕様変更や追加要望も費用増加の大きな要因です。「やはりページ数を増やしたい」「デザインを全面的に変更したい」といった変更は、追加作業として別途費用が発生します。さらに、公開後の更新作業やサーバー保守など、継続的に必要となるランニングコストについても、事前の説明不足でトラブルになることがあります。
これらの問題を避けるためには、契約前に制作範囲と費用の内訳を詳細に確認し、将来的に発生しうるコストも含めて総合的に判断することが重要です。本記事では、追加費用が発生しやすいケースと、事前に確認すべき具体的なポイントを解説します。
2.制作段階で発生しやすい追加費用のパターン

ホームページの制作段階では、当初の見積もりに含まれていない作業が必要になり、追加費用が発生するケースが多々あります。代表的なパターンを理解しておくことで、予算オーバーを防ぐことができます。
コンテンツ制作に関わる追加費用
最も頻繁に発生するのが、コンテンツ制作に関する費用です。多くの制作会社では、基本プランに「テンプレートデザイン」と「5ページ分の構築」は含まれていても、ページに掲載する文章や写真の制作は別料金としています。歯科医院側で原稿と写真を用意できる場合は追加費用は発生しませんが、制作会社に依頼する場合は1ページあたり1万円から3万円程度の費用がかかります。
特に医院の雰囲気を伝える写真撮影は、プロカメラマンに依頼すると5万円から15万円程度が相場です。院長の人柄や医院の清潔感を視覚的に伝えるには不可欠な投資ですが、見積もりに含まれているかどうかは必ず確認してください。スマートフォンで撮影した写真でも対応可能か、プロ撮影が必須かを事前に確認しておくことが重要です。
ページ数やデザインの変更による追加費用
初期の見積もりでは5ページ構成だったものを、制作途中で「診療メニューをもっと詳しく紹介したい」「スタッフ紹介ページを追加したい」と要望が膨らむケースがよくあります。ページ追加は通常1ページあたり2万円から5万円の追加費用となります。
デザイン変更も大きなコスト要因です。初稿のデザイン案を確認した後に「イメージと違うので全面的に作り直したい」という要望は、ほぼ確実に追加費用が発生します。一般的に、デザイン修正は2回から3回までは基本料金に含まれますが、それを超える変更や全面的な作り直しは別途料金となります。変更1回につき3万円から10万円程度が相場です。
機能追加による追加費用
予約システム、問い合わせフォーム、ブログ機能、スタッフ専用管理画面など、特別な機能を追加する場合も費用が発生します。基本的なお問い合わせフォームは基本料金に含まれることが多いですが、診療科目ごとの予約管理や自動返信メールのカスタマイズなどは追加オプションとなり、5万円から30万円程度の費用がかかります。
また、GoogleマップやSNSとの連携、口コミ表示機能なども追加機能として扱われることがあります。どこまでが基本プランに含まれ、どこからが追加費用なのかを明確にしておくことが必要です。
3.公開後の運用で必要になる継続費用

ホームページは作って終わりではありません。公開後も継続的に費用が発生します。これらのランニングコストを見落とすと、長期的な予算計画が狂ってしまいます。
サーバーとドメインの維持費用
ホームページを公開し続けるには、サーバー(データを保管する場所)とドメイン(ホームページのURL)が必要です。これらは年間契約が一般的で、サーバー代が年間1万円から3万円、ドメイン代が年間1千円から3千円程度かかります。制作会社によっては、初年度の費用のみ制作費に含めているケースもあるため、2年目以降の費用負担について確認が必要です。
注意すべきは、制作会社が独自のサーバーを使用している場合、そのサーバーを継続利用する限り制作会社との契約が続くという点です。他社にリニューアルを依頼したい場合でも、データ移行に制限がかかったり、高額な移行費用が請求されたりすることがあります。
保守・更新費用
ホームページは定期的なメンテナンスが必要です。セキュリティアップデート、バックアップ、不具合対応などの保守作業は、月額5千円から2万円程度の保守契約として提供されることが一般的です。この保守契約に加入していないと、トラブル発生時に都度対応費用が請求されることになります。
また、診療時間の変更やスタッフの入れ替わりなど、情報更新が必要になった際の更新作業も費用が発生します。制作会社に依頼する場合、軽微な修正で1回5千円から1万円、写真やページ構成の変更を伴う更新は1回2万円から5万円程度が相場です。更新頻度が高い医院では、年間の更新費用が意外に高額になることもあります。
SSL証明書とセキュリティ対策
患者様の個人情報を扱う歯科医院のホームページでは、SSL証明書(通信の暗号化)は必須です。SSL証明書は年間5千円から3万円程度の費用がかかり、毎年更新が必要です。基本的なSSL証明書は比較的安価ですが、より高度なセキュリティを求める場合は上位プランが推奨されます。
さらに、セキュリティ対策ソフトやスパムメール対策、定期的なセキュリティ診断なども、オプションとして提供されることがあります。医療機関という性質上、セキュリティは妥協できない部分ですので、適切な投資を計画に組み込んでおくことが大切です。
4.契約前に必ず確認すべき7つのチェックポイント
追加費用のトラブルを避けるため、契約前に必ず確認しておくべき重要ポイントを7つご紹介します。これらを確認することで、予期せぬ追加費用を大幅に減らすことができます。
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チェック項目 |
確認内容 |
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制作範囲 |
ページ数、デザイン修正回数、コンテンツ作成の有無 |
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撮影・原稿作成 |
プロ撮影の有無、原稿作成サービスの有無と料金 |
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機能仕様 |
予約システム、問い合わせフォーム等の機能範囲 |
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スマホ対応 |
レスポンシブデザインが基本料金に含まれるか |
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納品物の権利 |
デザインデータ、写真素材の著作権の所在 |
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ランニングコスト |
サーバー、ドメイン、保守費用の年間総額 |
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解約条件 |
契約解除時の費用、データ移行の可否と料金 |
- 制作範囲の明確化 見積書に「ホームページ制作一式」とだけ書かれている場合は要注意です。具体的に何ページ制作されるのか、各ページにどのようなコンテンツが含まれるのかを明確にしてください。また、デザインの修正は何回まで無料か、修正回数を超えた場合の1回あたりの費用も確認しましょう。
- 撮影・原稿作成の取り扱い プロカメラマンによる撮影が含まれているか、テキストライティングは誰が担当するのかを確認します。自院で用意する場合、どのような形式で提出すればよいか、写真の解像度や枚数の指定も聞いておくとスムーズです。
- 機能仕様の詳細 予約フォームや問い合わせフォームが「含まれている」と言われても、その機能の詳細度は千差万別です。自動返信メールの有無、管理画面の使いやすさ、スマートフォンでの動作など、実際に使う立場で必要な機能を具体的に確認してください。
- スマートフォン対応の確認 現在では患者様の約70%がスマートフォンからアクセスします。レスポンシブデザイン(スマホ対応)が標準で含まれているか、別途費用が発生するかは必ず確認してください。また、タブレット表示も最適化されるかも確認ポイントです。
- 納品物の権利関係 ホームページのデザインや使用している写真素材の著作権が誰に帰属するかは重要です。将来的に他社にリニューアルを依頼する際、デザインデータを持ち出せるかどうかで費用が大きく変わります。
- ランニングコストの全体像 初年度だけでなく、2年目以降に毎年かかる費用の総額を確認します。サーバー、ドメイン、SSL証明書、保守費用をすべて合算すると、年間でいくらになるのかを明示してもらいましょう。
- 解約条件とデータ移行 将来的に契約を解除したい場合、違約金が発生するか、最低契約期間があるか、ホームページのデータを他社に移行できるかを確認します。ロックイン条項がある契約は慎重に検討すべきです。
5.追加費用を抑えるための賢い発注方法

追加費用の発生を最小限に抑えるには、発注側の準備と明確な意思表示が重要です。以下の方法を実践することで、予算内での制作が可能になります。
まず、制作依頼前に自院の要望を具体的に整理しておくことが大切です。「どんなページが必要か」「どんな機能が欲しいか」「参考にしたい他院のサイトはあるか」といった情報を事前にまとめておけば、制作会社も正確な見積もりを出しやすくなります。曖昧な依頼は、後から「やはりこうしたい」という変更につながり、追加費用の原因となります。
次に、コンテンツの自社準備も費用削減に効果的です。院長やスタッフの写真、医院の外観・内観の写真、診療方針や院長挨拶の文章などを自院で用意できれば、撮影費やライティング費を節約できます。最近のスマートフォンは高画質なので、撮影のコツを掴めば十分使用に耐える写真が撮れます。
また、制作段階でのフィードバックは明確かつ一度にまとめて伝えることが重要です。「ここの色を変えたい」「やっぱり元に戻したい」といった小出しの修正依頼は、修正回数が増えて追加費用につながります。デザイン案を受け取ったら、院内で十分に検討し、修正点をリスト化して一度に伝えるようにしましょう。
さらに、複数の制作会社から相見積もりを取ることも有効です。同じ要件を複数社に提示することで、相場感が掴め、各社の見積もりに何が含まれて何が含まれていないかが比較しやすくなります。ただし、単純に安い会社を選ぶのではなく、サポート体制や実績も総合的に判断してください。
6. トラブルを避けるための見積書の読み解き方

見積書は単なる金額の羅列ではなく、制作会社との契約内容を示す重要な書類です。トラブルを避けるためには、見積書の各項目を正しく理解し、不明点は契約前に必ず確認する必要があります。
見積書でまず確認すべきは、各項目の内容です。「デザイン費」「コーディング費」「システム構築費」など、専門用語が並んでいる場合、それぞれが具体的に何を指すのかを説明してもらいましょう。特に「ディレクション費」や「進行管理費」といった項目は、何に対する費用なのかが分かりにくいことがあります。
また、見積書に記載されている作業内容と、実際に納品されるものが一致しているか確認してください。たとえば「5ページ制作」とあっても、トップページ、医院紹介、診療案内、アクセス、お問い合わせの5ページなのか、それともブログや求人ページも含むのかで内容は大きく異なります。
修正・変更に関する条件も重要なチェックポイントです。「デザイン修正2回まで無料」と記載されている場合、3回目以降はいくらかかるのか、どの程度の修正が「1回」とカウントされるのかを明確にしておきましょう。細かい文言修正も1回、全面的なデザイン変更も1回と同じカウントでは不公平です。
支払い条件も見落としがちなポイントです。着手金、中間金、完成時の支払いがどのような比率で設定されているか、キャンセル時の返金規定はどうなっているかを確認してください。一般的には、着手金30%、中間金30%、納品時40%といった分割払いが多いですが、制作会社によって異なります。
見積書に記載されていない事項についても、口頭で確認した内容は必ず書面に残してもらうようお願いしてください。メールでのやり取りも証拠として保存しておくと、後々のトラブル防止になります。
まとめ
ホームページ制作における追加費用の多くは、事前の確認不足と認識のズレから発生します。制作範囲、コンテンツ作成、機能仕様、ランニングコストなど、契約前に詳細を確認することで、予期せぬ出費を大幅に減らすことができます。特に、撮影・原稿作成が含まれるか、スマートフォン対応は基本料金か、年間のランニングコストはいくらかという3点は、金額に大きく影響する重要ポイントです。
追加費用を抑えるためには、発注側の準備も欠かせません。自院の要望を明確に整理し、可能な範囲でコンテンツを自社準備し、修正依頼は一度にまとめて伝えることで、無駄な追加費用を削減できます。また、見積書の各項目を丁寧に確認し、不明点は契約前に必ず質問して文書で回答を得ることが、トラブル回避の鉄則です。
ホームページは歯科医院の顔として、長期的に患者様との接点となる重要な投資です。初期費用だけでなく、運用費用も含めた総合的なコストを把握し、予算内で最大の効果を得られる制作会社を選んでください。透明性の高い見積もりと丁寧な説明をしてくれる制作会社こそが、信頼できるパートナーです。事前の確認を徹底することで、安心してホームページ制作を進めることができます。
投稿者プロフィール
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歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。
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