歯科のスマイルカーブ ~なぜ「付加価値」が必要なのか~

歯科コンサルタントの小澤です。

昨今、多くの地域で歯科医院が乱立している状況を目の当たりにします。全国的に歯科医院の件数が多いというのは、よくご存知ですよね。

目次

  • 歯科医院数の推移
  • スマイルカーブ理論とは
  • 歯科のスマイルカーブ?
  • 下流と上流のどちらにシフトするか

歯科医院数の推移

同様に件数が多いと言われている市場にコンビニエンスストアがあります。今はどこに行っても見かけますし、コンビニばっかりだな~と感じている方も少なく無いと思います。

そんな、コンビニエンスストアの件数が、全国で55,797件(2020年7月-日本フランチャイズチェーン協会調べ)なのに対し、歯科医院の件数は、それを上回る68,507件(2020年10月-厚生労働省調べ)。

地域によって件数に偏りはあるものの、どれだけ「ライバル」が多いのかが分かっていただけるのではないでしょうか。

出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)(https://www.e-stat.go.jp/)医療施設調査 平成29年医療施設を加工して作成

 

歯科医院の件数は、2011年以降、68,000件を下回ることはありません。つまり、閉業した医院があっても、同等、もしくはそれ以上のペースで新たに開業する医院があるということです。

では、歯科医師の数はどのような推移を続けているのでしょうか。

出展:厚生労働省|平成30年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況を加工して作成

 

近年で見ると、増加率自体は下がっているものの、減少することはなく、人口10万人に対しての歯科医師数は年々増加傾向にあります。

患者さんにとって歯科医師や歯科医院は「選び放題」とも言える状況なのです。

患者さんから継続的に選ばれ、経営が安定している医院があるのに対し、新患が来なければ経営がひっ迫してしまうという医院があるのも事実です。

そして、これからも増加するであろう歯科医師。若く熱意のある歯科医師が開業を続けたら・・・。果たして生き残っていけるでしょうか?

今回はそんな厳しい時代で、生き残りをかけて歯科医院が取り組まなければならない「付加価値を高めること」について、付加価値とは何か、そして、なぜそれが必要なのかを「スマイルカーブ理論」を通して解説していきます。

スマイルカーブ理論とは

スマイルカーブ理論とは、元々電子産業で用いられた収益構造を表すモデルの名称で、上流工程と下流工程の付加価値が高く、中間工程の付加価値は低いという考え方を示しています。

ほんのひと昔前までは、中間工程の低付加価値の事業プロセスであっても、安く、たくさん製造し、販売すれば儲かると考えられていましたが、グローバル化で低価格化がみ、その手法で利益をあげることが難しくなってしまったのです。

いかに効率良く、安く沢山製造するかで勝負する時代は終わりました。現代の日本では、事業プロセスの上流や下流にあるブランドや研究開発、サービスやメンテナンスの付加価値を高め、消費者に選んでもらうことが出来なければ生き残ることができません。

歯科医院は製造業でもグローバル化が進んでいるわけでも無いから関係ないのでは?と思った先生もいらっしゃるかもしれません。

しかし、先にも述べたように、歯科医院の乱立は止まりません。いつ新しいライバルが増えるか分からないような状況です。

グローバル化によって低価格化が進み、今までのやり方が通用しなくなったのと同じように、歯科医院においても同様の現象が簡単に起こり得るのではないでしょうか。

それでは、歯科医院にとっての「スマイルカーブ」とはどのようなものなのか、具体的に考えてみましょう。

歯科のスマイルカーブ?

歯科医院は、製造業ではないため設計・部品、販売・流通の項目はカットし、分かりやすく簡略化して考えてみましょう。

製造業の「ブランド・研究開発」にあたる分野
新しい治療の勉強・新しいサービスの導入・ブランディング・治療技術・研修参加・材料の交換などが当てはまると言えます。
製造業の「製造、組立」にあたる分野
歯科医師なら誰もがやっている当然の治療・機械的な接遇はこれに当てはまると言えます。
製造業の「サービス、メンテナンス」にあたる分野
患者さんの立場に立った説明・継続的なメンテナンス・傾聴やコーチングの実施などがこれに含まれます。

単に当然の治療を行い、決められた接遇を実施するだけならどんな医院でもやっています。中間工程である「治療・接遇」を強化したところで、患者さんには付加価値と感じてもらうことは難しいのです。

痛かった、時間がかかった、などのマイナスなイメージは強く残りますが、それ以外のプラス要素は印象に残りにくく、いくら医学的に素晴らしい治療であっても、患者さんにとっての付加価値にはなりにくいのです。

 

下流or上流、1つやってみよう

 

目の前に同じ商品が二つあったとします。そのどちらか一方が素晴らしい技術で、しかも短納期・低コストで製造されたものであっても、見た目や機能がまったく同じならどうでしょうか?

そこに至るまでの企業努力を知らなければ、消費者にとってはとくに付加価値を感じないのではないでしょうか。

それは歯科医院でも同じです。治療して痛みが治まる、治療して美味しくご飯が食べられる、結果が同じであれば、それは患者さんにとっての付加価値とはなりません。どこで治療しても同じ結果が得られるのです。

では、付加価値を高めて数ある歯科医院の中で患者さんから評価され、継続的に選ばれるためにはどうすれば良いのでしょうか。

 

今回は、2通りの方法について考えてみましょう。

①下流側のプロセス・ドメインにシフトする

患者さんの立場にたって治療説明を実施したり、継続的にメンテナンスへの誘導を行ったり、傾聴スキルを高めることで、患者さんとのコミュニケーションを強化する方法です。

今、様々な面でデジタル化が加速していますが、歯科医院においては、人間味を排除せず、コミュニケーションを取り続けることで他の医院との差別化が図れ、付加価値となるでしょう。

機械的なコミュニケーションでは、信頼関係は築けません。人×人のコミュニケーションにおいて初めて信頼関係が生まれるのだということを忘れないでください。

今すぐできる!下流シフトチェンジ

■ 治療説明の改善・見直し

患者さんが知りたい情報になっているだろうか。時間配分は間違っていないだろうか。不安を煽るだけの説明になっていないだろうか。など、今の治療説明について見直しを行い、改善してみましょう。

■ メンテナンス誘導の仕組み作り

メンテナンスへの誘導は出来ていますか?ただの定期検診はがきを送るだけになっていませんか?

こちらのコラムも参考にされてください。↓

知っていれば役に立つ~患者流出理由ベスト3~

■ 傾聴スキルアップの研修への参加

傾聴スキルを身に付けるための研修に参加してみましょう。「傾聴スキル 研修」で検索すると様々な研修が出てきます。医院のスタッフに合ったものを選んでください。

②上流側のプロセス・ドメインへのシフト。

患者さんにとって有益な新しい治療やサービス。治療技術向上のための研修に参加する。更に良い材料を取り入れる。そして、医院のブランディングをする。

最新の治療方法や技術、材料は患者さんにとっても魅力的にうつります。そして、これは大事なポイントですが、せっかく他の医院に無い魅力があるのであれば、それをアピールしなければ意味がありません。

医院のブランディングを行い、積極的に発信していきましょう。ブランディングとは、医院のロゴやキャラクターを作ったり、HPなどで医院の特徴をアピールすることです。

今すぐできる!上流シフトチェンジ

■ 最新の治療を取り入れる

例えば、インビザラインなどの治療を取り入れ、若い女性をターゲットにした戦略へシフトチェンジする医院も増えています。患者さんにとって有益な「最新の治療」を取り入れてみましょう。

■ 治療技術向上

治療技術向上のために研修に参加するだけではなく、参加した研修についてはブログなどを用いて積極的にアピールしましょう。

■ 良い材料を仕入れる

先生方それぞれに医学的な見解があると思いますので、この材料という明言は避けますが、患者さんにとって「良い」材料を仕入れ、選択肢の一つとして提案しましょう。(押しつけることが無いように注意してください)

■ ブランディングを行う

医院のロゴマークや、キャラクターなどを使ってブランディングする方法、得意な治療やオススメの治療を全面に出し周知する方法などがあります。

こちらのコラムも参考にされてください↓

八百屋でもやっています。歯科医院でできる簡単ブランディング戦略

皆さんはどちらにシフトしますか?

最終的には両方。と言えるように、ぜひ出来る事から初めてください。

まとめ

たくさんの歯科医院の中で安定経営を目指すためには「付加価値」について意識し、今患者さんが何を求めているのか、患者さんにとっての付加価値とは何かを常に追求し続けなければなりません。

歯科医院は「ただ痛い歯を治療してくれるところ」では無くなりました。患者さんの「口腔ケア」への認識や関心が深まる中で、ただ治療する歯科医院では生き残ることができないのです。

今自分の医院で高めることができる「付加価値」は何か。ぜひ考えて実行してみてください。

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