人材不足に悩んでいませんか?
こんにちは、歯科医院経営コンサルタントの小澤です。
突然ですが、皆さん、採用は上手くいっていますか?
うちの医院は絶好調だ。という先生は読んでも意味の無い記事かもしれません。
歯科に限らず、多くの企業で嘆かれている「人材不足」。
採用活動においてはこれをやれば必ずどこの医院でも成功する。というような「特効薬」は無く、私たちのようなコンサルタントも一番頭を悩ませている問題です。
中には、特効薬があるように見せかけているコンサルタントもあるかもしれません。しかし、多くの場合それはとりあえず臭い物に「蓋」をしている状態にすぎません。
人材不足を解消するのは、たやすいことではありません。
今すぐ人が欲しい。すぐに解決したい。本当に困っているのですから、すぐに解決できるならすがりたい気持ちも分かります。
中には、蓋をして鍵までかけてしまうような人もいるかもしれません・・・。
ですが、いくら鍵をかけても臭い物つまり「課題」は残ったままです。
また臭いが漏れてきたらどうしますか?一体何枚蓋を重ねればいいのでしょうか・・・。
末永く働ける環境かどうか。
人材不足の臭い物、「中心となる課題」とは何かを考える前に、まずは雇用条件について簡単に見てみましょう。
雇用条件について考える際に考慮する点は、「働きやすい環境」「末永く働ける環境」であるかどうかです。
歯科医院のような女性が活躍する職業で共通するのが、結婚や出産などで働けなくなってしまう人が多いこと。これは、働く女性側の問題だけではありません。雇う側の配慮で解決できることも多いのです。
国立社会保障・人口問題研究所の調査では、出産後の女性の86%が「働きたい」と答えています。
国立社会保障・人口問題研究所 現代日本の結婚と出産 ─ 第15回出生動向基本調査 (独身者調査ならびに夫婦調査)報告書
「働きたいのに働けない」
出産を機に退職する多くの女性は、また働きたいと考えています。しかし、様々な不安がその気持ちを阻んでいるのです。
そして、その不安を抱えているお母さん達の中にたくさんの優秀な存在が埋もれているのです。
代表的な、働きたいのに働けない優秀な存在が抱える不安を見てみましょう。
問題点1:育児休業制度が無い
そもそも、産休や育休をとりたくても制度自体が無い。というケースが多いでしょう。
これから雇用条件について検討するのであれば、ぜひ「育児休業制度」を設けてください。
結婚を考えているけど、出産を機に仕事を辞めなければならない・・・。と不安を抱えている人にとって、また戻れる環境を用意してくれる医院は魅力的です。
問題点2:子どものための時間が取れなくなる
働きたいのに働けない世の中のお母さん達の多くが不安を抱える問題です。
この問題の解決方法の例をいくつか紹介しましょう。
短時間勤務を可能にする
例えば、子供の夏休みなどの大型の休みに合わせた短時間勤務の制度を作ったり、子供が小学校3年を終了するまで短時間勤務を可能にしたり。
短時間正社員という枠を作り、正社員と同じ待遇を用意することが出来ればモチベーションも上がるでしょう。
急な休みに対応できる仕組みを作る
歯科医院などのサービス業の場合、急な休みを申し出る時のスタッフの負担は計り知れません。
もちろん医院にとっても大きな負担があります。その日の診療予約の状況を見て嫌な顔をしてしまう院長も少なく無いのではないでしょうか。
ですが、子供は急に熱を出すものです。学校の行事に参加してあげたいと思うのは親として当たりまえです。
行事への参加がしやすいように「行事休暇」のような特別な制度を設けたり、急な発熱の際に使用できる休暇制度を作っても良いでしょう。
「休んでも良いんだよ」と声を掛けるだけでも十分ありがたいかもしれませんが、具体的に制度を設けてあげたほうがよりハードルも下がります。
今挙げたことは一例ですが、他にもさまざまな「働きたいのに働けない人」がいるでしょう。
自分の医院で実現可能な「働きたい人が働ける仕組み」を作り、制度という形にして求人票やホームページなどで積極的にアピールしましょう。
雇用条件には、「どれだけ働くスタッフのことを考えてくれているか」が現れます。大事なのは、本当にスタッフの事を一番に考えた制度かどうかです。
人材不足を解消するために一番大切なこと
では、本題に入りましょう。人材不足の「中心となる課題」とは何か。
それは、今働いている人が満足しているか。ということ。
「従業員満足度」Employee Satisfaction (ES) を意識したことはありますか?
大手企業などでは自社でアンケート調査を行い実際に「従業員満足度」を数字で見て改善を行っているケースもあります。
歯科医院ではそこまでする必要はありませんが、スタッフの満足度を上げる取り組みを行うことが「人材不足」を解決するために絶対に必要なことです。
従業員満足度が上がれば、離職率が下がります。離職率が下がれば、採用コストも下がります。下がったコストを患者さんの満足度アップのために費やせます。
従業員満足度が上がれば、患者満足度も上がります。患者満足度が上がれば、経営数値も上がります。上がった利益でスタッフの満足度をさらに上げることができます。
良いことづくめだと思いませんか?
満足度を上げない理由がどこにあるでしょうか?
従業員満足度の高い企業の共通点2つ。
従業員満足度で検索するとたくさんの大手企業が出てきますが、今回はその中でも有名な「スターバックス」と「リッツカールトン」の取り組みを見てみましょう。
①入社後の徹底した研修
②評価制度がある
①入社後の徹底した研修
研修と聞くと、機材の使い方や接遇などの実務の練習をイメージするかもしれませんが、実はそれはさほど重要ではありません。マニュアルを学ぶだけでは満足度は上がらないのです。
スターバックスでは、80時間(約2か月)の研修を受けることが決められているのだとか・・・。
そんなにたくさんの時間を使って一体なにを学ぶんだ・・・と思うかもしれませんね。
スターバックスもリッツカールトンも、一番最初の研修では企業の「基本理念」を学びます。医院によって理念は様々だと思いますが、軸となるのは「患者さまを喜ばせる」ことなのではないでしょうか。
リッツカールトンの若手社員研修では「母親の朝食を褒める」課題が出されるそうです。
母親だけに限らず、自分の身近な人間を褒めるというのは照れてしまいますし、実際に褒めようとすると案外難しいものです。
褒めるべき点はたくさんあってもうまく言葉にできなかったり、毎朝続けるとワンパターンになりお互いに慣れてしまったり・・・。
想像しただけで難しいですよね。
リッツカールトンではこの課題によって若手社員の「関心力」「洞察力」「表現力」「行動力」を向上させているのだそうです。
ここまでするためには、それなりの規模も人も必要になるでしょう。
同じことをする必要はありませんが、研修を行うことで「院長の本気」は必ず伝わります。
本気で取り組んでいるのだから中途半端な気持ちでは働けないということに気づくでしょう。
この時点で、とりあえず給料をもらうために言われたことだけやるような人は脱落します。
・どんな患者さんが、どんな悩みを抱えてきているか。そしてそれをどのような気持ちで助けているか。具体的に伝えましょう。
・ケースバイケースで問題を作り、自分ならどのように対応するか?考えさせましょう。
②評価制度
満足度の高い企業には、頑張っているスタッフを正当に評価する仕組みが必ずあります。
院長がすべてのスタッフのすべての行動を把握し、評価できるに越したことはありませんが、それは物理的に不可能です。
もちろん、院長自らがスタッフに関心を持ち、評価するのは当然ですが、それ以外の評価する仕組みも取り入れてみましょう。
リッツ・カールトンでは、自分の業務を手伝ってくれた従業員に対して、手伝われた従業員が「ファーストクラス・カード」と呼ばれるカードを渡します。このカードには「あなたはファーストクラスだ(最高だ)」という思いが込められているそうです。
そんなカードを貰っただけでもうれしいですが、このカードは直接人事評価にも反映されます。リッツカールトンのすごいところは、カードをあげた側も評価の対象になるということ。褒める側にも、褒められる側にも嬉しい制度だと思いませんか?
同じような仕組みがスターバックスにもあります。
「グリーンエプロンカード」というカードをスタッフ同士で贈り合う仕組みです。お客様に対して素晴らしい対応をしていた、とほかのスタッフに評価されるのだそうです。このグリーンエプロンカードを5枚もらうと、お店から表彰されます。
このように、スタッフ同士でお互いを褒め合うことでお互いに対する関心を高め、常に自分の行動が見られていると程よい緊張感を与えます。そして、そのことによって評価されれば自然とモチベーションも上がるです。
今回は、弊社の無料ダウンロードサイトで提供している「Thanks card」を、こちらのコラムをご覧になった方へもご提供いたします。ぜひダウンロードしてご活用ください。
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従業員満足度が高ければ、患者満足度も高い。
先ほども述べましたが、従業員満足度が高ければ、患者満足度も高いのです。逆もまた然り、患者満足度が高ければ、従業員満足度も上がります。なぜなら、評価の高い医院で働くことが自身の誇りになるからです。
「リッツカールトンが大切にするサービスを越える瞬間」中で、著者が『感動した歯医者』について触れた内容があります。
このように述べ、歯医者がリッツカールトンのライバルになったと危機感を感じているのです。
ここで話題にされた歯科医院で働くスタッフが自分の仕事を誇りに思わない理由はないのではないでしょうか。
そして、実際にこのように患者さんに感動を与えている歯科医院がある。という事実を忘れてはいけません。隣の医院がこのように感動を与える歯医者だったら・・・。いつでもその危機感を持つべきです。
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「リッツカールトンが大切にするサービスを越える瞬間」
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「人材不足」の臭い物「中心となる課題」についてお分かりいただけたでしょうか・・・。
人が辞めない仕組みを作れば、そもそも採用問題に苦しむことはありません。従業員満足度の高い医院は口コミによって人が集まります。
院長の仕事は本当に大変です。
スタッフのことばかり考えていられない!!そう思うかもしれません。
ですが、従業員満足度が高ければ、患者さんを感動させるために何ができるか・・・。を考えるのは院長の仕事ではなくなるでしょう。スタッフに任せてもうまくいくのです。
医院の経営のためにも、採用問題を解決するためにも、院長が「今いるスタッフ、これから入ってくるスタッフを感動させるために何ができるか」を考えることは最優先課題なのではないでしょうか。そして、院長にしか出来ない大切な仕事なのです。
スタッフの事を一番に考えることができれば、患者さんを喜ばせても自分には「何の得も無い」と感じていたスタッフは居なくなります。医院の目標を達成するための活発な意見が飛び交うようになるでしょう。それが、歯科医院のあるべき姿なのです。
ですが、今早急に解決するべき問題を抱えている院長もいるでしょう。一人で考えて八方塞がりになっているのであればいつでも私たちを頼ってください。
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