歯科医院のGoogleビジネスプロフィール連携で新患獲得数が3倍になった事例
「近くの歯科医院」とスマホで検索したとき、最初に目に入るのはGoogleマップの検索結果です。実際に、歯科医院を探す患者の78%がGoogleマップを利用しており、その中でも上位3位以内に表示される医院が新患の80%を獲得しているという調査結果があります。
しかし、多くの歯科医院では「Googleビジネスプロフィールを放置している」「存在すら知らない」という状況が続いています。今回は、Googleビジネスプロフィールを本格活用することで、わずか6ヶ月で新患獲得数を3倍に増やした実際の歯科医院の事例をもとに、具体的な手法と成果を詳しく解説します。地域密着型の歯科医院経営において、これほど費用対効果の高い集患方法は他にありません。
目次
1. 成功事例:田中歯科クリニックの挑戦
2. Googleビジネスプロフィールとは?基本を理解する
3. 新患獲得3倍達成のための5つの戦略
4. 実際の運用手順と継続的改善
5. 費用対効果と投資収益率の検証
6. よくある失敗パターンと対策
7. まとめ
1.成功事例:田中歯科クリニックの挑戦
医院の基本情報と課題
田中歯科クリニック(東京都世田谷区、開業15年)は、院長の田中先生が長年地域医療に貢献してきた信頼ある歯科医院でした。しかし、近年は以下のような課題に直面していました。※医院名は仮名です
新規開業の歯科医院が周辺に3院も増え、既存患者の流出が始まっていたのです。特に若い世代の新患獲得に苦戦し、月間新患数は平均8人程度まで減少していました。従来の看板やチラシでの集患効果も限界を感じており、デジタル時代に対応した新しいアプローチが急務となっていました。
取り組み開始前の状況
2023年1月時点の数値:
- 月間新患数:8人
- Googleマップ検索順位:圏外(表示されない)
- オンライン口コミ数:2件(評価3.5)
- ホームページからの問い合わせ:月1-2件
この状況を打開するため、田中先生はGoogleビジネスプロフィールの本格活用を決断しました。
6ヶ月後の驚異的な結果
2023年7月時点の数値:
- 月間新患数:24人(3倍増加)
- Googleマップ検索順位:「世田谷区 歯科」で2位
- オンライン口コミ数:47件(評価4.8)
- ホームページからの問い合わせ:月8-12件
この成果により、売上は前年同期比で40%向上し、スタッフの士気も大幅に改善されました。何より、質の高い新患が増加し、医院全体の治療レベル向上にもつながりました。
2.Googleビジネスプロフィールとは?基本を理解する
Googleビジネスプロフィールの仕組み
Googleビジネスプロフィールは、Google検索やGoogleマップで事業者の情報を表示するための無料サービスです。患者が「近くの歯科医院」と検索した際に、地図とともに医院の基本情報、写真、口コミが表示される仕組みです。
特に重要なのは「ローカル検索」での露出です。スマートフォンユーザーの85%は位置情報を有効にしており、現在地から近い医療機関を優先的に探す傾向があります。Googleはこの行動パターンを分析し、最適な歯科医院を上位表示するアルゴリズムを構築しています。
歯科医院にとっての価値
Googleビジネスプロフィールが歯科医院にもたらす価値は計り知れません。第一に、検索結果での視認性が劇的に向上します。適切に設定されたプロフィールは、通常のウェブサイトよりも上位に表示されることが多く、患者の目に留まる確率が大幅に増加します。
第二に、患者の意思決定に大きな影響を与える口コミ機能があります。歯科治療は不安を伴うため、実際の患者の声は新患の安心材料として極めて重要です。第三に、電話番号のワンクリック発信や、道順案内などの機能により、患者の行動障壁を最小限に抑えることができます。
3.新患獲得3倍達成のための5つの戦略
戦略1:プロフィール情報の完璧な最適化
田中歯科クリニックの成功の基盤となったのは、プロフィール情報の徹底的な最適化でした。医院名、住所、電話番号、営業時間などの基本情報を正確に入力することから始まり、診療科目の詳細記載、院長の専門分野、使用している最新設備の情報まで、患者が知りたい情報を網羅的に掲載しました。
特に効果的だったのは、「痛みの少ない治療」「最新のデジタルレントゲン完備」「土曜日診療対応」など、他院との差別化ポイントを明確に表現したことです。これにより、特定のニーズを持つ患者からの問い合わせが増加しました。
戦略2:魅力的な写真コンテンツの充実
ビジュアルコンテンツの力は絶大でした。田中歯科クリニックでは、プロのカメラマンに依頼して医院の魅力を最大限に引き出す写真撮影を実施しました。
写真の種類 |
効果 |
撮影のポイント |
外観・内観 |
第一印象の向上 |
明るく清潔感のある雰囲気 |
診療室 |
安心感の提供 |
最新設備と快適な環境 |
スタッフ |
親近感の醸成 |
自然な笑顔と患者対応の様子 |
院長の診療風景 |
信頼性の向上 |
真剣で丁寧な治療姿勢 |
特に効果的だったのは、患者さんとの自然な会話風景や、丁寧な説明をしている場面の写真でした。これらの写真により、「この先生なら安心して任せられそう」という印象を与えることができました。
戦略3:口コミ獲得と管理の仕組み化
口コミは新患獲得において最も重要な要素の一つです。田中歯科クリニックでは、口コミ獲得のための具体的な仕組みを構築しました。
治療終了後の患者満足度が高いタイミングで、受付スタッフが口コミ投稿をお願いする流れを確立しました。ただし、押し付けがましくならないよう、「もしよろしければ」という形で自然にお声がけする方法を採用しました。
また、投稿された口コミには必ず24時間以内に返信するルールを設け、患者との継続的なコミュニケーションを図りました。否定的な口コミに対しても、誠実で建設的な返答を心がけ、むしろ医院の信頼性向上につなげることができました。
戦略4:投稿機能の活用による情報発信
Googleビジネスプロフィールの投稿機能を活用し、継続的な情報発信を行いました。週2-3回のペースで、以下のような内容を投稿しました。
歯科に関する豆知識や季節に応じたオーラルケアのアドバイス、新しい治療機器の導入案内、スタッフの研修報告、地域のイベント参加報告などです。これらの投稿により、医院の専門性と地域への貢献姿勢をアピールすることができました。
戦略5:データ分析による継続的改善
Googleビジネスプロフィールのインサイト機能を活用し、患者の行動パターンを詳細に分析しました。どの検索キーワードで見つけられているか、どの写真が最も見られているか、どの時間帯に電話が多いかなどのデータを基に、戦略の継続的な改善を行いました。
特に効果的だったのは、検索キーワードの分析でした。「歯医者 土曜日」での検索が多いことが判明し、土曜診療の情報を強調することで、さらなる新患獲得につながりました。
4.実際の運用手順と継続的改善
日常の運用体制
田中歯科クリニックでは、Googleビジネスプロフィールの運用を特定のスタッフに一任せず、チーム全体で取り組む体制を構築しました。院長は戦略的な方向性を決定し、受付スタッフが日常的な投稿や口コミ対応を担当し、歯科衛生士が専門的なコンテンツの作成をサポートするという役割分担を明確にしました。
毎週月曜日の朝礼では、前週のアクセス状況や口コミの内容を共有し、改善点を話し合う時間を設けました。これにより、スタッフ全員がマーケティング意識を持って業務に取り組むようになりました。
投稿コンテンツの企画と作成
効果的な投稿を継続するため、月間の投稿カレンダーを作成しました。季節の健康情報、治療事例の紹介(患者様の同意を得た上で)、医院の設備紹介、スタッフの紹介などをバランス良く配置しました。
特に好評だったのは、「今月の歯科豆知識」シリーズでした。虫歯予防の新常識、歯周病の最新治療法、子どもの歯磨き指導のコツなど、患者さんの日常生活に役立つ情報を分かりやすく発信しました。
効果測定と改善サイクル
月末には必ず効果測定を行い、以下の指標を確認しました:
- プロフィール表示回数の推移
- ウェブサイトへのクリック数
- 電話問い合わせ数
- 道順検索数
- 新規口コミ数
これらのデータを基に、翌月の戦略を調整し、PDCAサイクルを回し続けました。特に、表示回数は増えているのに問い合わせに繋がらない場合は、プロフィール内容の見直しを行い、逆に表示回数が少ない場合は投稿頻度を増やすなどの対策を講じました。
5.費用対効果と投資収益率の検証
投資コストの詳細
田中歯科クリニックがGoogleビジネスプロフィール活用のために投じた費用は、以下の通りでした:
項目 |
費用 |
内容 |
プロ写真撮影 |
8万円 |
院内・スタッフ写真一式 |
コンサルティング |
15万円 |
初期設定と3ヶ月サポート |
運用時間コスト |
月2万円相当 |
スタッフの作業時間 |
6ヶ月間総額 |
35万円 |
人件費込み |
得られた成果と収益
新患獲得による収益増:
- 新患数増加:16人/月(8人→24人)
- 平均初診売上:12,000円
- 月間売上増:192,000円
- 6ヶ月間売上増:1,152,000円
既存患者の紹介増加:Googleビジネスプロフィールの充実により医院の信頼性が向上し、既存患者からの紹介も20%増加しました。これにより、さらに月6人の新患獲得につながりました。
ROI(投資収益率)の計算:
- 投資額:35万円
- 6ヶ月間収益増:約150万円
- ROI:約330%
この数値は、従来の広告手法(新聞折込み、タウン誌掲載など)と比較して5-10倍の効果を示しており、デジタルマーケティングの威力を実証する結果となりました。
6.よくある失敗パターンと対策
失敗パターン1:放置による機会損失
多くの歯科医院では、Googleビジネスプロフィールを一度設定した後、更新を怠ってしまいます。情報が古いままだと、患者からの信頼を失うだけでなく、Googleからの評価も下がってしまいます。
対策:月1回は必ず情報の見直しを行い、診療時間の変更、スタッフの入退職、新サービスの開始などがあれば即座に更新する体制を整えましょう。
失敗パターン2:ネガティブ口コミへの不適切な対応
否定的な口コミに感情的に反応したり、逆に完全に無視したりすることで、さらなる信頼失墜を招くケースがあります。
対策:すべての口コミに対して、感謝の気持ちを示しつつ、建設的な改善姿勢を表明する返信を心がけましょう。否定的な内容についても、真摯に受け止める姿勢を示すことで、むしろ好印象を与えることができます。
失敗パターン3:他院との差別化不足
基本情報の掲載のみで、他の歯科医院との違いが伝わらないプロフィールでは、患者の心に響きません。
対策として重要なポイント:
- 院長の専門分野や経歴の詳細記載
- 使用している機器や治療法の特徴説明
- 患者対応で心がけていることの具体的な表現
- 地域での活動や貢献への言及
これらの要素により、単なる歯科医院ではなく、患者に寄り添う特別な医院であることをアピールできます。
7.まとめ
田中歯科クリニックの事例は、Googleビジネスプロフィールの適切な活用により、限られた予算でも大きな成果を上げられることを実証しています。重要なのは、一度の設定で終わりではなく、継続的な改善と患者との積極的なコミュニケーションです。
デジタル時代の患者は、治療を受ける前に必ずオンラインで情報収集を行います。その際に最初に目にするのがGoogleビジネスプロフィールであることを考えると、この取り組みは現代の歯科医院経営において必須の戦略と言えるでしょう。
成功の鍵は、患者目線に立った情報発信と、地道な運用の継続です。技術的な知識は必要最小限で構いません。最も重要なのは、患者さんに対する真摯な想いと、それを伝えるための継続的な努力です。
今日からでも始められる施策ばかりです。まずは基本情報の見直しから始めて、徐々に写真の追加や投稿の実施へと発展させていけば、必ず成果は現れます。患者さんとの新たな出会いのために、ぜひGoogleビジネスプロフィールの活用に取り組んでください。
投稿者プロフィール
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歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。
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