「制作実績300件以上」は信用できる?歯科向けWeb制作会社の実力の見抜き方
目次
1. 実績の数字に惑わされる院長たち
2. 「300件の実績」に隠された真実
3. 本当の実力を見抜く5つの質問
4. ポートフォリオの正しい見方
5. クライアント継続率という隠れた指標
6. 実力のある制作会社の特徴
実績の数字に惑わされる院長たち
「当社は歯科医院の制作実績300件以上!業界トップクラスの経験があります」
このような営業トークを聞いて、「300件も手がけているなら安心だ」と感じた経験はありませんか?確かに実績の数は重要な判断材料の一つですが、数字だけで制作会社の実力を判断するのは危険です。
実際に、「実績300件以上」を謳う制作会社に依頼して失敗した院長先生からの相談が月に8件以上寄せられています。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
問題は、実績の「数」と実際の「質」や「実力」が必ずしも比例しないことです。制作会社によっては、簡単な修正作業や小規模な案件も「実績」としてカウントしている場合があります。また、過去10年間の累計実績を現在の実力として宣伝している場合もあります。
重要なのは、実績の数ではなく、その内容と質です。そして、現在進行形で歯科医院のホームページ制作において、どの程度の成果を上げているかということです。
今回は、制作会社が提示する実績数字の裏側を解説し、本当に実力のある会社を見抜く方法をお伝えします。
「300件の実績」に隠された真実
制作会社が提示する実績数には、いくつかのからくりが隠されています。これらを理解することで、数字に惑わされない判断ができるようになります。
実績カウントのからくり
多くの制作会社は、以下のような案件もすべて「実績」としてカウントしています。
カウントされる案件 |
実際の作業内容 |
本格的な制作との違い |
簡単な修正作業 |
文章の変更、写真の差し替え |
新規制作ではない |
LP(ランディングページ)制作 |
1ページのみの制作 |
フルサイト制作ではない |
テンプレート利用案件 |
既存テンプレートの文字替え |
オリジナルデザインではない |
更新作業 |
定期的なコンテンツ更新 |
制作技術は不要 |
このように、「300件の実績」と言っても、その中には本格的なホームページ制作ではない案件が多数含まれている可能性があります。
期間の落とし穴
「創業以来15年間で300件の実績」という場合、年平均20件となります。しかし、初期の実績と現在の技術レベルには大きな差がある可能性があります。
特に重要なのは、スマートフォン対応が必須となった2016年以降の実績です。それ以前の実績は、現在の基準では通用しない可能性があります。
業界の細分化問題
「医療業界300件の実績」と言っても、その内訳が重要です。歯科医院が50件、内科クリニックが100件、美容外科が150件という場合、歯科特有のノウハウは限定的かもしれません。
歯科医院には医療広告ガイドライン、患者心理、競合分析など、特有の専門知識が必要です。他の医療分野の実績では、これらの知識は身につきません。
本当の実力を見抜く5つの質問
制作会社の営業担当者に以下の質問をすることで、実際の実力を見抜くことができます。
質問1:「直近2年間で歯科医院は何件制作しましたか?」
過去の累計実績ではなく、直近の実績を確認することで現在の実力を把握できます。年間10件以下の場合は、歯科専門とは言えない可能性があります。
この質問に対して具体的な数字を即答できない、または曖昧な回答をする制作会社は避けた方が良いでしょう。
質問2:「制作したサイトの成果を数値で教えてください」
実力のある制作会社は、クライアントの成果を数値で把握しています。「A歯科医院様では制作後6ヶ月で月間新患数が12人から28人に増加しました」のような具体的な回答ができるかを確認しましょう。
「お客様に満足いただいています」のような主観的な回答しかできない場合は、実際の成果を測定していない可能性があります。
質問3:「医療広告ガイドラインの最新改正内容をご存知ですか?」
医療広告ガイドラインは定期的に改正されています。最新の改正内容を把握しているかどうかで、歯科業界への関心度と専門性を測ることができます。
「対応しています」という一般的な回答ではなく、具体的な改正内容や対応方法を説明できるかがポイントです。
質問4:「競合他院との差別化はどのように図りますか?」
歯科医院のホームページ制作では、地域の競合分析と差別化戦略が重要です。この質問に対して具体的な戦略を提示できるかで、マーケティング知識の深さを判断できます。
テンプレート的な回答ではなく、実際に競合サイトを分析した上での具体的な提案ができるかを確認しましょう。
質問5:「長期間お付き合いしているクライアントはいますか?」
3年以上継続してサポートしているクライアントがいるかを確認します。長期間の関係を維持しているということは、継続的に価値を提供している証拠です。
この質問に対して具体例を挙げられない場合は、制作後のサポートが不十分な可能性があります。
ポートフォリオの正しい見方
デザインの多様性
同じようなデザインのサイトばかりが並んでいる場合は、テンプレートを使い回している可能性があります。クライアントの個性に合わせたオリジナルデザインができるかを確認しましょう。
また、トレンドに左右されすぎない、長期間使用できるデザインを提案できるかも重要なポイントです。
機能面の充実度
見た目だけでなく、予約システム、お問い合わせフォーム、院内ツアー機能など、歯科医院に必要な機能が適切に実装されているかを確認します。
単純な情報掲載サイトではなく、集患に効果的な機能を備えたサイトを制作できるかが実力の差となります。
更新頻度の確認
ポートフォリオに掲載されているサイトが現在も適切に運用されているかを確認しましょう。制作後に放置されているサイトが多い場合は、継続的なサポートが期待できません。
実際にサイトを訪問して、情報が最新に保たれているか、システムが正常に動作しているかをチェックしてみてください。
クライアント継続率という隠れた指標
制作会社の真の実力を測る隠れた指標が「クライアント継続率」です。この数値を公表している制作会社は少ないですが、直接質問してみる価値があります。
継続率の重要性
制作後も継続的にサポートを受けているクライアントの割合は、制作会社の総合的な実力を示す重要な指標です。技術力だけでなく、コミュニケーション能力、サポート体制、費用対効果など、すべての要素が継続率に反映されます。
優良な制作会社では、80%以上のクライアントが3年以上継続してサポートを受けています。この数値が50%を下回る場合は、何らかの問題がある可能性があります。
継続率を確認する方法
直接的に「クライアント継続率はどの程度ですか?」と質問することで、制作会社の透明性と自信の程度を測ることができます。
この質問に対して具体的な数値を回答できない、または回答を避ける制作会社は、継続率に自信がない可能性があります。
継続サポートの内容
継続率だけでなく、その内容も重要です。単純な技術的サポートだけでなく、マーケティング支援、競合分析、改善提案などの付加価値を提供しているかを確認しましょう。
継続的な価値提供ができている制作会社は、クライアントにとって単なる制作業者ではなく、ビジネスパートナーとして認識されています。
実力のある制作会社の特徴
最後に、本当に実力のある歯科向けWeb制作会社に共通する特徴をまとめます。
透明性の高い情報提供
実力のある制作会社は、実績について具体的で透明性の高い情報を提供します。成功事例では具体的な数値を示し、失敗事例についても正直に説明します。
また、制作プロセス、費用の内訳、期待できる効果とそのリスクについても詳細に説明できます。
専門知識の深さ
歯科医院特有の課題と解決方法について深い知識を持っています。医療広告ガイドライン、患者心理、地域マーケティング、競合分析などについて、具体的で実践的な提案ができます。
また、歯科業界のトレンドや将来的な変化についても見識を持っており、長期的な視点でのアドバイスを提供できます。
継続的な学習姿勢
技術の進歩や法規制の変化に対応するため、継続的に学習を続けています。最新のウェブ技術、SEO対策、デザイントレンドなどについて常にアップデートしています。
このような制作会社は、クライアントに対しても最新の情報と技術を提供でき、長期的なパートナーシップを築くことができます。
結果に対する責任感
単にホームページを制作するだけでなく、クライアントのビジネス成果に対して責任感を持っています。制作後の効果測定、改善提案、長期的なサポートを通じて、継続的に価値を提供しようとします。
このような姿勢を持つ制作会社は、クライアントの成功が自社の成功であることを理解しており、真のパートナーとして機能します。
まとめ
制作実績の数字だけでは制作会社の真の実力は測れません。重要なのは直近の歯科医院制作実績、具体的な成果データ、専門知識の深さ、クライアント継続率などの質的な指標です。営業トークに惑わされず、透明性の高い情報提供ができ、継続的な価値提供に責任感を持つ制作会社を選ぶことが成功への鍵となります。
投稿者プロフィール
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歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。
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