格安ホームページ制作会社に依頼した歯科医院の末路…失敗事例から学ぶ教訓

目次
1. 格安制作の甘い罠:なぜ歯科医院が騙されるのか
2. 悲惨な結末1:医療ガイドライン違反で営業停止寸前
3. 悲惨な結末2:SEO皆無で検索圏外の孤島サイト
4. 悲惨な結末3:サポート放棄で修復不可能な状態
5. 格安業者の正体:なぜそんなに安くできるのか
6. 失敗から学ぶ:適正価格の見極め方

格安制作の甘い罠:なぜ歯科医院が騙されるのか

「ホームページ制作費15万円!今なら10万円!」

このような広告を見て心が動いた経験はありませんか?開業資金で出費がかさむ時期や、既存サイトのリニューアルを検討している時、格安の提案は非常に魅力的に見えます。

しかし、格安制作会社に依頼した歯科医院の多くが、後に深刻な問題に直面しているのが現実です。我々のもとには「格安で作ったホームページが原因で大変なことになった」という相談が月5件以上寄せられています。

なぜ歯科医院は格安制作の罠にはまってしまうのでしょうか。最大の理由は「ホームページはどこで作っても同じ」という誤解です。確かに見た目だけなら、格安業者でもそれなりのサイトを作ることは可能です。

しかし、歯科医院のホームページには医療広告ガイドライン対応、患者心理を理解したコンテンツ設計、歯科特有のSEO対策など、専門知識なしには対応できない要素が山積みです。これらを無視した格安制作は、必ず深刻な問題を引き起こします。

今回は、実際に格安制作会社に依頼して痛い目に遭った歯科医院の事例をもとに、その恐ろしい末路と教訓をお伝えします。

 

悲惨な結末1:医療ガイドライン違反で営業停止寸前

千葉県H歯科医院の事例:12万円の制作が300万円の損失に

H院長は開業時の費用を抑えるため、格安制作会社に12万円でホームページを依頼しました。「どうせ最初だけだから」という軽い気持ちでした。

完成したサイトは見た目こそ綺麗でしたが、内容に重大な問題がありました。

発生した医療広告ガイドライン違反

  • 「必ず治ります」「100%成功」などの効果保証表現
  • 「地域No.1」「最高の技術」などの最上級表現
  • 術前術後写真の不適切な掲載
  • 未承認医療機器の宣伝

開業から3ヶ月後、保健所から厳重注意を受け、即座にサイト修正を命じられました。さらに悪いことに、近隣の競合医院から「不適切な広告」として通報され、事態は深刻化しました。

結果的にかかった費用

  • 緊急サイト修正費:50万円
  • 歯科専門会社での作り直し:80万円
  • 法務相談費:30万円
  • 機会損失(3ヶ月間のサイト停止):推定150万円

「12万円をケチったために、結果的に300万円以上の損失を被りました。最初から適切な会社に依頼していれば…」とH院長は後悔を語ります。

静岡県I歯科医院の事例:行政指導で信頼失墜

I歯科医院も同様に格安制作会社(制作費18万円)に依頼し、医療広告ガイドライン違反で行政指導を受けました。

さらに深刻だった問題

  • 地域の歯科医師会からの警告
  • 患者さんからの信頼失墜
  • 近隣医院からの批判
  • スタッフのモチベーション低下

「費用の問題ではなく、地域での信頼を失ったことが最も痛手でした。一度失った信頼を回復するのは本当に大変です」

 

悲惨な結末2:SEO皆無で検索圏外の孤島サイト

大阪府J歯科医院の事例:1年間で新患ゼロ

J院長は「SEO対策込み」という触れ込みの格安業者に25万円で依頼しました。しかし、公開から1年経っても検索経由の新患は一人も来ませんでした。

判明した「SEO対策」の実態
  • タイトルタグに歯科医院名のみ(地域キーワードなし)
  • メタディスクリプション未設定
  • 内部リンク構造が破綻
  • Google検索コンソール未設定
  • サイトマップ未提出

実質的にSEO対策は一切行われておらず、「大阪市 歯科」で検索しても50位以下、院名で検索してもなかなか見つからない状態でした。

競合との比較
  • 同時期に開業した近隣医院(適正価格で制作):月15人の新患
  • J歯科医院(格安制作):月1〜2人の新患

「ホームページがあることすら知られていない状態でした。作った意味がまったくありませんでした」

愛知県K歯科医院の事例:検索ペナルティで完全圏外

K歯科医院の格安業者は「短期間でのSEO効果」を約束し、実際に一時的に検索順位が上がりました。しかし、それは束の間でした。

起こった悲劇
  • Googleペナルティを受けてサイトが検索結果から完全に消失
  • 復旧に専門業者で80万円の費用が必要
  • 復旧までの6ヶ月間、検索経由の集患が完全にストップ
  • 機会損失は推定400万円以上

「違法なSEO手法を使われていたようです。短期的な効果を狙って、長期的に大きな損失を被りました」

 

悲惨な結末3:サポート放棄で修復不可能な状態

神奈川県L歯科医院の事例:会社消失で完全孤立

L院長は「アフターサポート万全」という格安業者に20万円で依頼しました。しかし、制作から8ヶ月後、突然会社と連絡が取れなくなりました。

起こった問題
  • 会社の電話が不通、メールも返信なし
  • サーバー費用未払いでサイトが突然停止
  • 修正したい箇所があっても対応不可
  • データのバックアップも取られていない
復旧にかかった費用と時間
  • 別業者での緊急復旧:60万円
  • データ復旧作業:30万円
  • 新規ドメインでの再構築:50万円
  • 復旧までの期間:3ヶ月

「サーバー管理を業者任せにしていたのが失敗でした。格安業者は経営が不安定で、いつ消えるかわからないリスクがあります」

福岡県M歯科医院の事例:技術力不足で改善不可能

M歯科医院は格安業者の技術力不足により、必要な修正・改善ができない状況に陥りました。

  • WordPress管理画面にログインできなくなった • スマートフォン対応の修正ができない
    • 問い合わせフォームが機能しない • サイトが頻繁にエラーを起こす

「技術的な問題が発生するたびに『対応できません』の一点張り。結局、最初から作り直すしかありませんでした」

 

格安業者の正体:なぜそんなに安くできるのか

なぜ格安業者はそれほど安い価格を提示できるのでしょうか。その仕組みを理解することで、リスクを回避できます。

テンプレートの使い回し

格安業者の多くは、既存のテンプレートを少し修正するだけで「オリジナルサイト」として納品します。デザインや構成はほぼ同じで、写真と文章を差し替えるだけの作業です。

専門知識の欠如

医療広告ガイドライン、歯科特有のSEO対策、患者心理などの専門知識は一切ありません。一般企業向けの制作手法をそのまま歯科医院に適用するだけです。

サポート体制の不備

格安価格を実現するため、制作後のサポートは最小限に抑えられています。技術的な問題が発生しても、十分な対応は期待できません。

下請け構造の活用

実際の制作作業は海外の安価な労働力や経験の浅いフリーランスに外注し、コストを極限まで削減しています。

 

失敗から学ぶ:適正価格の見極め方

これらの失敗事例から学ぶべき教訓と、適正価格の見極め方をまとめます。

歯科医院ホームページの適正価格帯

歯科医院のホームページ制作における適正価格は、以下の通りです。

基本的なサイト:50万円〜80万円
  • 医療広告ガイドライン完全対応
  • 基本的なSEO対策
  • スマートフォン対応
  • 継続的なサポート体制
高機能サイト:80万円〜150万円
  • 高度なSEO戦略
  • マーケティング機能
  • 専門的なコンテンツ制作
  • 充実したアフターサポート

格安業者を避けるべき理由

40万円を下回る制作費の場合、必要な作業が省略されている可能性が高いです。特に30万円以下の場合は、ほぼ確実に問題が発生します。

適正業者の見極めポイント
  • 歯科医院の制作実績が豊富
  • 医療広告ガイドラインについて詳しく説明できる
  • 具体的なSEO戦略を提示できる
  • 制作後のサポート体制が明確
  • 料金の内訳が透明
契約前の必須確認事項
  • 過去のクライアントの声を聞く
  • 実際の成果事例を数値で確認する
  • サポート範囲と期間を明確にする
  • 追加費用の発生条件を確認する
  • 契約解除時の対応を確認する

格安だからといって飛びつくのではなく、長期的な視点で投資対効果を考えることが重要です。適正価格を支払って信頼できる業者を選ぶことが、結果的に最も経済的な選択となります。

まとめ

格安ホームページ制作は医療ガイドライン違反、SEO対策皆無、サポート放棄などの深刻な問題を引き起こします。12万円の節約が300万円の損失につながった事例もあり、短期的な節約が長期的な大損失をもたらします。歯科医院の適正制作費は50万円以上であり、専門知識とサポート体制を重視した業者選びが、結果的に最も経済的で安全な選択です。

投稿者プロフィール

NAOKI OZAWA
歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。

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