「無痛治療」「最新技術」はNG?歯科サイトで使ってはいけない表現集
「当院では無痛治療を行っています」「最新技術による安全な治療」「地域No.1の実績」これらの表現は、多くの歯科医院ホームページで見かける文言ですが、実はすべて医療広告ガイドライン違反の可能性があります。2024年の厚生労働省調査では、歯科医院ホームページの73%で何らかの不適切表現が確認されており、その多くが院長の認識不足によるものでした。
特に「知らず知らずのうちに違反表現を使っていた」というケースが急増しており、行政指導を受けてから慌てて修正する医院が後を絶ちません。一度違反が発覚すると、改善まで最低30日間はかかり、その間の集患機会損失は計り知れません。本記事では、歯科医院が使いがちな危険な表現を具体例とともに紹介し、代替表現まで詳しく解説します。適法で魅力的なホームページ作りのための必読ガイドです。
目次
1. 効果・安全性に関するNG表現
2. 技術・設備に関するNG表現
3. 医師・スタッフに関するNG表現
4. 実績・評価に関するNG表現
5. 料金・サービスに関するNG表現
6. 代替表現の作り方とコツ
7. まとめ
1. 効果・安全性に関するNG表現
痛みに関する表現
絶対NG表現:「無痛治療」「痛みゼロ」「完全無痛」「痛くない治療」
これらの表現は、医療行為において「絶対」や「完全」を保証することはできないため、誇大広告に該当します。個人差や症状の程度により、完全に痛みを除去できない場合があるためです。
適法な代替表現:「痛みの軽減に配慮した治療」「麻酔を使用し、患者様の負担を最小限に抑えるよう努めています」「痛みを和らげる工夫をしています(※個人差があります)」
安全性に関する表現
絶対NG表現:「100%安全」「絶対安全」「副作用なし」「リスクゼロ」
医療行為には必ずリスクが伴うため、これらの断定的表現は明確な違反となります。
適法な代替表現:「安全性に最大限配慮した治療」「リスクを最小限に抑える取り組み」「十分な説明とご同意をいただいた上で治療を行います」
治療効果に関する表現
絶対NG表現:「確実に治る」「必ず改善」「永久保証」「一生持続」
治療効果には個人差があり、永続性を保証することは不可能なため、これらの表現は禁止されています。
適法な代替表現:「改善を目指した治療」「長期的な維持を目標とした治療」「患者様の状態に応じて最適な治療法をご提案」
2.技術・設備に関するNG表現
技術の優位性表現
絶対NG表現:「最新技術」「最先端技術」「革命的技術」「世界初」
これらの表現は客観的な根拠が必要であり、多くの場合は誇大表現として扱われます。技術の新しさと治療効果は必ずしも比例しないためです。
適法な代替表現:「○○年に導入した△△システム」「当院で採用している治療方法」「○○学会で推奨されている治療法」
設備に関する表現
絶対NG表現:「最高級設備」「日本初導入」「他院にはない設備」
設備の優位性を強調する表現は、比較広告として問題となる可能性があります。
適法な代替表現:「○○年式の△△装置を導入」「デジタルレントゲンシステムを使用」「CT撮影が可能な設備を完備」
NG表現 |
適法な代替表現 |
注意点 |
最新のCT |
○○年導入のCT装置 |
導入年を明記 |
高性能マイクロスコープ |
○○倍まで拡大可能な顕微鏡 |
具体的な仕様を記載 |
最先端レーザー治療器 |
レーザー治療器を使用した治療 |
効果は別途説明 |
3.医師・スタッフに関するNG表現
医師の技術・経験に関する表現
絶対NG表現:「ゴッドハンド」「インプラントのスペシャリスト」「○○の権威」「名医」
医師個人を過度に称賛する表現は、客観的な根拠がなく誇大広告となります。
適法な代替表現:「日本口腔インプラント学会認定医」「○○大学歯学部卒業」「インプラント治療経験○○年」「学会発表実績○○件」
経歴・資格に関する表現
絶対NG表現:「日本屈指の技術者」「業界トップクラス」「他の医師とは違う」
比較表現や主観的な評価は避けるべきです。
適法な代替表現:取得している具体的な認定資格、学位、所属学会名、研修歴、論文発表実績などの客観的事実のみを記載します。
スタッフの紹介表現
絶対NG表現:「優秀なスタッフ」「経験豊富なベテラン」「親切丁寧なスタッフ」
主観的な評価表現ではなく、客観的な情報の提供が必要です。
適法な代替表現:「歯科衛生士資格保有」「勤務年数○年」「○○研修修了」「担当業務:予防歯科、ブラッシング指導」
4.実績・評価に関するNG表現
患者数・症例数に関する表現
絶対NG表現:「地域No.1の患者数」「症例数地域最多」「多くの患者様に選ばれています」
比較表現や曖昧な表現は、客観的な根拠がないため違反となります。
適法な代替表現:「開院以来○○人の患者様にご来院いただいています(○年○月時点)」「インプラント治療症例○○例(○年○月〜○年○月)」
地域での評価表現
絶対NG表現:「地域で評判の歯科医院」「口コミNo.1」「患者満足度100%」
地域での評価や満足度を表現する際は、具体的な調査データが必要です。
適法な代替表現:「○○地区で○年間診療を続けています」「地域の皆様のかかりつけ歯科医院として」「患者様アンケート結果(回答数○件、○年○月実施)」
治療成功率に関する表現
絶対NG表現:「成功率100%」「失敗例ゼロ」「必ず成功する治療」
治療成功率の表現には、明確な定義と統計的根拠が必要です。
適法な代替表現:「当院での○○治療において、過去○年間で○○の成績を収めています(○年○月〜○年○月、症例数○例)」※学術的根拠がある場合のみ
5.料金・サービスに関するNG表現
料金の安さを強調する表現
絶対NG表現:「格安治療」「業界最安値」「他院より安い」「お得な料金」
料金の比較表現や「安さ」を過度に強調する表現は、医療の質に対する誤解を招く可能性があります。
適法な代替表現:「インプラント治療:○○万円〜○○万円(税込、検査・手術・上部構造含む)」「治療費についてはカウンセリング時に詳しくご説明いたします」
サービス内容に関する表現
絶対NG表現:「最高のサービス」「他院では受けられない治療」「特別な治療法」
サービスの優位性を主観的に表現することは避けるべきです。
適法な代替表現:「土曜・日曜診療対応」「急患対応可能」「バリアフリー設計」「キッズスペース完備」など、具体的なサービス内容を記載します。
保証に関する表現
絶対NG表現:「永久保証」「一生涯保証」「完全保証」
医療行為において永続的な保証は不可能なため、これらの表現は禁止されています。
適法な代替表現:「○年間の定期メンテナンス」「治療後○年間のフォローアップ」「保証内容については治療前に詳しくご説明いたします」
6.代替表現の作り方とコツ
客観的事実に基づく表現
適法な表現を作成する際の基本原則は、客観的事実のみを記載することです。感情的な表現や主観的な評価は避け、数値や資格、年月日などの具体的なデータを用いることが重要です。
例えば、「痛みの少ない治療」ではなく「表面麻酔と電動注射器を使用し、注射時の痛みを和らげる工夫をしています」のように、具体的な手法を説明する方が適法かつ説得力があります。
個人差の明記
医療行為には必ず個人差があるため、効果や結果について言及する際は「個人差があります」「効果を保証するものではありません」といった注釈を併記することが重要です。
根拠の明示
技術や設備について説明する際は、その根拠となる情報を明示しましょう。学会のガイドライン、論文、製造メーカーの公式情報などを参考にし、出典を明確にすることで信頼性が向上します。
ポジティブ表現への変換
NG表現をそのまま削除するのではなく、同じ内容をより適切な表現に変換することで、患者への訴求力を保ちながら法令遵守を実現できます。
「最新技術による治療」→「○○学会で推奨されている治療法を採用」 「無痛治療」→「痛みを最小限に抑える取り組み」 「100%安全」→「安全性を最重視した治療方針」
このように、伝えたい内容の本質を保ちながら、適法な表現に変換することが可能です。
7.まとめ
歯科医院ホームページにおける表現規制は、患者保護の観点から年々厳しくなっています。しかし、これらの制限は決してマーケティング活動を阻害するものではありません。適切な表現を用いることで、患者に正確な情報を提供し、信頼関係を構築することができます。
重要なのは、患者の立場に立った誠実な情報発信を心がけることです。誇大表現に頼らず、医院の特徴や取り組みを具体的かつ客観的に伝えることで、真に患者に選ばれる医院となることができます。
定期的な表現チェックと継続的な改善により、法令遵守と効果的な情報発信の両立を目指しましょう。患者の信頼と安心を第一に考えた、適法で魅力的なホームページ運営が、長期的な医院発展の基盤となります。
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