「医療広告ガイドライン違反」で指導を受けたらどうする?対応手順

目次
1. 医療広告ガイドライン違反の指導から罰則までの流れ
2. よくある違反事例と指導内容
3. 指導を受けた場合の初動対応(24時間以内)
4. 改善報告書の書き方と提出手順
5. 再発防止策の具体的な実施方法
6. 指導歴が残る影響と信用回復の方法
7. まとめ

 

1. 医療広告ガイドライン違反の指導から罰則までの流れ

医療広告ガイドライン違反が発覚すると、どのような流れで対応が進むのか解説します。

発覚のきっかけ

違反が発覚するきっかけは、主に以下の3つです。

きっかけ1: 患者からの通報

「この医院の広告、おかしいのでは?」という患者からの通報が、保健所や都道府県の医療安全課に寄せられます。

きっかけ2: 保健所の定期監視

保健所が定期的にWebサイトを巡回し、違反を発見します。特に「ホワイトニング」「審美歯科」「インプラント」など、自費診療を扱う医院は監視対象になりやすいです。

きっかけ3: ネット医療広告監視事業

厚生労働省が委託した民間業者が、インターネット上の医療広告を監視しています(2018年開始)。AIで大量のサイトをスキャンし、違反の疑いがあるサイトをリストアップします。

 

指導から罰則までの流れ

ステップ1: 事前調査(医院は気づかない)

保健所が、違反の疑いがあるHPのスクリーンショット、URLなどを証拠として収集します。

ステップ2: 電話または文書での連絡

保健所から医院に、「HPに医療広告ガイドライン違反の疑いがあります」と電話または文書で連絡が来ます。

ステップ3: 事情聴取(任意)

保健所に呼ばれ、または保健所職員が医院を訪問し、事情を聴取されます。

ステップ4: 行政指導(口頭または文書)

違反が確認された場合、「改善してください」という行政指導が出されます。多くの場合、「1週間以内に該当部分を削除・修正し、報告してください」という期限が設定されます。

ステップ5: 改善報告書の提出

医院側が、該当部分を修正し、改善報告書を提出します。

ステップ6: 改善確認

保健所が、実際にHPを確認し、改善されたことを確認します。これで終了(良好なケース)。

ステップ7: 改善命令(行政指導に従わない場合)

行政指導に従わず、改善しない場合、より強い「改善命令」が出されます。

ステップ8: 罰則(改善命令にも従わない場合)

改善命令にも従わない場合、罰則が科されます。

  • 罰金: 最大30万円
  • 業務停止命令(極めて悪質な場合)
  • 医師免許の行政処分(極めて悪質な場合)

CC歯科医院の実例

東京都のCC歯科医院は、HPに「絶対に痛くない無痛治療」「芸能人の〇〇さんも通院」と記載していました。

流れ:

  • 患者からの通報 → 保健所が調査
  • 保健所から電話「広告に問題がある」
  • 事情聴取(保健所に呼ばれる)
  • 行政指導「1週間以内に削除」
  • CC歯科医院が即座に削除、改善報告書を提出
  • 保健所が確認、終了

結果: 罰則なし、ただし指導歴は記録に残る

2.よくある違反事例と指導内容

実際に指導を受けた事例を紹介します。

違反事例1: 「絶対」「必ず」などの断定表現

違反内容: HPに「絶対に痛くない治療」と記載

指導内容: 「絶対」は効果を保証する表現であり、医療広告ガイドライン違反。「痛みの少ない治療を心がけています」など、断定しない表現に変更すること。

修正例:

  • ❌ 「絶対に痛くない」
  • ⭕ 「痛みを最小限に抑える工夫をしています」

違反事例2: ビフォーアフター写真のみの掲載

違反内容: ホワイトニングのビフォーアフター写真を掲載しているが、治療内容・費用・リスクの記載なし

指導内容: ビフォーアフター写真を掲載する場合、以下を併記すること。

  • 治療内容
  • 費用
  • 期間・回数
  • リスク・副作用
  • 「効果には個人差があります」という注意書き

修正例:

【ホワイトニング症例】

治療内容: オフィスホワイトニング

費用: 40,000円(税別)

期間: 1回、60分

リスク: 一時的な知覚過敏の可能性

注意: 効果には個人差があります

違反事例3: 「No.1」「最高」などの最上級表現

違反内容: HPに「地域No.1の技術」と記載

指導内容: 客観的な根拠がない最上級表現は違反。削除すること。

修正例:

  • ❌ 「No.1の技術」
  • ⭕ 「〇〇学会認定医が在籍」(客観的事実ならOK)

違反事例4: 虚偽の著名人推薦

違反内容: HPに「芸能人の〇〇さんも通院しています」と記載(実際には通院していない)

指導内容: 虚偽広告に該当。即座に削除すること。悪質な場合、罰則の可能性。

違反事例5: 体験談の掲載

違反内容: 患者の「ここで治療してもらって、本当に良かった」というコメントを掲載

指導内容: 患者の体験談は、誘引性が高く、客観性を欠くため原則禁止。削除すること。

例外: 学会発表や論文での症例報告は可能(医学的・学術的な情報提供として認められる)

3.指導を受けた場合の初動対応(24時間以内)

指導を受けたら、迅速かつ誠実に対応することが重要です。

 

ステップ1: 冷静に事実確認(1時間以内)

保健所からの連絡を受けたら、まず冷静に事実を確認します。

確認事項:

  • どの部分が違反とされているか
  • どのガイドラインに違反しているか
  • 改善期限はいつか
  • 提出すべき書類は何か

感情的にならず、メモを取りながら聞きます。

ステップ2: 該当部分の即座の削除・修正(3時間以内)

指摘された該当部分を、速やかに削除または修正します。

対応方法:

  • 自分で修正できる場合: 即座に修正
  • 制作会社に依頼する場合: 「緊急対応」として即日対応を依頼

注意: 削除・修正前のスクリーンショットを保存しておく(改善報告書に添付するため)

ステップ3: 制作会社・顧問弁護士への連絡(6時間以内)

  • 制作会社: HPの修正依頼、今後の再発防止策の相談
  • 顧問弁護士: 法的な対応の相談(悪質な違反の場合)

ステップ4: 院内での情報共有(12時間以内)

スタッフに、以下を共有します。

  • 保健所から指導を受けたこと
  • 該当部分を修正したこと
  • 今後の再発防止策

スタッフが患者から「HPが変わりましたね」と聞かれた場合の対応も決めておきます。

対応例: 「表現を見直しました」(詳細は言わない)

ステップ5: 改善報告書の作成開始(24時間以内)

改善報告書の作成を開始します(詳細は次章)。

4.改善報告書の書き方と提出手順

保健所に提出する改善報告書の書き方を解説します。

 

改善報告書に含めるべき項目

  1. 件名

「医療広告に関する改善報告について」

  1. 日付・宛先

〇〇年〇月〇日 〇〇保健所長 殿

  1. 医院情報

医療機関名: 〇〇歯科クリニック 院長氏名: △△ 住所: 〇〇県〇〇市〇〇 電話番号: 03-1234-5678

  1. 経緯

令和〇年〇月〇日に、貴所より医療広告ガイドラインに関する行政指導を受けました。

  1. 違反内容の認識

当院のホームページにおいて、以下の表現が医療広告ガイドラインに違反していることを認識いたしました。

  • 「絶対に痛くない治療」という断定表現
  • ビフォーアフター写真のみの掲載(治療内容・費用・リスクの記載なし)
  1. 改善内容

違反箇所を以下のとおり修正いたしました。

修正前: 「絶対に痛くない治療」

修正後: 「痛みを最小限に抑える工夫をしています」

(スクリーンショットを添付)

  1. 再発防止策

今後、同様の事態が発生しないよう、以下の再発防止策を実施いたします。

  • 医療広告ガイドラインの再確認
  • スタッフへの教育・研修
  • HP更新時のダブルチェック体制の構築
  • 外部専門家によるチェック
  1. お詫び

この度は、医療広告ガイドラインに対する認識不足により、ご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます。

今後は、法令遵守を徹底し、適切な広告活動を行ってまいります。

  1. 署名

令和〇年〇月〇日 〇〇歯科クリニック 院長 △△ 印

提出方法

提出先: 指導を受けた保健所 提出期限: 指定された期限内(通常1週間以内) 提出方法: 郵送または持参(メールでの提出が認められる場合もあり、事前に確認)

DD歯科医院の改善報告書例

DD歯科医院は、「絶対に痛くない治療」という表現で指導を受けました。以下の改善報告書を提出し、受理されました。

医療広告に関する改善報告について

 

令和6年12月28日

〇〇保健所長 殿

 

医療機関名: DD歯科クリニック

院長氏名: 田中太郎

住所: 東京都渋谷区〇〇1-2-3

電話番号: 03-1234-5678

 

令和6年12月20日に、貴所より医療広告ガイドラインに関する行政指導を受けました。

 

当院のホームページにおいて、「絶対に痛くない治療」という表現が、医療広告ガイドラインに違反していることを認識いたしました。

 

違反箇所を以下のとおり修正いたしました。

 

【修正前】

「絶対に痛くない治療を提供します」

 

【修正後】

「痛みを最小限に抑えるため、麻酔や治療方法を工夫しています」

 

(修正前後のスクリーンショットを別紙に添付)

 

今後、同様の事態が発生しないよう、以下の再発防止策を実施いたします。

 

  1. 医療広告ガイドラインの再確認
  2. スタッフへの教育・研修(毎月実施)
  3. HP更新時、院長とスタッフのダブルチェック
  4. 外部の医療広告専門家による年1回の監査

 

この度は、医療広告ガイドラインに対する認識不足により、ご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます。

 

今後は、法令遵守を徹底し、適切な広告活動を行ってまいります。

 

令和6年12月28日

DD歯科クリニック

院長 田中太郎 印

5.再発防止策の具体的な実施方法

改善報告書に記載した再発防止策を、実際に実施します。

再発防止策1: 医療広告ガイドラインの再確認

実施内容:

  • 厚生労働省のHPから、最新の医療広告ガイドラインをダウンロード
  • 院長とスタッフで読み合わせ
  • 自院のHPが違反していないか、再度チェック

頻度: 年1回、ガイドライン改正時

再発防止策2: スタッフへの教育・研修

実施内容:

  • 月1回、朝礼で「医療広告ガイドラインクイズ」を実施
  • 外部講師を招いて、年1回研修会を開催

研修内容例:

  • 禁止表現の確認(「絶対」「No.1」「必ず」等)
  • ビフォーアフター写真の掲載ルール
  • 患者の体験談の掲載禁止

再発防止策3: HP更新時のダブルチェック体制

実施内容:

  • HPに新しいコンテンツを追加する際、必ず院長とスタッフ(または制作会社)のダブルチェック
  • チェックリストを作成し、毎回確認

チェックリスト例:

□ 「絶対」「必ず」などの断定表現なし

□ 「No.1」「最高」などの最上級表現なし

□ ビフォーアフター写真に、治療内容・費用・リスクを併記

□ 患者の体験談なし

□ 虚偽の著名人推薦なし

再発防止策4: 外部専門家による年1回の監査

実施内容:

  • 医療広告に詳しい弁護士または専門会社に、年1回HPの監査を依頼
  • 違反の疑いがある部分を指摘してもらい、修正

費用: 5〜15万円/回

6.指導歴が残る影響と信用回復の方法

行政指導を受けると、記録が残ります。その影響と信用回復の方法を解説します。

指導歴の保管期間

行政指導の記録は、保健所に一定期間保管されます。一般的には5年程度と言われていますが、自治体により異なります。

指導歴の影響

影響1: 再指導時の厳格化

同じ医院が再び違反した場合、「前回も指導したのに」ということで、より厳しい対応(改善命令、罰則等)が取られる可能性があります。

影響2: 公表されるリスク

悪質な違反、または改善命令に従わない場合、医院名が公表されることがあります(都道府県のHPに掲載)。

公表されると、メディアに報道され、信用失墜、患者離れにつながります。

影響3: 補助金・許認可への影響

一部の補助金申請や許認可申請で、「過去に行政指導を受けたことがあるか」を問われる場合があります。

信用回復の方法

方法1: 再発防止の徹底

二度と同じ過ちを繰り返さないよう、再発防止策を確実に実施します。

方法2: 患者への誠実な対応

指導を受けたこと自体を患者に告知する必要はありませんが、「HPの表現を見直しました」と院内で説明するなど、誠実な姿勢を示します。

方法3: コンプライアンス意識の向上

法令遵守を医院の方針として明確にし、スタッフ全員で共有します。

7.まとめ

医療広告ガイドライン違反で指導を受けたら、迅速に該当部分を削除・修正し、改善報告書を提出することが重要です。感情的にならず、誠実に対応すれば、罰則まで至ることはほとんどありません。再発防止策を徹底し、信用を回復しましょう。

指導を受けた場合の対応フロー

  1. 保健所からの連絡(電話・文書)

  1. 事実確認(1時間以内)

  1. 該当部分の削除・修正(3時間以内)

  1. 制作会社・弁護士への連絡(6時間以内)

  1. 院内での情報共有(12時間以内)

  1. 改善報告書の作成・提出(1週間以内)

  1. 保健所による確認

  1. 再発防止策の実施

改善報告書に含めるべき項目

  1. 件名
  2. 日付・宛先
  3. 医院情報
  4. 経緯
  5. 違反内容の認識
  6. 改善内容(修正前後のスクリーンショット添付)
  7. 再発防止策
  8. お詫び
  9. 署名・捺印

再発防止策4つ

  1. 医療広告ガイドラインの再確認(年1回)
  2. スタッフへの教育・研修(月1回)
  3. HP更新時のダブルチェック体制
  4. 外部専門家による年1回の監査

今日からできるアクション

  1. □ 自院のHPが違反していないかチェック
  2. □ 医療広告ガイドラインを再読
  3. □ スタッフと禁止表現を共有
  4. □ HP更新時のチェックリストを作成
  5. □ 制作会社に「ガイドライン遵守」を依頼

最後に

指導を受けることは恥ずかしいことですが、適切に対応すれば大きな問題にはなりません。重要なのは、指導を「学びの機会」と捉え、再発防止に努めることです。

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投稿者プロフィール

NAOKI OZAWA
歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。

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