スマホ撮影でもOK!歯科医院HPに使える写真の撮り方【機材不要】
「ホームページに載せる写真を撮りたいけど、プロに頼む予算がない」「とりあえず自分たちで撮ってみたけど、なんだかパッとしない」。そんな悩みを抱えている先生は多いのではないでしょうか。
実は、スマートフォンのカメラ性能は年々向上しており、いくつかのポイントを押さえれば、ホームページに十分使えるクオリティの写真を撮影できます。本記事では、特別な機材を使わずにスマートフォンだけで、歯科医院のホームページに使える写真を撮るコツを解説します。
目次
1. スマホ撮影でも大丈夫な理由
2. 撮影前の準備が写真の質を決める
3. 院内写真の撮り方
4. 人物写真の撮り方
5. 診療風景の撮り方
6. 設備・機器の撮り方
7. 撮影後の簡単な補正テクニック
8. よくある失敗と対処法
9. まとめ
1.スマホ撮影でも大丈夫な理由

最新のスマートフォンに搭載されているカメラは、数年前の一眼レフカメラに匹敵する性能を持っています。特にiPhoneやGoogle Pixel、Galaxyといった主要機種は、暗所での撮影性能やポートレートモードなど、プロ仕様に近い機能を備えています。
ホームページに掲載する写真は、印刷物ほどの高解像度を必要としません。Web表示に適したサイズであれば、スマートフォンで撮影した写真で十分対応できます。
むしろ重要なのは、カメラの性能よりも「何を」「どう撮るか」という撮影者の意図と技術です。高価なカメラを使っても、構図や光の使い方が悪ければ良い写真にはなりません。逆に、スマートフォンでも基本を押さえれば、ホームページの印象を大きく向上させる写真が撮れます。
プロのカメラマンに依頼する予算がある場合はそれがベストですが、まずは自分たちで撮影してみて、必要に応じてプロに依頼する部分を見極めるというアプローチも現実的です。
2.撮影前の準備が写真の質を決める
レンズを拭く
最も基本的でありながら、最も見落とされがちなのがレンズの汚れです。スマートフォンはポケットやカバンに入れて持ち歩くため、レンズに指紋や皮脂がついていることがほとんどです。
汚れたレンズで撮影すると、写真全体がぼんやりと霞んだようになったり、光がにじんだりします。撮影前には必ず、柔らかい布やメガネ拭きでレンズを丁寧に拭いてください。これだけで写真の鮮明さが大きく変わります。
撮影場所の整理整頓
写真に写り込む範囲を確認し、不要なものを片付けます。普段は気にならない小さなものでも、写真になると目立つことがあります。
受付周りであれば、書類の山、私物、使用済みのペンなどを整理します。診療室では、使いかけの材料、散らかったトレー、患者さんの私物が残っていないかを確認します。待合室では、雑誌の乱れ、ゴミ箱の位置、掲示物の曲がりなどをチェックします。
逆に、意図的に配置するものもあります。受付にきれいな花を飾る、待合室のテーブルに整った雑誌を置くなど、写真映えする小物を用意しておくと、空間の印象が良くなります。
光の状態を確認する
写真の印象を最も大きく左右するのが「光」です。同じ場所でも、光の状態によってまったく異なる印象の写真になります。
自然光が入る場所では、晴れた日の午前中から昼過ぎにかけてが最も撮影に適しています。直射日光は影が強くなりすぎるため、薄曇りの日やカーテン越しの柔らかい光が理想的です。
人工照明のみの場所では、照明の色味に注意します。蛍光灯は青白く、白熱灯は黄色っぽく写ります。複数の種類の照明が混在していると、不自然な色味になりやすいです。可能であれば、同じ種類の照明で統一された状態で撮影します。
3.院内写真の撮り方

受付・待合室
受付と待合室は、患者さんが最初に目にする空間であり、医院の第一印象を決める重要なエリアです。清潔感と温かみが伝わる写真を目指します。
撮影のポイントとして、まず広角で全体を捉えることが挙げられます。スマートフォンの標準カメラは比較的広角なので、部屋の角から対角線方向に撮影すると空間の広がりを表現できます。ただし、広角すぎると歪みが目立つため、超広角レンズは避けるか、歪みを後から補正します。
高さは人の目線の高さ、または少し低めから撮影すると自然な印象になります。高すぎる位置から見下ろすように撮ると、監視カメラのような不自然な構図になってしまいます。
受付カウンターを撮影する際は、スタッフに立ってもらうと生活感が出て温かみが増します。無人の受付は冷たい印象になりがちです。
診療室
診療室の写真は、患者さんに「ここで治療を受けても大丈夫そう」という安心感を与えることが目的です。清潔感、設備の充実、明るい雰囲気が伝わるように撮影します。
診療チェアを中心に撮影する場合、チェアを起こした状態と倒した状態、両方を撮影しておくと使い分けができます。チェアの周囲に余計なものが写り込んでいないか確認します。
複数の診療室がある場合は、最も状態の良い部屋を選んで撮影します。すべての部屋を撮影する必要はありません。
診療室全体を撮影する際は、天井の照明が入るように少し見上げる角度で撮ると、明るく清潔な印象になります。
外観
外観写真は、患者さんが医院を訪れる際の目印になる重要な写真です。「この建物が医院だ」とわかるように撮影します。
撮影のタイミングは、看板がはっきり見える時間帯を選びます。逆光になる時間帯は避け、看板に光が当たって読みやすい状態で撮影します。夜間にライトアップされる看板がある場合は、夕方から夜にかけての撮影も効果的です。
建物全体と看板のアップ、両方を撮影しておきます。周囲の目印になる建物やコンビニなども一緒に写っていると、初めて来院する患者さんの参考になります。
電線や通行人、ゴミ収集日のゴミなどが写り込まないタイミングを選びます。可能であれば、早朝など人通りの少ない時間帯がおすすめです。
4.人物写真の撮り方
院長・スタッフのポートレート
院長やスタッフの写真は、医院の印象を大きく左右します。「この人に診てもらいたい」「この医院で働きたい」と思ってもらえる写真を目指します。
背景はシンプルなものを選びます。白い壁、院内の落ち着いたスペースなど、人物が引き立つ背景が理想です。ごちゃごちゃした背景は人物の印象を損ないます。スマートフォンのポートレートモードを使うと、背景をぼかして人物を際立たせることができます。
光は、窓際の自然光が最も美しく撮れます。窓を背にすると逆光で顔が暗くなるため、窓に向かって立ち、窓からの光が顔を照らす位置で撮影します。
服装は清潔感のある白衣やスクラブを着用します。シワや汚れがないか事前に確認します。名札は正しい位置につけ、曲がっていないかチェックします。
自然な表情を引き出すコツ
「笑ってください」と言われて自然に笑える人は多くありません。硬い表情の写真は、医院全体の印象も硬くしてしまいます。
自然な表情を引き出すコツとして、まず会話をしながら撮影することが挙げられます。「最近あった面白いこと」「好きな食べ物の話」など、リラックスできる話題で会話しながら、良い表情の瞬間を捉えます。
連続撮影モードを活用するのも効果的です。1枚だけ撮るのではなく、連続で何枚も撮影し、その中から最も良い表情のものを選びます。スマートフォンではシャッターボタンを長押しすると連続撮影できる機種が多いです。
「笑って」ではなく「口角を少し上げて」と具体的に指示する方法もあります。あるいは、「〇〇さんのこと思い出して」など、自然と笑顔になるような声かけをします。
集合写真の撮り方
スタッフ全員の集合写真は、チームの雰囲気を伝える重要な写真です。
並び方は、身長差を考慮して自然なバランスになるよう調整します。背の高い人を中央や後列に、小柄な人を前列にするのが基本です。人数が多い場合は、2列または3列に並びます。
全員の顔がはっきり見えるように、前後の間隔を調整します。後列の人は、前列の人の肩と肩の間に顔が来るようにずれて立ちます。
撮影者は、全員が画面に収まる距離まで下がります。端の人が切れないように余裕を持ったフレーミングにします。必要に応じて横向き(ランドスケープ)で撮影します。
5.診療風景の撮り方

患者役の設定
診療風景の写真は、実際の患者さんを撮影することはプライバシーの観点から避けるべきです。スタッフや家族に患者役をお願いして撮影します。
患者役の人には、私服で来てもらいます。白衣やスクラブを着ていると「スタッフが患者役をしている」ことが明らかになってしまいます。年齢層は、医院のターゲット患者層に合わせると効果的です。ファミリー層がターゲットなら子どもやお母さん世代、高齢者が多いなら年配の方にお願いします。
患者役の表情は、リラックスした自然な様子が理想です。極端に笑顔を作る必要はありませんが、緊張した表情は避けます。
アングルと構図
診療風景は、患者さんの視点と第三者の視点、両方を意識して撮影します。
患者さんの視点からの写真は、チェアに座った状態から見上げる角度で撮影します。患者さんが実際に見る景色を再現することで、「こういう感じで治療を受けるんだ」というイメージを伝えられます。
第三者の視点からの写真は、診療室のやや離れた位置から、医師と患者さんのやり取りが見える角度で撮影します。医師が患者さんに説明している様子、スタッフがサポートしている様子など、医院の診療スタイルが伝わる場面を捉えます。
いずれの場合も、患者役の顔がはっきり写りすぎないよう配慮します。横顔や後ろ姿、あるいは口元だけのアップなど、顔全体が特定されにくいアングルを選ぶのも一つの方法です。
避けるべきNG例
診療風景の撮影では、以下のような写真は避けます。
実際の診療器具が口腔内に入っている様子は、恐怖感を与える可能性があります。器具を見せる場合は、患者さんに説明している場面など、使用前の状態が望ましいです。
血液や唾液が写り込んでいる写真は、不衛生な印象を与えます。撮影前に清潔な状態であることを確認します。
スタッフが無表情や険しい表情をしている写真も避けます。真剣な表情は良いですが、怖い印象を与えないよう注意します。
6.設備・機器の撮り方
歯科用CTやマイクロスコープなど、医院の設備をアピールする写真も重要です。
設備単体の写真は、機器全体が収まるように撮影します。斜め前からのアングルが立体感が出て見栄えが良くなります。正面からの写真は平面的になりがちです。
背景に余計なものが写り込まないよう注意します。周囲を片付けるか、機器に寄って背景を画面外に出します。
機器の名称やメーカーがわかるプレートやロゴが見える角度で撮影すると、信頼性が増します。ただし、患者さんの個人情報が写り込む可能性がある画面表示などは避けます。
使用している様子の写真も効果的です。スタッフがCT撮影の操作をしている場面、マイクロスコープを覗いている場面など、実際に使用していることが伝わる写真は説得力があります。
7.撮影後の簡単な補正テクニック

撮影した写真は、簡単な補正を加えることでさらに見栄えが良くなります。スマートフォンの標準機能でできる補正を紹介します。
明るさの調整
暗すぎる写真は、明るさを上げることで印象が大きく変わります。iPhoneの「写真」アプリやAndroidの「Googleフォト」で、明るさ(露出)のスライダーを少し右に動かすだけで、明るく清潔感のある写真になります。
ただし、明るくしすぎると白飛びして不自然になるため、やりすぎに注意します。
傾きの補正
撮影時に水平が取れていないと、写真全体が傾いて見えます。編集機能の「回転」や「傾き補正」で水平を調整します。多くの編集アプリには自動補正機能があり、ワンタップで傾きを直せます。
トリミング
写り込んでしまった不要なものは、トリミング(切り抜き)で除去できます。また、被写体が小さく写ってしまった場合も、トリミングで拡大することで主題を際立たせられます。
ただし、トリミングしすぎると画質が低下するため、元の写真で適切なフレーミングを心がけることが基本です。
色味の調整
蛍光灯下で撮影した写真が青白くなっている場合、色温度(ホワイトバランス)を調整して自然な色味に近づけられます。「暖かみ」のスライダーを少し右に動かすと、温かみのある色調になります。
8.よくある失敗と対処法
|
よくある失敗 |
原因 |
対処法 |
|
写真がぼやけている |
レンズの汚れ、手ブレ |
レンズを拭く、両手でしっかり構える |
|
暗すぎる |
光量不足、逆光 |
窓際で撮影、照明を追加、後から補正 |
|
人物の顔が暗い |
逆光 |
光源に向かって立ってもらう |
|
背景がごちゃごちゃ |
整理不足 |
事前に片付け、ポートレートモードで背景ぼかし |
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色味が不自然 |
複数の照明が混在 |
照明を統一、後から色温度を補正 |
|
写真が傾いている |
撮影時の姿勢 |
グリッド線を表示して水平を確認 |
|
広角の歪みが目立つ |
超広角レンズの使用 |
標準レンズで撮影、被写体から距離を取る |
撮影時にスマートフォンの設定でグリッド線を表示しておくと、水平・垂直の確認や構図の決定に役立ちます。iPhoneは「設定」→「カメラ」→「グリッド」、Androidは機種により設定場所が異なりますが、カメラアプリの設定内にあることが多いです。
9.まとめ
スマートフォンでも、いくつかのポイントを押さえれば、歯科医院のホームページに十分使えるクオリティの写真を撮影できます。
撮影前の準備として、レンズを拭く、撮影場所を整理する、光の状態を確認するという3点が重要です。院内写真は広角で空間の広がりを、人物写真は自然光を活かして柔らかい印象を、診療風景は患者役を立ててプライバシーに配慮しながら撮影します。
撮影後は、明るさの調整、傾きの補正、トリミングといった簡単な補正を加えることで、さらに見栄えが向上します。
まずは試しに何枚か撮影してみて、うまくいかない部分を確認しながら改善していくのがおすすめです。どうしてもクオリティに満足できない場合や、特に重要な写真(院長ポートレートなど)は、プロのカメラマンに依頼することも検討してください。
株式会社リバティーフェローシップ/東京歯科経営ラボでは、歯科医院のホームページ制作に加え、写真撮影のディレクションやプロカメラマンの手配もサポートしています。「自分で撮った写真を見てほしい」「撮影のアドバイスがほしい」といったご相談もお気軽にどうぞ。
投稿者プロフィール
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歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。
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