開業前から始めるホームページ戦略!オープン初月から新患を獲得する準備
目次
1. はじめに:開業準備で後回しにされがちなホームページ
2. なぜ開業前からホームページが必要なのか
3. 開業までのホームページ制作スケジュール
4. 開業前に決めておくべき5つのこと
5. 開業前ホームページに掲載すべきコンテンツ
6. Googleビジネスプロフィールの事前準備
7. 開業告知の効果的な方法
8. オープン初月の集患を最大化する施策
9. 開業後に追加・更新すべきコンテンツ
10. まとめ:開業成功はホームページ準備で決まる
1.はじめに:開業準備で後回しにされがちなホームページ

開業準備は、やることが山積みです。物件探し、内装工事、医療機器の選定、スタッフ採用、届出書類の作成……。限られた時間の中で優先順位をつけながら進めていく必要があります。
そんな中、ホームページ制作は後回しにされがちです。「オープンしてから作ればいい」「まずは内装と機材を優先しないと」「ホームページなんて1ヶ月あれば作れるでしょ」。こうした考えで、開業直前まで手をつけない先生は少なくありません。
しかし、これは大きな機会損失です。
開業初月から安定した新患を獲得できている医院と、オープンしたのにガラガラの医院。この差は、開業前のホームページ戦略にあると言っても過言ではありません。本記事では、開業前から始めるべきホームページ準備と、オープン初月から新患を獲得するための具体的な施策を解説します.
2.なぜ開業前からホームページが必要なのか
「開業してから作っても遅くないのでは?」という疑問にお答えします。開業前からホームページを準備すべき理由は、大きく3つあります。
理由①:検索エンジンに認識されるまで時間がかかる
ホームページを公開しても、すぐにGoogleの検索結果に表示されるわけではありません。検索エンジンがサイトを認識し、評価し、上位表示されるまでには一定の時間がかかります。一般的に、新規サイトが検索結果に安定して表示されるようになるまで、最低でも1〜3ヶ月は必要です。
オープン日にホームページを公開しても、検索からの流入が本格化するのは1〜3ヶ月後。つまり、開業初月は検索経由の新患がほとんど期待できないことになります。
開業前にホームページを公開しておけば、オープン時点である程度検索エンジンに認識された状態でスタートできます。この差は、初月の集患に大きく影響します。
理由②:患者は開業前から情報収集している
新しい歯科医院ができるとわかると、地域の人は興味を持って調べ始めます。「〇〇駅前に歯医者ができるらしい」「どんな医院なんだろう」「いつオープンするのかな」。こうした関心に応えられるホームページがあれば、開業前から期待感を醸成できます。
逆に、検索しても何も出てこない状態だと、せっかくの関心が他の医院に流れてしまいます。開業前から「近くに新しい歯医者ができる」と認知してもらうことは、オープン初日の来院につながります。
理由③:内覧会や開業告知の受け皿になる
開業前には、内覧会の開催やチラシの配布など、さまざまな告知活動を行います。その際、詳細情報を掲載したホームページがあれば、告知の効果が何倍にも高まります。
チラシを見た人が「もっと詳しく知りたい」と思ったとき、医院名で検索してホームページにたどり着ける状態を作っておくことが重要です。受け皿がないと、せっかくの告知が無駄になってしまいます。
3.開業までのホームページ制作スケジュール

では、具体的にいつから準備を始めればよいのでしょうか。開業までの理想的なスケジュールを示します。
開業6ヶ月前:制作会社の選定・依頼
ホームページ制作会社の選定と依頼は、開業の6ヶ月前には済ませておきたいところです。歯科専門の制作会社であれば、開業準備と並行して効率よく進められます。
この時期に決めておくべきことは、制作会社の選定、大まかな予算の確定、医院のコンセプト・ターゲット層の整理、医院名の決定です。医院名が決まらないと、ドメイン(ホームページのURL)も取得できません。
開業4〜5ヶ月前:企画・設計・ドメイン取得
サイトの構成や掲載内容を決める時期です。制作会社との打ち合わせを重ね、どんなページを作るか、どんな強みを打ち出すかを固めていきます。
この時期にやることは以下の通りです。
- ドメイン(URL)の取得
- サイト構成の決定
- 掲載する診療内容の整理
- 原稿の準備開始
- ロゴデザインの制作(まだの場合)
開業2〜3ヶ月前:デザイン・コンテンツ制作
デザインの制作と、各ページのコンテンツを作り込む時期です。院長プロフィールや診療方針など、原稿の執筆・確認が必要になります。
内装工事が進んでいれば、院内写真の撮影もこの時期に行います。工事中でまだ撮影できない場合は、イメージ写真で仮公開し、後から差し替える方法もあります。
開業1〜2ヶ月前:ホームページ公開
開業の1〜2ヶ月前にはホームページを公開します。この段階では「〇月〇日オープン予定」という告知を前面に出した「開業前バージョン」で構いません。
公開後は、Googleへのインデックス登録を行い、検索エンジンに認識してもらう作業を進めます。Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)の登録もこの時期に行います。
開業直前〜当日:最終調整・正式公開
開業直前に院内写真の差し替え、診療時間の最終確認、予約システムの稼働確認などを行い、正式版として公開します。
|
時期 |
やるべきこと |
|
6ヶ月前 |
制作会社選定、依頼、医院名・コンセプト決定 |
|
4〜5ヶ月前 |
ドメイン取得、サイト構成決定、原稿準備開始 |
|
2〜3ヶ月前 |
デザイン制作、コンテンツ制作、写真撮影 |
|
1〜2ヶ月前 |
ホームページ公開(開業前バージョン)、Googleビジネスプロフィール登録 |
|
開業直前 |
院内写真差し替え、予約システム稼働、正式公開 |
4.開業前に決めておくべき5つのこと
ホームページ制作をスムーズに進めるために、開業前に決めておくべきことがあります。これらが曖昧だと、制作が進まないだけでなく、完成後のホームページもぼんやりした印象になってしまいます。
決めること①:医院名
当然ながら、医院名が決まらないとホームページは作れません。ドメイン(URL)にも医院名を使うことが多いため、早めに確定させましょう。
医院名を決める際のポイントは、読みやすく覚えやすいこと、地域名を入れると検索に有利になる場合があること、同名の医院がないか事前に確認することです。
決めること②:診療コンセプト・強み
「どんな医院にしたいのか」「他院と何が違うのか」を明確にしておく必要があります。これがホームページ全体のメッセージの軸になります。
例えば、「痛みの少ない治療にこだわる」「予防歯科に力を入れる」「小児歯科に特化する」「働く世代が通いやすい診療時間」など、自院の特徴を言語化しておきましょう。
決めること③:ターゲット層
どんな患者さんに来てほしいのかによって、ホームページのデザインや文章のトーンが変わります。
ファミリー層をターゲットにするなら温かみのあるデザイン、ビジネスパーソン向けなら洗練されたデザイン、高齢者が多い地域なら文字を大きく読みやすく、といった具合です。
決めること④:診療時間・休診日
診療時間と休診日は、ホームページに必ず掲載する情報です。開業準備の段階で確定させておきましょう。
土日診療の有無、平日の夜間診療の有無などは、集患に大きく影響するポイントです。地域のニーズや競合医院の状況も踏まえて決定します。
決めること⑤:診療内容・自費メニュー
どの診療科目を掲げるか、自費診療はどこまで対応するかを整理しておきます。ホームページには診療内容ごとのページを作ることが多いため、事前に一覧化しておくと制作がスムーズです。
一般歯科、小児歯科、矯正歯科、口腔外科、予防歯科、審美歯科、ホワイトニング、インプラント、訪問歯科など、対応する診療内容をリストアップしましょう。
5.開業前ホームページに掲載すべきコンテンツ

開業前の段階で公開するホームページには、どんな内容を掲載すべきでしょうか。まだ診療実績がない中でも、伝えられることは多くあります。
必須コンテンツ
開業前の段階で必ず掲載すべき内容は以下の通りです。
医院名・ロゴは、一目で医院名がわかるようにトップページに配置します。
開業予定日は、「〇年〇月〇日(〇)オープン予定」と明確に記載します。カウントダウン表示なども効果的です。
所在地・アクセスは、住所、最寄り駅からの徒歩分数、地図を掲載します。「〇〇駅から徒歩3分」「〇〇交差点すぐ」など、わかりやすい表現を添えましょう。
診療時間・休診日は、表形式で見やすく掲載します。「土曜も診療」「平日夜19時まで」など、特徴があれば強調します。
診療内容は、対応する診療科目の一覧を記載します。詳細ページは開業後に充実させるとしても、概要は掲載しておきましょう。
院長紹介は、プロフィール(経歴、資格)、顔写真、開業への想いやメッセージを掲載します。開業前の段階では院長紹介が最も重要なコンテンツです。
お問い合わせ先は、電話番号、メールアドレス、または問い合わせフォームを設置します。「開業前のお問い合わせはこちら」と明記しておくと親切です。
あると良いコンテンツ
必須ではありませんが、以下のコンテンツがあるとより充実した印象になります。
医院の特徴・コンセプトとして、「当院が大切にしていること」「こんな医院を目指しています」といった想いを伝えるページです。
院内写真・イメージパースは、内装工事が完了していれば実際の写真を、まだであれば設計パースやイメージ画像を掲載します。
設備紹介として、導入予定の医療機器(CT、マイクロスコープなど)があれば紹介します。
内覧会のお知らせは、内覧会を開催する場合、日時・場所・内容を告知するページを作成します。
スタッフ紹介は、開業前に採用が決まっているスタッフがいれば、紹介ページを作っておくと温かみが出ます。
6.Googleビジネスプロフィールの事前準備
ホームページと並んで重要なのが、Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)の登録です。Googleマップに医院情報を表示させるために必須の作業であり、これも開業前から準備を始める必要があります。
Googleビジネスプロフィールとは
Googleで「〇〇市 歯医者」と検索すると、検索結果の上部にGoogleマップと一緒に歯科医院のリストが表示されます。これがGoogleビジネスプロフィールの情報です。
医院名、住所、電話番号、診療時間、口コミ評価、写真などが表示され、多くの患者がここを見て医院を選びます。ホームページと同等、あるいはそれ以上に重要な集患チャネルです。
登録のタイミング
Googleビジネスプロフィールの登録は、開業の1〜2ヶ月前に行うのがおすすめです。登録からオーナー確認(ハガキまたは電話での認証)を経て、情報が反映されるまでに時間がかかるためです。
ただし、開業前に登録する場合、診療開始前は営業時間を設定せず、「開業準備中」の状態で登録することになります。開業日が近づいたら、正式な診療時間を設定します。
登録時に準備するもの
Googleビジネスプロフィールの登録には、以下の情報が必要です。
- 医院名(正式名称)
- 住所(番地まで正確に)
- 電話番号
- ウェブサイトURL
- 診療時間
- 診療カテゴリ(歯科医院)
- 医院の説明文(750文字以内)
- 写真(外観、院内、院長など)
開業前でも登録できる?
開業前でも、住所が確定していればGoogleビジネスプロフィールへの登録は可能です。「開業予定」として登録し、開業日に合わせて正式公開に切り替えます。
ただし、オーナー確認のハガキは登録住所に届くため、内装工事中でポストがない場合などは受け取れません。その場合は、電話認証を選択するか、工事業者に確認して郵便物を受け取れる状態にしておきましょう。
7.開業告知の効果的な方法
ホームページを準備したら、開業を地域に告知する活動を行います。ホームページは告知の「受け皿」として機能し、告知活動との相乗効果で認知を広げていきます。
告知方法①:内覧会の開催
開業前に内覧会を開催し、地域の方に医院を見てもらう方法です。内覧会は開業告知の定番であり、効果的な施策です。
内覧会で意識すべきポイントとして、開業1〜2週間前の土日に開催すること、近隣へのチラシ配布で告知すること、院内を自由に見学できるようにすること、院長・スタッフが直接挨拶すること、予約特典(粗品進呈など)を用意すること、などがあります。
内覧会の告知にも「詳しくはホームページで」と誘導することで、ホームページへのアクセスを増やせます。
告知方法②:チラシ・ポスティング

近隣住宅へのポスティングは、地域密着型の告知方法として今でも有効です。開業告知チラシには、以下の情報を必ず入れましょう。
- 医院名、開業日
- 住所、地図
- 診療時間、電話番号
- 院長の顔写真とメッセージ
- ホームページURL、QRコード
- 内覧会の案内(開催する場合)
チラシを見た人がホームページにアクセスしやすいよう、QRコードは必ず掲載してください。
告知方法③:近隣への挨拶回り
医院の周辺店舗や事業所への挨拶回りも、地域への認知を広げる有効な方法です。近くの飲食店、美容室、スーパー、薬局などに挨拶し、開業のチラシを置かせてもらえないか相談してみましょう。
特に、患者さんを紹介し合える可能性のある業種(介護施設、保育園、企業など)への挨拶は、将来的な連携にもつながります。
告知方法④:SNSでの発信
InstagramやFacebookで開業準備の様子を発信する方法もあります。工事の進捗、機材の搬入、スタッフとの顔合わせなど、「医院ができていく過程」を見せることで、地域の方の興味を引きつけられます。
SNSからホームページへ誘導し、詳細情報を見てもらう流れを作りましょう。
8.オープン初月の集患を最大化する施策
ホームページの準備、Googleビジネスプロフィールの登録、告知活動を行った上で、オープン初月の集患を最大化するための施策を紹介します。
施策①:Web予約システムの稼働
開業初日からWeb予約を受け付けられる状態にしておきましょう。電話予約だけでは、診療時間外の予約を取りこぼしてしまいます。
ホームページに予約ボタンを目立つ位置に配置し、24時間予約を受け付けられる体制を整えます。
施策②:開業記念キャンペーン
オープン初月に来院のきっかけを作るため、開業記念のキャンペーンを実施する医院もあります。
例としては、初診時の歯ブラシプレゼント、ホワイトニング初回割引、無料歯科相談会の実施、紹介特典の設定などがあります。
ただし、医療広告ガイドラインに抵触しない内容にする必要があります。「無料」「割引」の表現には注意が必要なため、不安な場合は専門家に相談しましょう。
施策③:口コミ依頼の準備
開業初月に来院してくれた患者さんには、Googleの口コミ投稿をお願いしましょう。口コミは早い段階から集め始めることが重要です。
口コミ投稿用のQRコードを印刷したカードを用意し、会計時にお渡しする方法が一般的です。「よろしければ、ご感想をお聞かせください」と一言添えるだけでも、投稿率は上がります。
施策④:アクセス解析の設定
オープン初日から、ホームページのアクセス解析ができる状態にしておきましょう。Googleアナリティクスを設定し、どのページがよく見られているか、どこから流入しているかを把握できるようにします。
データを見ながら改善を重ねることで、ホームページの集患効果を高めていけます。
9.開業後に追加・更新すべきコンテンツ
開業前のホームページはあくまで「初期バージョン」です。開業後に追加・更新すべきコンテンツを把握しておきましょう。
院内写真の差し替え
開業前にイメージ写真で仮公開していた場合は、実際の院内写真に差し替えます。待合室、診療室、受付、外観など、清潔感のある写真を撮影して掲載しましょう。
症例紹介の追加
診療実績が増えてきたら、症例紹介ページを追加します。ビフォーアフターの写真(患者さんの同意を得た上で)や、治療の流れを紹介することで、専門性をアピールできます。
医療広告ガイドラインに沿った掲載方法を守る必要があるため、詳細は制作会社に相談してください。
患者さんの声の掲載
実際に来院した患者さんの感想を掲載できると、信頼性が高まります。Googleの口コミへの誘導や、アンケートの実施で声を集めていきましょう。
ブログ・お知らせの更新
開業後は定期的にブログやお知らせを更新し、ホームページを「生きている状態」に保ちます。更新が止まっているホームページは、患者に「活気がない医院」という印象を与えかねません。
更新のネタとしては、季節の挨拶、診療に関するお役立ち情報、休診のお知らせ、スタッフ紹介、院内の出来事などがあります。月に1〜2回の更新を目標にしましょう。
スタッフ紹介の充実
開業後にスタッフが増えたら、スタッフ紹介ページを更新します。顔が見えるスタッフ紹介は、患者さんに安心感を与えるだけでなく、採用活動にも効果的です。
10.まとめ:開業成功はホームページ準備で決まる
開業前から始めるホームページ戦略について解説しました。ポイントを整理します。
開業前からホームページが必要な理由として、検索エンジンに認識されるまで時間がかかること、患者は開業前から情報収集していること、告知活動の受け皿になることがあります。早めの準備が、オープン初月の集患を左右します。
理想的なスケジュールは、6ヶ月前に制作会社への依頼、4〜5ヶ月前にドメイン取得と企画、2〜3ヶ月前にデザイン・コンテンツ制作、1〜2ヶ月前にホームページ公開という流れです。
開業前に決めておくべきことは、医院名、診療コンセプト、ターゲット層、診療時間、診療内容の5つです。これらが曖昧だと制作が進みません。
開業前ホームページの必須コンテンツは、医院名・ロゴ、開業予定日、所在地・アクセス、診療時間、診療内容、院長紹介、お問い合わせ先です。
Googleビジネスプロフィールも開業1〜2ヶ月前には登録を済ませ、開業日に合わせて正式公開できる状態にしておきましょう。
告知活動として、内覧会、チラシ、近隣挨拶、SNSを組み合わせ、ホームページを受け皿にして認知を広げます。
開業準備で忙しい中ではありますが、ホームページは後回しにせず、早めに着手することをおすすめします。オープン初月から安定した新患を獲得できるかどうかは、開業前の準備にかかっています。
東京歯科経営ラボでは、開業準備中の先生向けにホームページ制作をご支援しています。「いつから準備を始めればいいかわからない」「何を載せればいいか相談したい」という先生は、お気軽にお問い合わせください。
投稿者プロフィール
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歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。
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