歯科医院のホームページ制作体験記:企画から完成まで6ヶ月の全記録

開業10年目を迎えた当院では、古いホームページのリニューアルを決断しました。「時代遅れのデザインを何とかしたい」「もっと効果的に新患を獲得したい」そんな思いから始まった制作プロジェクトは、想像以上に奥が深く、学びの多い6ヶ月間となりました。

この体験記では、歯科医院ホームページ制作の全過程を時系列で詳しくお伝えします。企画段階での悩み、制作会社選びの苦労、制作中のトラブル、そして完成後の驚くべき効果まで、リアルな体験を包み隠さず公開します。これからホームページ制作を検討している歯科医院院長の参考になれば幸いです。

目次
1. 1ヶ月目:企画・準備段階の悩みと決断
2. 2ヶ月目:制作会社選びと提案書比較
3. 3-4ヶ月目:制作開始から中間確認まで
4. 5ヶ月目:修正・調整とテスト運用
5. 6ヶ月目:公開と初期効果測定
6. 制作後3ヶ月:驚きの成果と学んだ教訓
7. まとめ

 

1.1ヶ月目:企画・準備段階の悩みと決断

現状への不満と危機感

当院の旧ホームページは8年前に制作したもので、スマートフォンに対応しておらず、デザインも明らかに時代遅れでした。患者さんから「ホームページが見にくい」という声も増え、競合医院の洗練されたサイトと比較すると、明らかに見劣りしていました。

決定的だったのは、Googleアナリティクスで確認したアクセス数の減少でした。3年前は月間500アクセスあったものが、最近は200アクセス程度まで落ち込んでいました。新患数も年々減少傾向にあり、ホームページの問題が集患に影響している可能性が高いと判断しました。

目標設定と予算検討

リニューアルの目標を明確に設定することから始めました。具体的な目標は以下の通りです:

  • 月間アクセス数を現在の3倍(600件)に増加
  • ホームページ経由の新患を月5人以上獲得
  • スマートフォン対応による利便性向上
  • 当院の専門性(インプラント・審美歯科)のアピール強化

予算については、当初50万円程度を想定していましたが、複数の制作会社に相談したところ、本格的なリニューアルには100-150万円が必要ということが分かりました。投資対効果を慎重に検討した結果、120万円の予算を設定しました。

競合分析と自院の強み整理

制作開始前に、周辺地域の歯科医院ホームページを詳しく調査しました。近隣10院のサイトを分析し、デザイン、コンテンツ、機能性を比較検討しました。その結果、多くの医院が基本的な情報提供にとどまっており、患者目線での情報発信が不足していることが分かりました。

当院の強みとして、インプラント治療の豊富な実績、最新のデジタル機器、スタッフの継続勤務による安定したチーム医療を挙げました。これらの強みを効果的にアピールできるサイト設計を目指すことにしました。

 

2.2ヶ月目:制作会社選びと提案書比較

5社からの提案書収集

歯科医院専門の制作会社3社と、一般的なWeb制作会社2社から提案書を取得しました。価格帯は80万円から180万円まで大きく幅があり、提案内容も会社によって特色が大きく異なっていました。

最も印象的だったのは、歯科専門の制作会社の提案でした。医療広告ガイドラインへの理解、歯科業界特有のニーズへの対応、SEO対策の具体性など、専門性の高さが明確に感じられました。一方、一般的な制作会社は価格が安い反面、医療業界への理解不足が見受けられました。

制作会社決定の決め手

最終的に選んだのは、歯科専門制作会社の中でも特にアフターサポートが充実している会社でした。決定要因は以下の点です:

  • 歯科医院での豊富な制作実績と成功事例
  • 医療広告ガイドライン遵守への明確な対応策
  • SEO対策の具体的な手法と過去の実績データ
  • 制作後の運用サポートとアクセス解析レポート提供
  • 担当者の歯科業界への深い理解と提案力

価格は120万円と中程度でしたが、長期的な投資対効果を考慮すると最も適切な選択だと判断しました。

比較項目

A社(歯科専門)

B社(歯科専門)

C社(一般)

価格

120万円

150万円

80万円

歯科実績

200院以上

300院以上

10院程度

SEO対策

具体的手法提示

基本対策のみ

不明確

アフターサポート

充実

標準的

限定的

契約と制作スケジュール確定

契約時には、制作内容の詳細、納期、修正回数、著作権、保守サポートなどを明文化しました。特に重要視したのは、医療広告ガイドライン遵守の責任分担と、SEO効果の測定方法でした。

制作スケジュールは4ヶ月で設定し、1ヶ月目にサイト設計、2ヶ月目にデザイン制作、3ヶ月目にコーディングとコンテンツ制作、4ヶ月目にテストと調整という流れで進めることになりました。

 

3.3-4ヶ月目:制作開始から中間確認まで

サイト設計とワイヤーフレーム作成

制作開始後、最初に行ったのはサイト全体の設計でした。患者の行動パターンを分析し、「初回訪問者が予約に至るまでの最適な導線」を設計しました。トップページから診療内容、料金案内、予約フォームまでの流れを3クリック以内で完結できる構成を目指しました。

ワイヤーフレーム(サイトの設計図)の確認では、想像以上に細かい検討が必要でした。ボタンの配置、メニューの順序、各ページの情報量など、患者目線での使いやすさを徹底的に検証しました。特に力を入れたのは、スマートフォンでの見やすさと操作性でした。

デザイン制作とブランディング

デザイン段階では、当院のブランドイメージを視覚的に表現することに重点を置きました。「清潔感」「安心感」「最新性」「親しみやすさ」をキーワードに、色彩、フォント、レイアウトを決定しました。

初回のデザイン提案では、予想以上に洗練されたデザインが提示されましたが、「少し冷たい印象を与える」と感じ、温かみのある要素を追加してもらいました。写真撮影も新たに行い、院内の雰囲気とスタッフの人柄が伝わる自然な表情を重視しました。

コンテンツ制作の苦労

最も時間を要したのがコンテンツ制作でした。各治療の説明文、料金表、よくある質問、院長挨拶など、患者に分かりやすく伝える文章作成は想像以上に困難でした。

特に苦労したのは、専門用語の平易な表現への変換と、医療広告ガイドラインに抵触しない適切な表現の検討でした。「痛みの少ない治療」「安全な治療」などの表現について、制作会社と何度も打ち合わせを重ねました。

 

4.5ヶ月目:修正・調整とテスト運用

詳細な修正作業

初回の完成版確認では、全体的な仕上がりに満足しつつも、細部の修正要望が多数出ました。文字の大きさ、写真の配置、ボタンの色、メニューの表現など、実際に使用してみると気になる点が次々と見つかりました。

最も重要だったのは、実際の患者役になってサイトを操作することでした。「初めて当院を知る人が、予約を取るまでの流れ」を何度もシミュレーションし、不自然な部分や分かりにくい箇所を洗い出しました。

スタッフからのフィードバック収集

院内スタッフ全員にサイトを確認してもらい、フィードバックを収集しました。受付スタッフからは「患者さんがよく質問する内容がもっと詳しく説明されていると良い」、歯科衛生士からは「予防ケアの重要性をより強調してほしい」などの意見が出ました。

これらの意見を反映し、よくある質問ページの充実、予防歯科ページの拡充を行いました。スタッフの意見を取り入れることで、より実用的で患者目線のサイトに仕上がりました。

テスト運用と動作確認

公開前に約2週間のテスト運用を行いました。異なるデバイス(パソコン、スマートフォン、タブレット)、異なるブラウザ(Chrome、Safari、Firefox)での動作確認、フォームの送信テスト、ページ読み込み速度の確認などを徹底的に行いました。

この段階で、スマートフォンでの予約フォーム表示に軽微な問題が発見され、修正を行いました。事前のテストにより、公開後のトラブルを未然に防ぐことができました。

 

5.6ヶ月目:公開と初期効果測定

サイト公開と告知

新しいホームページの公開は、既存患者への案内、スタッフSNSでの投稿、地域情報サイトへの掲載など、複数の方法で告知しました。公開初日から予想以上のアクセスがあり、特にスマートフォンからのアクセスが大幅に増加しました。

Googleアナリティクスを設置し、アクセス状況を詳細に監視しました。公開1週間で月間目標の60%にあたるアクセス数を記録し、順調なスタートを切ることができました。

初期の成果測定

公開から1ヶ月間の成果は以下の通りでした:

  • 月間アクセス数:580件(目標600件にほぼ到達)
  • 新規訪問者率:78%(従来65%から向上)
  • スマートフォンアクセス率:72%(従来45%から大幅向上)
  • 平均滞在時間:2分30秒(従来1分20秒から改善)
  • 予約フォーム送信:12件(従来3件から4倍増)

特に嬉しかったのは、予約フォームからの問い合わせが大幅に増加したことでした。患者さんからも「新しいホームページは見やすくて分かりやすい」という好評をいただきました。

検索順位の改善状況

SEO対策の効果も徐々に現れ始めました。「地域名+歯科」での検索順位が17位から9位に向上し、「地域名+インプラント」では圏外から14位まで上昇しました。制作会社によると、本格的なSEO効果が現れるのは3-6ヶ月後とのことで、今後のさらなる向上を期待しています。

 

6.制作後3ヶ月:驚きの成果と学んだ教訓

3ヶ月後の驚異的な成果

ホームページ公開から3ヶ月が経過した時点で、当初の予想を大きく上回る成果を実現しました:

  • 月間アクセス数:920件(目標の1.5倍を達成)
  • ホームページ経由新患:月平均9人(目標5人を大幅超過)
  • 検索順位:主要キーワードで5位以内を複数獲得
  • 売上への貢献:月額約80万円の増収効果

最も印象的だったのは、新患の質の向上でした。ホームページで当院の特徴や治療方針を十分に理解してから来院される患者さんが多く、初回カウンセリングでの満足度も向上しました。

制作過程で学んだ重要な教訓

6ヶ月間の制作過程を通じて、以下の重要な教訓を得ました:

  • 制作会社選びでは価格より専門性と継続サポートを重視すべき
  • 患者目線での使いやすさがデザインの美しさより重要
  • コンテンツ制作では専門用語の平易化が最重要課題
  • スタッフの意見を取り入れることで実用性が大幅に向上
  • 公開後の継続的な改善と更新が成果を左右する

特に実感したのは、「ホームページは作って終わりではなく、育てていくもの」ということです。定期的な情報更新、アクセス解析に基づく改善、患者フィードバックの反映などにより、継続的に効果を向上させることが可能です。

今後の改善計画

現在は月1回のペースでコンテンツを追加し、3ヶ月ごとにアクセス解析を基にした改善を行っています。今後の計画として、動画コンテンツの追加、患者体験談の掲載(適切な同意のもと)、オンライン相談機能の導入などを検討しています。

 

7.まとめ

歯科医院のホームページ制作は、想像以上に奥が深く、時間のかかるプロジェクトでした。しかし、適切な準備と信頼できる制作会社との協力により、投資額を大幅に上回る成果を得ることができました。

成功の最大の要因は、「患者目線を徹底的に追求したこと」でした。美しいデザインや最新の技術よりも、患者さんが本当に必要としている情報を、分かりやすく提供することの重要性を痛感しました。

これからホームページ制作を検討している歯科医院院長には、十分な準備期間を設け、信頼できる専門会社と長期的なパートナーシップを築くことをお勧めします。一時的な投資として捉えるのではなく、医院の成長を支える重要なインフラとして位置づけることで、必ず大きな成果を得ることができるでしょう。

ホームページは現代の歯科医院経営において、もはや「あったら良いもの」ではなく「なくてはならないもの」です。患者さんとの最初の接点として、また継続的な関係構築のツールとして、その価値は計り知れません。適切な投資と継続的な改善により、ホームページを最強の集患ツールに育ててください。

投稿者プロフィール

NAOKI OZAWA
歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。

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