PDCAではもう限界?歯科医院の安定経営
こんにちは。歯科医院経営コンサルタントの小澤です。
経営改善を行う上で、目標を達成するために「PDCA」を回すという話はご存知の方も多いと思います。ですが、実は歯科医院のようなビジネスにおいては「PDCA」を回すだけでは十分な成果は得られません。
今回は、経営改善を行う上で、経営者が意識するべきフレームワークについて少しお話をします。
PDCAサイクルの欠点
まずは簡単に「PDCA」についておさらいしてみましょう。
PDCAは、まず最初に「P=plan」つまり「計画」を立てることから始まります。
成果をあげるためには、まず数値目標を明確に定める必要があります。ざっくりと「売上を上げる」という目標を掲げても、有益な計画は立てられません。
自費売上前月比20%アップという目標を掲げたとします。
そのためには、まず患者心理を想定し、どうすれば売れるかという仮設のもとに、自費の提案を行うための綿密な計画を立てます。
そして、実行したら、結果を分析して評価し、改善し、改善点を当てはめて計画を修正する。というように、実際に売り上げ目標を達成するために、たくさんの工程とたくさんの時間がかかります。
さらに、PDCAの特徴として「想定外に弱い」ということもあります。想定外の事が起こると、計画そのものが頓挫したり、一からやり直す必要が出てくるからです。
そして何より計画を立てるのも、実行するのも、評価するのも、改善点を出すのも、すべて自分達であるということが一番の欠点でもあります。
仮説や分析を間違えてしまったり、このくらいでいいだろうと中途半端な計画や評価になってしまったら、「都合の良い」改善案しか出て来なくなります。そして動きはどんどん鈍化し、そのうち目標まで変わってしまうのです。
・時間がかかる
・想定外に弱い
・都合の良い取り組みで終わってしまう
OODAループで安定経営
OODAループとは元々アメリカ空軍で大佐を務めていたジョン・ボイドが戦闘機パイロットの指揮官に向けて提唱した理論です。
空中戦では指揮官がすべての操縦士と同じ景色を見て瞬時に指令を送ることは難しいですから、いくら指揮官が優れていても、実際に戦闘機で戦っている操縦士の意思決定が遅ければ、それが勝敗をわけてしまいます。
院長が、患者さんとスタッフの様子を常に見ていて都度指示を送れるのであれば想定外のことが起きても何も心配無いかもしれませんが、現実にはすべてのスタッフの行動を管理するのは不可能です。
歯科医院は、一定の動きしかしない機械を相手にしているわけではありません。患者さんの反応は想定通りには行かないのです。もちろん、たくさんの「想定」を準備し、それぞれに対応マニュアルを用意し、それを完璧かつスピーディーに行うことができるのなら問題ないのかもしれません。
ですが、実際は「計画=マニュアル」に無いから対応できない、ということが容易に起こり得ます。
そして、前回のコラムでもお話しましたが、患者さんを取り巻く環境や情報は日々目まぐるしいスピードで変化しています。歯科医院だけはゆっくり計画してから取り組めば良いというわけにはいきません。
あらかじめ決められた計画や院長からの指示で動くのではなく、目的や目標の達成にむけて、スタッフ一人一人が意思決定をしながら動けるようにしなければ、想定外のことには対応できず、気付かない間に利益を失っている可能性すらあります。
例えば自費の提案を行う場合、PDCAではまず計画を立てることから始めます。カウンセリング内容とタイミングを決めて、時にはみんなで練習することも必要でしょう。そして、実行します。
すでにここまででどのくらい時間を要するでしょうか。そして患者さんの気持ちは後回しです。評価をするタイミングで初めて患者さんの気持ちや反応を気にするのです。
PDCAでは時間がかかりすぎます。計画している間にも時間は過ぎ、患者さんの気持ちも変わります。常に状況を観察し、動かなければいけません。
OODAループでは、状況が重視されるため、スピーディーに動くことができます。患者さんを観察することから始めるため、一人一人に合わせて流動的な提案をすることができます。そして、患者さんの反応を常に重視するので、改善点も導き出しやすいのです。
計画を見直す必要もないですから「この提案の仕方だと患者さんからこんな風に言われた」などスタッフ同士の情報共有で十分になり、改善もスピーディーに行えます。
自費提案のOODAループ
O Observe「観察する」 |
まず、患者さんを観察します。質問が必要な場合もあるでしょう。 |
O Orient「状況判断」 |
患者さんがどういう風に考えるか、相手の立場になって考えます。 |
D Decide「意思決定」 |
どのように提案するかを決めます。医院の利益のために「提案しない」という決断もできます。 |
A Act「実行」 |
決定したことを実行します。そして、実行したら、また患者さんを観察します。 |
これを繰り返すことで医院は活性化し、スタッフ一人一人の能力も向上していきます。
まとめ
今回は、自費の提案について例を挙げましたが、経営改善においてもこの計画で必ずうまくいくという方法は存在しません。「確実」はあり得ないのです。
不確実性の高い歯科医院のようなビジネスでは常に新しいことに挑戦し、いかに流動的に施策を実行できるかが求められます。
経営改善のOODAループ
O Observe「観察する」 |
医院を取り巻く状況を観察し、情報収集を行います。 |
O Orient「状況判断」 |
先の見通しを立て、時代の流れをつかみます。そして患者さんの立場やライバル医院の立場に立って考え、状況を理解します。 |
D Decide「意思決定」 |
どんな施策を行うかを決める。または古い施策を思い切って捨てるという判断をします。 |
A Act「実行」 |
決定したことを実行します。実行が終わっても、観察を続けます。 |
環境や状況の変化をとめることは誰にも出来ません。時代の変化についていくことは大変なことですが、時代の波に取り残されることのないよう、出来るだけ早いスピードでOODAループを回しましょう。
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