景気低迷における歯科医院経営の注意点
こんにちは、歯科医院経営コンサルタントの小澤です。
日本銀行が実施している短観(企業短期経済観測調査)の2020年6月の調査によると、リーマンショック以来の大幅な景気悪化となり、先行きは若干改善するとの見通しもありますが、予断を許さない状態が続いています。
新型コロナウイルスが経済活動にも悪影響を及ぼしたというのは言うまでもありません。
歯科医院においても、患者さん離れ等によって売上が下がってしまったという医院も多くみられます。
今回のような景気悪化により、一番煽りを受けるのは、歯科医院等の消費者向けサービスを提供しているような経営基盤の弱い中小企業です。
では具体的に、歯科医院が受ける影響にはどんなものがあるのでしょうか。そして、景気悪化による被害を最小限に留めるためにはどのようなことができるのでしょうか。
気にしすぎてしまう・・・
景気悪化は、医院にも直撃しますが、もちろん患者さんにも経済的に少なからずの影響があるでしょう。しかし、患者さんの「ふところ事情」を気にしすぎるがあまり、医院経営に直接的な打撃を与えてしまう場合があります。
それは
「今は景気が悪いのに自費治療なんかやらないだろう・・・。」
このような、先入観による自費治療提案数の減少です。
提案しなければ患者さんは自費治療の選択が出来ません。患者さんにとっても医院にとってもそのような先入観は捨てるべきです。
自費の提案を行わなくなれば、医院は売り上げダウンという直接の損害を被ります。
そして、患者さんが本来提供されるべき高い水準の治療(自費治療を含む)を受けることができなければ、それは医院の評判にも関わってくるのです。つまり、本来医院の治療により勝ち得たであろう「潜在的な良い評判」が失われたという見方ができます。
「自費治療が受けられない=悪い歯医者さん」とはなりません。しかし「良い歯医者さん」と評判になるチャンスを失うことにもなり得るのです。地域での評判が上がらなければ、長期的な医院経営は難しくなります。
これは景気悪化などの状況が伴わない場合でも同じですが、自費の提案は患者さんの経済状態とは常に切り離して考えるべきです。
つい数ヶ月前にも「説明もされずに、いつの間にか銀歯を入れられた・・・」という患者さんの話を聞きました。
先生が患者さんの事を考えて良かれと思って行った治療だとしても、患者さんにとっては望んでいなかった治療かもしれないのです。
医院は患者さんの健康のために、常に自費治療等を含めて様々な選択肢を提案する。受ける治療を選ぶことができるのは患者さんだけです。医院側が患者さんのその権利を奪って良いはずがありません。
とはいえ、非常事態が続く中ではついつい消極的になるのは仕方のないことかもしれません。自費治療の提案については、ぜひこちらのコラムも参考にされてください。
前に進めない・・・
次に考えられる悪影響として「新しいことができない」ということがあります。もともと経営基盤が弱い中小企業で起こり得ることですが、歯科医院にも当てはまります。
先行きの不安から、組織全体に元気が無くなり、設備投資や営業活動などの新しい取り組みを行うことを躊躇してしまうのです。
今はまだやめておこう。
もう少し落ち着いたら・・・。
そう考えている間に、医院の経営状況は悪化を続けます。
たとえば、新しい治療を導入しようと何年も勉強をしてきたのに、コロナ禍に負けて設備投資を控えるのは得策と言えるでしょうか?
補助金などをうまく利用して、院長の熱意が冷めないうちに投資し、新しいことをスタートするという判断をしても良いのでは無いでしょうか。今だからこそやるべきこと、できることを精一杯行ってみましょう。
また、今回のコロナ禍によって離れてしまった患者さんを呼び戻す活動。今はお金がかけられない・・。と後回しにしたらどうなるでしょう。
患者さんが少なくなっても、固定費(正社員人件費や家賃など)は減りません。売上が下がり、利益額ばかりか利益率も減少するという状態になり、経営状態は悪化するでしょう。
患者さんを呼び戻すための「新しい活動」をしなければいつまでたっても経営は改善されません。
必要最小限の投資でも患者さんを呼び戻す活動は可能です。まだまだ「できること」はあります。こちらのコラムも参考にされてください。
まとめ
今回は、景気低迷によって歯科医院が受ける悪影響2つについて少しお話しました。この他にもさまざまな影響を受ける可能性があります。
しかし、経営者である院長には、経営を回すために出来る限りのことをやり続ける義務があります。そのような重要な業務は、院長にしか行うことができないのです。
辛い時期もあると思います。時には愚痴を言っても良いんです!しかし、歩みを止めてはいけません。辛いときは一歩ずつでも、前に進んでみましょう。
何かあればいつでもご連絡ください。私も皆さんと同じ「経営者」の一人・・・。一緒にがんばりましょう!
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