【歯科経営】診療ユニット増設の判断基準~コンサルタントが教える投資のタイミング~
「予約が埋まってきたが、このタイミングでユニットを増やすべきか」
「増設の投資額に見合う収益が得られるだろうか」
当社リバティーフェローシップ(東京歯科経営ラボ)には、このような相談が数多く寄せられます。診療ユニットの増設は、歯科医院経営における重要な転換点となります。今回は、15年以上の歯科経営コンサルティング経験から得られた、具体的な判断基準をお伝えします。
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1. 診療ユニット増設の投資規模
2024年現在、診療ユニット1台の増設にかかる標準的な費用は以下の通りです。
■基本投資額:500万円~800万円
(内訳)
・診療ユニット本体:350万円~500万円
・診療室の内装工事:100万円~200万円
・付帯設備:50万円~100万円
これに加えて、スタッフ採用費用や研修費用など、人材への投資も必要となります。
2. 増設判断の4つの基準
■予約稼働率の基準
現在の診療ユニットの稼働率が3ヶ月以上連続で80%を超えている状態が、増設検討の第一条件です。ただし、単純な予約枠の埋まり方だけでなく、実際の診療効率も重要な指標となります。
■財務状態の基準
増設投資に必要な資金を確保できる健全な財務状態であることが必要です。具体的には、以下の指標を満たしていることが望ましいでしょう。
・月間医業収入:180万円/台以上
・キャッシュフロー余裕度:投資額の30%以上
・売上高借入金比率:40%以下
■人材基盤の基準
増設後の診療体制を支える人材が確保できていること、または確保の見通しが立っていることが重要です。特に歯科衛生士の確保は、増設の成否を左右する重要な要素となります。
■診療圏の将来性
診療圏の人口動態や競合状況から、長期的な患者需要を見極める必要があります。特に注目すべき点は以下の通りです。
・診療圏内の人口増減傾向
・年齢構成の変化
・新規開発計画の有無
・競合医院の動向
3. 増設後の収益シミュレーション
ある埼玉県の歯科医院の事例から、具体的な収益シミュレーションをご紹介します。
【増設前】
・診療ユニット:3台
・月間売上:600万円
・月間レセプト数:350件/月
・予約稼働率:83%
【増設後6ヶ月の実績】
・診療ユニット:4台
・月間売上:750万円(25%増)
・患者数:410件/月
・予約稼働率:80%
投資回収期間は1年8ヶ月でした。この事例では、増設前から計画的なスタッフ採用と教育を行っていたことが、スムーズな立ち上がりにつながりました。
4. 成功事例と失敗事例から学ぶ
【成功事例】
東京都のA歯科医院では、増設前から以下の準備を行い、スムーズな立ち上げを実現しました。
・増設6ヶ月前からの歯科衛生士採用活動開始
・既存スタッフの診療効率向上訓練
・予約システムの最適化
・患者層に合わせた診療メニューの見直し
【失敗事例】
一方、急な増設を決定したB歯科医院では、以下の問題が発生しました。
・スタッフ不足による稼働率の低下
・既存患者の待ち時間増加
・スタッフの過重労働
・収益改善の遅れ
5. スタッフ体制の整備
増設成功の鍵は、適切なスタッフ体制の整備です。具体的に記載します。
・歯科衛生士の適正人数:ユニット1台あたり1名
・受付スタッフの増員検討
・チーム制の導入による効率化
・教育研修体制の強化
6. まとめ:適切な投資判断のために
診療ユニットの増設は、適切なタイミングと十分な準備があってこそ、経営改善につながります。
特に重要なポイント
■客観的なデータに基づく増設判断
■計画的な人材確保と育成
■財務面での十分な準備
■長期的な視点での投資回収計画
当社では、増設計画の策定から実施後のフォローまで、一貫したサポートを提供しています。増設をご検討の院長先生は、まずはお気軽にご相談ください。
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