ホームページ経由の新患ゼロから月30人へ|地方歯科医院の逆転劇

目次
1. 新患獲得に苦しむ地方歯科医院の現実
2. ホームページが機能していなかった3つの理由
3. 改善施策①:患者目線の情報設計への転換
4. 改善施策②:地域密着型SEO対策の徹底
5. 改善施策③:信頼を生むコンテンツ戦略
6. 3ヶ月で成果が出始めた転換点
7. 継続的な成果を生む運用体制の構築
8. まとめ

1.新患獲得に苦しむ地方歯科医院の現実

「ホームページはあるんですが、そこからの新患はほぼゼロなんです」

これは、私たちが支援を開始した地方都市にある歯科医院のA院長から最初に聞いた言葉です。開業8年目、地域には競合医院が10件以上。既存患者は安定しているものの、新患の減少に危機感を抱いていました。

多くの歯科医院がこの状況に直面しています。厚生労働省の調査によれば、全国の歯科診療所数は約68,000施設。コンビニエンスストアの店舗数を上回るこの過当競争の中で、ホームページは単なる「看板」ではなく、新患獲得の「営業ツール」として機能させる必要があるのです。

A医院のホームページは5年前に制作したもので、見た目は悪くありませんでした。しかし、月間のアクセス数はわずか150件程度。そこからの問い合わせは月に1件あるかないか。この状態から、わずか6ヶ月でホームページ経由の新患を月30人まで増やすことに成功しました。

この記事では、その具体的な改善プロセスと、地方歯科医院だからこそ効果的だった施策についてお伝えします。

 

2.ホームページが機能していなかった3つの理由

A医院のホームページを分析したところ、新患獲得につながらない明確な理由が3つありました。

理由①:「誰に向けたページか」が不明確

トップページには院長の挨拶と設備の写真が並んでいましたが、「どんな患者さんに来てほしいか」「どんな悩みを解決できるか」が伝わりませんでした。歯科医院を探している人が求めているのは、自分の悩みを解決してくれる医院かどうかの判断材料です。

理由②:検索で見つけてもらえない構造

地域名で検索しても、A医院のホームページは検索結果の3ページ目以降。ほとんどの人は1ページ目の医院から選びます。特に「地域名+歯医者」「地域名+歯科」といった基本的なキーワードで上位表示されていないことは、機会損失を生んでいました。

理由③:「ここに通いたい」と思わせる情報不足

診療時間やアクセス情報は掲載されていても、「この医院なら安心」と思える情報がありませんでした。院長の治療方針、スタッフの雰囲気、実際の治療の流れ、患者さんの声など、信頼を築くコンテンツが欠けていたのです。

これらは多くの歯科医院のホームページに共通する課題です。制作会社に任せきりで、「とりあえず見栄えの良いサイト」を作っただけでは、新患獲得ツールとしては機能しません。

 

3.改善施策①:患者目線の情報設計への転換

最初に取り組んだのは、ホームページ全体の情報設計の見直しです。

ターゲット患者の明確化

A医院の強みを分析し、特に力を入れている「小児歯科」「予防歯科」「審美歯科」の3つを軸に、それぞれのターゲット患者像を明確にしました。

  • 小児歯科:子どもの歯の健康を気にする30〜40代の母親
  • 予防歯科:将来の歯の健康を考える40〜60代
  • 審美歯科:見た目の改善を望む20〜50代

悩み起点のコンテンツ構成

トップページを「医院紹介」から「患者の悩み解決」を軸とした構成に変更しました。

「子どもが歯医者を怖がって困っている」「歯周病が心配」「銀歯を白くしたい」など、具体的な悩みから該当するページへ誘導する導線を設計。訪問者が自分に関係するコンテンツにすぐにたどり着けるようにしました。

行動を促す明確なCTA(Call To Action)

各ページに「24時間WEB予約」「無料相談予約」など、次のアクションを明確に示すボタンを配置。特にスマートフォンからのアクセスが7割を占めていたため、モバイルでの予約のしやすさを最優先にしました。

電話番号も目立つ位置に配置し、タップするだけで発信できる設計に。この基本的な改善だけで、問い合わせのハードルが大きく下がりました。

 

4.改善施策②:地域密着型SEO対策の徹底

地方歯科医院にとって、地域名を含む検索での上位表示は新患獲得の生命線です。

ローカルSEOの基本設定

まず、Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)の情報を充実させました。診療時間、写真、投稿機能を活用し、週1回のペースで情報を更新。これにより、Googleマップでの表示順位が大きく改善しました。

地域特化型キーワード戦略

「◯◯市 歯医者」だけでなく、より具体的なキーワードも狙いました。

  • 「◯◯市 小児歯科 痛くない」
  • 「◯◯駅 歯医者 夜間」
  • 「◯◯市 ホワイトニング 安い」

こうした「地域名+診療内容+ニーズ」の組み合わせは、競合が少なく、かつ来院意欲の高い患者にリーチできます。

地域情報との連携

地域の子育て情報、学校歯科検診の時期、地域イベントなど、地域に密着した情報をブログで発信。「◯◯市で子育て中のママさん向け」といった切り口で、地域住民に親しみを持ってもらえるコンテンツを継続的に発信しました。

この地域密着型のSEO対策により、3ヶ月後には主要な地域キーワードで検索結果の1ページ目に表示されるようになりました。

 

5.改善施策③:信頼を生むコンテンツ戦略

新患獲得において最も重要なのは「信頼」です。初めて来院する患者の不安を解消するコンテンツ作りに注力しました。

院長の人柄が伝わるコンテンツ

経歴だけでなく、なぜ歯科医師になったのか、どんな想いで診療しているのか、A院長自身の言葉で語ってもらいました。動画インタビューも制作し、文章では伝わりにくい人柄や雰囲気を発信。

「この先生なら信頼できそう」と思ってもらえることが、予約という行動につながります。

治療の流れを可視化

初診時の流れを写真付きで詳しく解説。「まず問診票を記入していただき」「次にレントゲン撮影を」「その後カウンセリングルームで」と、来院から帰るまでの一連の流れを明示しました。

特に歯科医院に不安を持つ方にとって、「何をされるか分からない」という不安を解消することは極めて重要です。

患者の声の活用

実際に通院している患者さんから許可を得て、治療の感想を掲載。年齢層や治療内容も多様にし、様々な立場の訪問者が自分に近い事例を見つけられるようにしました。

口コミサイトの評価も定期的に確認し、良い評価はホームページでも紹介。透明性の高い情報発信が、信頼感の醸成につながりました。

スタッフ紹介の充実

歯科医師だけでなく、歯科衛生士、受付スタッフまで、全員の顔写真と紹介文を掲載。「どんなスタッフがいるのか」が分かることで、安心感が高まります。

特に女性スタッフが多いことは小児歯科を検討する保護者にとって安心材料となり、実際に「スタッフの雰囲気が良さそうだったので」という理由で来院される方が増えました。

 

6.3ヶ月で成果が出始めた転換点

改善施策を開始して3ヶ月目、明確な変化が現れ始めました。

アクセス数の劇的な増加

月間150件だったアクセス数が、3ヶ月後には1,200件に。地域キーワードでの検索順位向上と、Googleビジネスプロフィールからの流入が大きく貢献しました。

問い合わせ・予約の増加

月1件程度だった問い合わせが、月10件程度に増加。さらに、WEB予約システムの導入により、24時間いつでも予約できる環境を整えたことで、予約のハードルが下がりました。

特に、日中は電話できない働く世代からの夜間の予約が増えたことは想定以上の成果でした。

口コミの連鎖効果

ホームページ経由で来院した新患の満足度が高く、その方々がGoogleのクチコミに好意的なレビューを投稿。それがさらに信頼性を高め、次の新患につながるという好循環が生まれました。

A院長は「ホームページがこんなに変わるとは思わなかった。今では週に7〜8人は新しい患者さんが来てくれる」と話されていました。

 

7.継続的な成果を生む運用体制の構築

ホームページは「作って終わり」ではありません。継続的な成果を生むための運用体制を整えました。

月1回のコンテンツ更新

新しいブログ記事を月2〜3本、スタッフと協力して作成。季節のお口のケア情報、よくある質問への回答、新しい治療機器の紹介など、患者にとって有益な情報を発信し続けることで、検索エンジンからの評価も維持できます。

データ分析と改善のサイクル

Googleアナリティクスで月次のアクセス解析を実施。どのページがよく見られているか、どのキーワードで流入しているか、予約につながっているページはどれかなどを分析し、継続的に改善しています。

院内での情報共有

スタッフ全員がホームページの役割を理解し、患者から「ホームページを見て来ました」と言われたときに適切に対応できるよう、院内勉強会を実施。ホームページとリアルの診療体験の一貫性を保つことが、リピート率向上にもつながっています。

競合分析の定期実施

3ヶ月に1回、地域の競合医院のホームページをチェック。新しい取り組みや優れた点があれば参考にし、常に地域でトップクラスのホームページであり続けるための努力を続けています。

現在、A医院のホームページ経由の新患は月30人程度で安定推移。さらに、ホームページをきっかけに認知度が上がったことで、口コミや紹介による来院も増加するという副次効果も生まれています。

 

まとめ

地方歯科医院がホームページ経由の新患をゼロから月30人まで増やした成功のポイントは以下の通りです。

  1. 患者目線の情報設計 医院の紹介ではなく、患者の悩み解決を起点としたコンテンツ構成に転換することで、訪問者の共感と信頼を獲得できます。
  2. 地域密着型SEO対策 地方だからこそ、地域特化型のキーワード戦略とGoogleビジネスプロフィールの活用が絶大な効果を発揮します。競合が少ないニッチなキーワードを狙うことで、効率的に上位表示を実現できます。
  3. 信頼を生むコンテンツ 院長の人柄、治療の流れ、患者の声、スタッフ紹介など、「ここなら安心」と思える情報を充実させることが、予約という行動につながります。
  4. 継続的な運用体制 ホームページは作って終わりではなく、定期的な更新と改善が必要です。月次での分析と改善サイクルを回すことで、継続的な成果が生まれます。

 

多くの歯科医院が、ホームページを「とりあえず作った」状態で放置しています。しかし、適切な戦略と運用があれば、ホームページは確実に新患獲得の強力なツールになります。

過当競争の歯科業界において、ホームページは医院の経営を左右する重要な経営資源です。患者が何を求めているかを理解し、それに応えるホームページを構築・運用することで、A医院のような成果は十分に実現可能なのです。

 

当社では、歯科医院の経営コンサルティングとホームページ制作・保守を一体的にサポートしています。単なるホームページ制作ではなく、新患獲得という成果にコミットした支援を行っています。ホームページからの新患獲得でお悩みの院長先生は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

投稿者プロフィール

NAOKI OZAWA
歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。

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