2025年最新!歯科医院ホームページの医療法・広告規制チェックリスト

 

目次
1. はじめに
2. 医療広告ガイドラインとは
3. 歯科医院で違反しやすい表現トップ5
4. OKな表現とNGな表現の具体例
5. ビフォーアフター写真の掲載ルール
6. 患者様の声・口コミの掲載方法
7. すぐに使えるチェックリスト
8. まとめ:正しい知識で安全な運用を

はじめに

「この表現、大丈夫かな?」歯科医院のホームページを運営する中で、このような不安を感じたことはありませんか?2018年の医療法改正により、ホームページも広告規制の対象となり、知らずに違反してしまうケースが増えています。

違反すると、保健所から指導や改善命令が出るだけでなく、最悪の場合は罰則の対象にもなりかねません。しかし、規制を恐れるあまり、何も書けなくなってしまうのも問題です。

本記事では、2025年最新の医療広告ガイドラインに基づき、歯科医院のホームページで注意すべきポイントを分かりやすく解説します。すぐに使えるチェックリストも用意しましたので、自院のホームページをぜひ確認してみてください。

 

医療広告ガイドラインとは

医療広告ガイドラインは、患者様が正確な情報に基づいて医療機関を選択できるよう、誇大広告や虚偽広告を規制するルールです。2018年6月の医療法改正により、それまで規制対象外だったホームページも広告として扱われるようになりました。

規制の基本的な考え方

医療広告で禁止されているのは、主に以下の4つです:

  1. 虚偽広告 事実と異なる内容を記載すること
  2. 比較優良広告 他院と比較して自院が優れていると誤認させる表現
  3. 誇大広告 実際以上に優れていると誤認させる表現
  4. 患者の体験談 患者を誤認させる恐れがある体験談(原則禁止)

違反するとどうなるか

段階的に以下の措置が取られます:

  1. 保健所からの指導(口頭注意)

   ↓

  1. 改善命令(文書による指導)

   ↓

  1. 改善されない場合、罰則

   (6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)

   ↓

  1. 悪質な場合、医院名の公表

特に2024年以降、保健所の監視が強化されており、通報や定期チェックで違反が発覚するケースが増えています。

 

歯科医院で違反しやすい表現トップ5

実際に指導を受けやすい表現を、具体例とともにご紹介します。

第1位:最上級表現

「最高の」「No.1」「最先端」などの表現は、客観的な根拠がない限り使えません。

❌NG例

  • 「地域No.1の実績」
  • 「最高の技術」
  • 「最先端の治療」
  • 「日本一の設備」

⚪OK例

  • 「年間500症例の実績」(具体的な数字)
  • 「〇〇学会認定医が在籍」(客観的事実)
  • 「歯科用CTを導入」(事実の記載)

第2位:「安心・安全」の過度な強調

治療にはリスクが伴うため、「絶対安全」「必ず成功」などの表現は認められません。

❌NG例

  • 「絶対に痛くない治療」
  • 「100%安全なインプラント」
  • 「必ず治ります」
  • 「失敗しない治療」

⚪OK例

  • 「痛みを抑える治療を心がけています」
  • 「安全性に配慮した治療を行っています」
  • 「〇〇の方法で痛みの軽減に努めています」

第3位:ビフォーアフター写真の不適切な掲載

治療前後の写真は、条件付きでのみ掲載可能です(詳細は後述)。

❌NG例

  • 説明なしで写真だけ掲載
  • 通常の結果より良い事例だけ掲載
  • リスクや副作用の記載がない

⚪OK例

  • 治療内容・期間・費用を明記
  • リスク・副作用を記載
  • 「個人差があります」と注意書き

第4位:患者様の体験談

原則として、患者様の体験談や感想は掲載できません。

❌NG例

  • 「痛みが全くなく、驚きました!」
  • 「他の歯医者とは全然違いました」
  • 「ここに来て人生が変わりました」

⚪例外的にOK

  • 客観的事実のみの記載
  • 良い評価だけでなく、中立的な内容も含む
  • 体験談ではなく「満足度調査」として掲載

第5位:「無料」「格安」の強調

費用面の訴求も、誤解を招く表現は禁止されています。

❌NG例

  • 「初診料無料!」(実際は検査費用がかかる場合)
  • 「格安インプラント」(安全性への懸念を与える)
  • 「他院より安い」(比較広告)

⚪OK例

  • 「初診相談料無料(検査費用は別途かかります)」
  • 「インプラント1本25万円〜(税込、検査・手術費込み)」
  • 具体的な費用を明記

 

OKな表現とNGな表現の具体例

日常的によく使う表現について、OK例とNG例を比較してみましょう。

治療技術に関する表現

テーマ

❌NG例

⚪OK例

痛みへの配慮

「無痛治療」

「痛みに配慮した治療」

治療期間

「最短で治療」

「通院回数を抑える工夫」

技術力

「卓越した技術」

「〇〇学会認定医が担当」

成功率

「成功率100%」

「これまで〇症例の実績」

設備・環境に関する表現

テーマ

❌NG例

⚪OK例

設備

「最先端設備」

「歯科用CTを導入」

衛生管理

「完全滅菌で安心」

「滅菌器による器具管理」

院内環境

「最高級の空間」

「プライバシーに配慮した個室」

医師・スタッフに関する表現

テーマ

❌NG例

⚪OK例

経験

「ベテラン医師」

「臨床経験20年」

専門性

「専門医」(学会認定がない場合)

「〇〇を専門的に行っています」

資格

「認定医」(認定されていない場合)

「〇〇学会会員」

 

 

ビフォーアフター写真の掲載ルール

治療前後の写真は、適切に掲載すれば問題ありませんが、以下の条件をすべて満たす必要があります。

必須記載事項

ビフォーアフター写真を掲載する場合、必ず以下の情報を併記します:

  1. 治療内容の詳細 「前歯2本のオールセラミッククラウン治療」など
  2. 治療期間 「治療期間:2ヶ月(通院4回)」など
  3. 標準的な費用 「費用:1本12万円×2本=24万円(税込)」
  4. 主なリスク・副作用

【リスク・副作用】

・治療後、一時的に知覚過敏が生じることがあります

・歯を削る必要があります

・セラミックが欠ける可能性があります

  1. 個人差の明記 「※治療効果には個人差があります」

掲載してはいけない写真

以下のような写真は掲載できません:

  • 極端に効果が良い事例のみ(誤解を招く)
  • 修正・加工された写真
  • 他院での治療結果を自院の実績のように掲載
  • リスク説明のない写真

掲載例

【セラミック治療の症例】

 

[Before写真] → [After写真]

 

治療内容:前歯2本のオールセラミッククラウン

治療期間:約2ヶ月(通院4回)

費用:264,000円(132,000円×2本、税込)

 

【主なリスク・副作用】

・一時的な知覚過敏が生じる可能性があります

・歯を削る必要があります

・セラミックが欠ける可能性があります

 

※治療効果には個人差があります

 

患者様の声・口コミの掲載方法

患者様の声や体験談は、原則として掲載できません。ただし、以下の条件を満たせば、例外的に掲載可能です。

掲載可能な条件

  1. 客観的な評価のみ 感情的な表現ではなく、事実のみを記載
  2. 治療の誘引目的でない 「ここで治療を受けましょう」という誘導にならない
  3. 良い評価だけでない 中立的な内容や改善点も含める
  4. 院内で実施したアンケート結果 外部の口コミサイトの転載は不可

掲載例

❌NG例

「こんなに親切な歯医者は初めてです!

先生が優しくて、治療も痛くなかったです。

皆さんもぜひ行ってみてください!」

(40代女性)

⚪OK例

【患者満足度調査結果】(2024年実施)

 

・待ち時間について:満足85%、普通12%、不満3%

・説明の分かりやすさ:満足90%、普通8%、不満2%

・院内の清潔さ:満足93%、普通7%、不満0%

 

【いただいたご意見】

「説明が丁寧で分かりやすかった」

「予約時間通りに診てもらえて助かった」

「もう少し駐車場があるとよい」

このように、数値データと客観的な意見のみであれば掲載可能です。

 

すぐに使えるチェックリスト

自院のホームページをチェックする際に、以下のリストを活用してください。

表現のチェック

□ 「最高」「No.1」「最先端」などの最上級表現を使っていないか□ 「絶対」「必ず」「100%」などの断定表現を使っていないか□ 他院と比較する表現を使っていないか□ 「無痛」「痛くない」と断言していないか□ 客観的根拠のない「専門医」「認定医」を名乗っていないか

ビフォーアフター写真のチェック

□ 治療内容を詳しく記載しているか□ 治療期間を明記しているか□ 費用を明記しているか□ リスク・副作用を記載しているか□ 「個人差があります」と注意書きがあるか

患者の声のチェック

□ 感情的な体験談を掲載していないか□ 良い評価だけを選んで掲載していないか□ 外部の口コミサイトの転載をしていないか

料金表示のチェック

□ 「格安」「激安」などの表現を使っていないか□ 「無料」と書きながら、実際には費用がかかるものがないか□ 自費診療の料金を具体的に記載しているか□ 「〜から」と書く場合、最低価格だけでなく標準的な価格も示しているか

全体のチェック

□ 最終更新日が1年以上前になっていないか□ 掲載している医師が既に退職していないか□ 提供していない治療を掲載していないか□ 連絡先(住所・電話番号)が正確か

 

まとめ:正しい知識で安全な運用を

医療広告ガイドラインは、患者様を守るための重要なルールです。一見厳しく感じるかもしれませんが、正しく理解すれば、伝えるべき情報はしっかりと発信できます。

押さえるべきポイント

  1. 事実を正確に伝える 誇張や誤解を招く表現を避け、客観的事実を記載する
  2. リスクも含めて説明する 良い面だけでなく、リスクや副作用も誠実に伝える
  3. 根拠のある情報を掲載する 学会の認定や具体的な実績など、証明できる情報のみを記載する
  4. 定期的に見直す 法改正や新しいガイドラインに対応するため、年に1〜2回は見直しを行う

困ったときの相談先

  • 所轄の保健所:具体的な表現について相談可能
  • 地域の歯科医師会:同業者の事例や対応方法を相談できる
  • ホームページ制作会社:医療広告に詳しい会社に相談

当社では、医療広告ガイドラインに完全準拠したホームページ制作を行っています。既存のホームページの診断や、違反表現の修正サポートも承っております。

「この表現は大丈夫か」「どう書き換えればいいか」など、お困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。無料で広告規制チェックを実施し、具体的な改善案をご提案いたします。


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投稿者プロフィール

NAOKI OZAWA
歯科コンサルタント小澤直樹
2002年よりコンサルティング活動を開始。2008年から歯科コンサルタントとして勤務した後20017年より現職。

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