【経営危機】歯科医院の資金繰り改善事例|コンサルタントが解説する具体的施策
資金繰りの悪化は、必ずしも売上の低下だけが原因ではありません。むしろ、経営が順調に見える医院でも、突然の資金ショートに陥るケースが少なくありません。
「来月の人件費の支払いが厳しい」
「医療機器のリース料が重荷になっている」
「売上は悪くないのに、なぜか資金が回らない」・・・
当社リバティーフェローシップ(東京歯科経営ラボ)には、このような切実な相談が数多く寄せられています。今回は、実際の改善事例を基に、具体的な対応策をご紹介します。
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1. 経営危機を招く典型的なパターン
東京都内のA歯科医院の事例から、典型的な経営危機のパターンを見ていきましょう。
月間売上1,200万円を維持していたA医院は、一見すると経営は順調に見えました。しかし、徐々に人件費率が43%から48%へと上昇し、材料費も12%から15%へと増加していました。
さらに、複数の医療機器リース料の重複、保険請求の査定増加、長期未収金の累積など、様々な要因が重なり、突如として資金繰りが逼迫することとなりました。
2. 具体的な改善事例の解説
A医院の改善プロセスは、短期と中長期の施策を組み合わせた包括的なものでした。改善前の状況では、月間売上1,200万円に対して、人件費率48%、材料費率15%、月額リース料が180万円、手元資金はわずか150万円という状態でした。
最初の1~2ヶ月は緊急対策として、まず経費の総点検と見直しから着手しました。同時に、未収金の回収強化と保険算定の「精度」向上にも取り組みました。
特に効果的だったのは、歯科衛生士の時間管理の最適化です。まず、スタッフ全員で業務プロセスを詳細に書き出し、それぞれの処置にかかる適切な時間について検討を重ねました。その結果、患者様のタイプを5つのパターンに分類することで、より効率的な予約枠の設定が可能になりました。
具体的には、年齢(若年層・中年層・高齢者)、口腔内の状態(歯周炎・軽度・中等度・重度・メインテナンス期)、性格(丁寧な説明を求める方・要点のみ希望される方)などの要素を考慮。これにより、必要な処置時間を事前に予測し、適切な予約枠を設定できるようになりました。このシステムの導入により、歯科衛生士一人一人の時間意識が大きく向上。予約の遅延が減少し、患者様の満足度も上がりました。また、スタッフ自身もゆとりを持って業務に取り組めるようになり、医院全体の雰囲気も改善されました。
続く3~6ヶ月では、より本質的な改革として、診療メニューの最適化や予約システムの効率化に取り組みました。その結果、6ヶ月後には月間売上が1,350万円に増加し、人件費率は42%、材料費率は11%まで改善。リース料も150万円まで圧縮し、手元資金は450万円まで回復しました。
3. 即効性のある改善施策
資金繰り改善の第一歩は、まず「出血を止める」ことです。A医院では、未収金対策として請求書発行のタイミングを診療当日に変更し、クレジットカード決済を導入しました。これにより、未収金の新規発生を大幅に抑制することができました。
4. 中長期的な経営立て直し策
短期的な資金繰り改善だけでは、問題の根本的な解決にはなりません。
A医院では、診療システムの見直しにより、予約枠の最適化を実現。患者待ち時間の削減によってキャンセル率が低下し、診療効率が大幅に向上しました。人件費の適正化では、タイムカードの導入と業務の効率化により、残業時間を約40%削減することに成功しました。驚くことにタイムカードが無い医院でした。
重要なのは、スタッフの給与水準は維持したまま、これらの改善を実現できた点です。
5. 金融機関との関係改善
資金繰り改善において、金融機関との関係構築は極めて重要です。
A医院では、月次での経営状況の報告体制を確立し、改善計画とその進捗を定期的に共有することで、金融機関からの信頼を回復することができました。
また、経営改善の具体的な成果を示すことで、既存借入の条件変更にも成功。返済負担の平準化により、資金繰りの安定化が図れました。
6. まとめ:持続可能な経営のために
A医院の事例が示すように、資金繰りの改善は決して不可能ではありません。重要なのは、問題の早期発見と迅速な対応、そして短期・中長期施策の並行実施です。さらに、スタッフや金融機関との密な連携が、成功への鍵となります。
当社では、資金繰り改善のための具体的な施策立案から実行支援まで、一貫したサポートを提供しています。経営でお悩みの院長先生は、まずはお気軽にご相談ください。
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